第七十九章:食人植物の共存の道
カラン——
ドアが開いた……のではなく、何かが這い入ってきた音がした。
「……ここが仕事を探せる場所か?」
誠が顔を上げると、そこには大きな顎と鋭い棘を持つ巨大な食虫植物がいた。触手のような蔓をゆっくりと揺らしながら、根をずるずると引きずっている。
れながノートを開く。
「……食人植物ですね?」
「ああ。」
「お名前は?」
「ヴァインズだ。」
「ヴァインズさんですね。それで、本日はどんなご相談でしょう?」
ヴァインズは少し気まずそうに蔓をうねらせた。
「……俺は、人間に怖がられすぎている。」
誠とれなが顔を見合わせる。
「怖がられすぎ?」
「ああ……俺は確かに食人植物だ。動物を捕食するための構造を持っているし、本能的に獲物を捕まえようとしてしまう。だが、もう人間を襲うつもりはない。 それでも、誰も俺のことを信用してくれないんだ。」
ヴァインズは、葉を揺らしながら深いため息をついた。
「俺はこのまま、ただの恐怖の象徴として避けられるしかないのか? それとも、俺にもできることがあるのか?」
れなが頷く。
「つまり、この特性を活かしながら、人間と共存できる仕事を探しているってことですね?」
「ああ。しかし、そんなものがあるのか?」
誠がニヤリと笑った。
「あるじゃねぇか、ぴったりの仕事が!」
ヴァインズが興味を示すように、触手のような蔓を揺らした。
「……何だ?」
「害虫駆除の専門家になれ!」
ヴァインズの葉がぴくりと動いた。
「害虫駆除?」
れなが頷く。
「ヴァインズさんの捕食能力を活かせば、農場や家庭の害虫を駆除する『エコな害虫駆除サービス』ができるわ! 最近は農薬を使わない方法が求められているし、自然の力で害虫を減らせるのはすごく魅力的よ!」
誠がさらに補足する。
「最近は、農業や都市環境でも、自然のバランスを活かした害虫駆除が注目されてるしな。お前の能力を使えば、『最強の害虫ハンター』としてめちゃくちゃ活躍できるぞ!」
ヴァインズはしばらく考え込んだ。そして、ゆっくりと笑みを浮かべた——いや、顎が大きく開いた。
「……なるほど、それは確かに俺にしかできない仕事かもしれんな。」
そして、葉をゆったりと広げながら、力強く頷いた。
「よし、俺は害虫駆除の専門家になる!」
結果:食人植物の新たな道
数ヶ月後——
ヴァインズは、「バイオ・ガーデニング・サービス」を設立し、害虫駆除や生態系バランスの調整を行う仕事を始めた。
彼の害虫駆除サービスは「薬品を使わない究極のナチュラルソリューション」として注目され、農家や環境保護団体からの依頼が殺到するようになった。
「俺の捕食能力は、ただ恐れられるものじゃなかった。今は、人間の役に立つ力となっている。」
届いた手紙には、そんな言葉が書かれていた。
「さて、次はどんなモンスターが来るかな?」
相談所のドアが、今度は静かに開かれる——。★




