第七十一章:ペガサスの飛ぶだけの人生
カラン——
相談所のドアが開いた——いや、開く前に、突風が巻き起こった。
「……ここが仕事を探せる場所か?」
誠が顔を上げると、白く輝く翼を持つ馬がゆっくりと降り立った。
れながノートを開く。
「……ペガサスですね?」
「ああ。」
「お名前は?」
「アストレアだ。」
「アストレアさんですね。それで、本日はどんなご相談でしょう?」
アストレアは優雅に翼をたたみながら、少し憂鬱そうな表情を見せた。
「……俺には、飛ぶことしかできない。」
誠とれなが顔を見合わせる。
「飛ぶことしか?」
「ああ……昔は、英雄たちの乗り物として戦場を駆け巡り、神話の存在として語られていた。だが、今の時代、飛べるだけでは何の役にも立たない。 人間は飛行機を発明し、空を飛ぶことに驚かなくなった。俺はこのまま、ただの『飛ぶだけの馬』として終わるのか?」
アストレアは静かに首を振った。
「俺は何か他にできることがあるのか?」
れなが頷く。
「つまり、飛行以外の能力を活かせる仕事を探しているってことですね?」
「ああ。しかし、そんなものがあるのか?」
誠がニヤリと笑った。
「あるじゃねぇか、ぴったりの仕事が!」
アストレアが興味を示すように顔を上げる。
「……何だ?」
「乗馬体験の観光業をやれ!」
アストレアの瞳がわずかに輝く。
「観光業?」
れなが頷く。
「アストレアさんの優雅な姿と飛行能力があれば、観光地での『ペガサスライド』体験が大人気になるはず! しかも、ただの馬とは違って、空を飛ぶこともできるから、唯一無二のアトラクションになるわ!」
誠がさらに補足する。
「最近は『エアツーリズム』っていって、空から景色を楽しむ観光が流行ってるしな。お前がやれば、世界最高の空の旅を提供する伝説の乗馬ツアーになるだろ!」
アストレアはしばらく考え込んだ。そして、ゆっくりと微笑んだ。
「……なるほど、それは確かに俺にしかできない仕事かもしれんな。」
そして、力強く頷く。
「よし、俺は乗馬観光業を始める!」
結果:ペガサスの新たな道
数ヶ月後——
アストレアは、「ペガサス・ライド・クラブ」を設立し、伝説の乗馬体験を提供する観光業をスタートした。
彼の提供する「空飛ぶ乗馬ツアー」は世界中の観光客から人気を集め、特に「神話のペガサスに乗る夢が叶う!」と話題になった。
「俺の飛行能力は、ただの昔話じゃなかった。今は、人々に夢の旅を提供するためにある。」
届いた手紙には、そんな言葉が書かれていた。
「さて、次はどんなモンスターが来るかな?」
相談所のドアが、再び静かに開かれる——。★




