第六十九章:ミラーエンティティの自分探し
カラン——
ドアが静かに開いた。だが、室内に入ってきたのは……誠の姿をした誰かだった。
「……ここが仕事を探せる場所か?」
まったく同じ声、同じ表情、同じ服装。しかし、れなと誠は驚くことなく、その存在を見つめた。
れながノートを開く。
「……ミラーエンティティですね?」
「ああ。」
「お名前は?」
「……それが、分からない。」
「分からない?」
ミラーエンティティは誠の姿のまま、ゆっくりと肩を落とした。
「俺は、目の前の相手を完全にコピーする存在だ。だが、俺自身が何者なのか分からない。自分だけの姿もないし、考え方すら周囲に影響される。」
ミラーエンティティは、誠の動きを完璧に真似しながら続けた。
「俺はこのまま、誰かの影で生きるだけの存在なのか? それとも、俺にしかできない何かがあるのか?」
れなが頷く。
「つまり、コピーではなく、自分らしさを活かせる仕事を探しているってことですね?」
「ああ。しかし、そんなものがあるのか?」
誠がニヤリと笑った。
「あるじゃねぇか、ぴったりの仕事が!」
ミラーエンティティが興味を示すように顔を上げる。
「……何だ?」
「スタンドイン俳優になれ!」
ミラーエンティティの目がわずかに輝く。
「スタンドイン?」
れなが頷く。
「ミラーエンティティさんの完璧なコピー能力があれば、映画や舞台でのスタントダブルや代役として大活躍できるわ!」
誠がさらに補足する。
「最近は、アクション映画やCG技術の進化で、スタンドイン俳優の需要が増えてるしな。お前なら、どんな役でも完璧にこなせる『究極のカメレオン俳優』になれるぞ!」
ミラーエンティティはしばらく考え込んだ。そして、ゆっくりと微笑んだ。
「……なるほど、それは確かに俺にしかできない仕事かもしれんな。」
そして、力強く頷く。
「よし、俺はスタンドイン俳優になる!」
結果:ミラーエンティティの新たな道
数ヶ月後——
ミラーエンティティは、「ミラー・スタジオ」の専属俳優となり、数々の映画やドラマで活躍するようになった。
彼の完璧な模倣能力は「どんな役にもなれる究極の俳優」として称され、世界的な映画監督たちが彼の演技を求めるようになった。
「俺は、ただのコピーではなかった。今は、世界中のスクリーンで輝いている。」
届いた手紙には、そんな言葉が書かれていた。
「さて、次はどんなモンスターが来るかな?」
相談所のドアが、再び静かに開かれる——。★




