第六十七章:タイムイーターの価値の変化
カラン——
ドアが開いた——と、思った瞬間、時計の針が逆回転するような錯覚を覚えた。
「……ここが仕事を探せる場所か?」
低く響く声。
誠が顔を上げると、漆黒のローブをまとい、歪んだ砂時計を持った存在がゆっくりと姿を現した。
れながノートを開く。
「……タイムイーターですね?」
「ああ。」
「お名前は?」
「クロノスだ。」
「クロノスさんですね。それで、本日はどんなご相談でしょう?」
クロノスは静かに腕を組み、深いため息をついた。
「……私の価値が変わってしまった。」
誠とれなが顔を見合わせる。
「変わった?」
「ああ……かつて、時間を操る力は絶対的だった。時間を奪うことで、私は人々を支配できた。だが、今の時代、人間たちは自ら時間を削って働き、時には金で時間を買おうとする。 もはや、時間そのものの価値が変わってしまったのだ。」
クロノスはゆっくりと砂時計をひっくり返した。
「私はこのまま、ただ過去の遺物となるのか? それとも、この時代で時間を活かせる仕事を見つけるべきなのか?」
れなが頷く。
「つまり、時間の概念を活かせる仕事を探しているってことですね?」
「ああ。しかし、そんなものがあるのか?」
誠がニヤリと笑った。
「あるじゃねぇか、ぴったりの仕事が!」
クロノスが興味を示すように顔を上げる。
「……何だ?」
「タイムマネジメントコンサルタントになれ!」
クロノスの深い瞳がわずかに光る。
「タイムマネジメント……?」
れなが頷く。
「クロノスさんの時間を操る知識は、現代のビジネスマンにとっては宝の山よ。時間の使い方をアドバイスし、最適な働き方を提案することで、企業の生産性を上げることができるわ!」
誠がさらに補足する。
「最近は仕事の効率化とか、時間の管理スキルが求められてるしな。お前のアドバイスがあれば、『究極の時間術』として世界中のビジネスパーソンが学びに来るぞ!」
クロノスはしばらく考え込んだ。そして、ゆっくりと笑みを浮かべた。
「……なるほど、それは確かに私にしかできない仕事かもしれんな。」
そして、力強く頷く。
「よし、私はタイムマネジメントコンサルタントになる!」
結果:タイムイーターの新たな道
数ヶ月後——
クロノスは、「クロノス・タイムソリューションズ」を設立し、企業や個人向けのタイムマネジメント講座を開始した。
彼の講義は「時間を制する者が人生を制する」と評され、世界中のビジネスマンが彼のセミナーを受けるようになった。
「私の力は、ただ時間を奪うものではなかった。今は、人々に時間の価値を教えるためにある。」
届いた手紙には、そんな言葉が書かれていた。
「さて、次はどんなモンスターが来るかな?」
相談所のドアが、再び静かに開かれる——。★




