第六十四章:フロストタイタンの溶けゆく居場所
カラン——
相談所のドアが開いた瞬間、ひやりとした冷気が流れ込んできた。まるで氷の洞窟に迷い込んだような感覚だった。
「……ここが仕事を探せる場所か?」
低く響く、重々しい声。
誠が顔を上げると、そこには全身を氷で覆った巨人が立っていた。
れながノートを開く。
「……フロストタイタンですね?」
「ああ。」
「お名前は?」
「グレイヴだ。」
「グレイヴさんですね。それで、本日はどんなご相談でしょう?」
グレイヴは大きな氷の拳をゆっくりと握りしめながら、ため息をついた。
「……俺の住む場所がなくなりつつある。」
誠とれなが顔を見合わせる。
「なくなってる?」
「ああ……俺は極寒の地で生きる者だった。だが、最近は地球が温暖化し、氷がどんどん溶けている。 俺が歩いた大地は崩れ、昔の仲間たちも次々と姿を消している。」
グレイヴは氷の肩を落とす。
「俺はただ、寒冷地で生きていくだけの存在だった。だが、このままでは俺の役割は消え去ってしまう……。俺に何か、できることはないのか?」
れなが頷く。
「つまり、氷や寒冷地の知識を活かしながら、新しい役割を見つけたいってことですね?」
「ああ。しかし、そんな仕事があるのか?」
誠がニヤリと笑った。
「あるじゃねぇか、ぴったりの仕事が!」
グレイヴが興味を示すように顔を上げる。
「……何だ?」
「環境研究者になれ!」
グレイヴの冷たい瞳がわずかに光る。
「環境研究者……?」
れなが頷く。
「グレイヴさんのような存在なら、氷河や気候変動の研究に貢献できるはず。 近年、地球の気候変動を研究する科学者たちが増えているわ。あなたの知識や経験を伝えることができれば、環境保護に大きく役立つはずよ!」
誠がさらに補足する。
「最近は『地球を冷やすための技術』とかも研究されてるしな。お前の力を使えば、新しい冷却技術や環境対策の開発にも役立てられるだろ!」
グレイヴはしばらく考え込んだ。そして、ゆっくりと笑みを浮かべた。
「……なるほど、それは確かに俺にしかできない仕事かもしれんな。」
そして、力強く頷く。
「よし、俺は環境研究者になる!」
結果:フロストタイタンの新たな道
数ヶ月後——
グレイヴは、「フロスト・ガーディアンズ」という環境研究チームに加わり、極地の保護活動に従事するようになった。
彼の知識とデータは「氷河の語り部」として注目され、多くの科学者が彼の知見を元に研究を進めるようになった。
「俺の存在は、ただ寒冷地を歩くだけのものではなかった。今は、地球を守るために生きている。」
届いた手紙には、そんな言葉が書かれていた。
「さて、次はどんなモンスターが来るかな?」
相談所のドアが、再び静かに開かれる——。★




