第六十章:グリムリーパーの減り続ける仕事
カラン——
……冷たい風が相談所を包み込む。
「……ここが仕事を探せる場所か?」
低く響く声とともに、黒いフードをかぶった長身の影がゆっくりと入ってきた。
誠が目を上げると、そこには巨大な鎌を手にした死神が立っていた。
れながノートを開く。
「……グリムリーパーですね?」
「その通りだ。」
「お名前は?」
「モルドだ。」
「モルドさんですね。それで、本日はどんなご相談でしょう?」
モルドは鎌を静かに床に立てかけながら、ため息をついた。
「……俺の仕事が減っている。」
誠とれなが顔を見合わせる。
「減ってる?」
「ああ……かつては、死を迎える者を導くのが俺の役目だった。だが、最近は医療技術の発展で寿命が延び、死が訪れるのが遅くなっている。」
モルドは鎌を見つめる。
「俺の存在意義は、この鎌とともに消えてしまうのか? それとも、死と向き合う別の道があるのか?」
れなが頷く。
「つまり、死を司る存在として、新しい仕事を探しているってことですね?」
「ああ。しかし、そんなものがあるのか?」
誠がニヤリと笑った。
「あるじゃねぇか、ぴったりの仕事が!」
モルドが興味を示すように顔を上げる。
「……何だ?」
「終活カウンセラーになれ!」
モルドの空虚な目がわずかに光る。
「終活……?」
れなが頷く。
「モルドさんは死を理解している。だからこそ、人間が死を迎える前に、どう生きるべきかをアドバイスする仕事ができるのよ。」
誠がさらに補足する。
「最近は『死を前向きに迎える終活』が流行ってるしな。お前がカウンセラーになれば、誰よりも説得力のあるアドバイスができるだろ!」
モルドはしばらく考え込んだ。そして、ゆっくりと微笑んだ。
「……なるほど、それは確かに俺にしかできない仕事かもしれんな。」
そして、力強く頷く。
「よし、俺は終活カウンセラーになる!」
結果:グリムリーパーの新たな道
数ヶ月後——
モルドは、「リーパー・ライフプランニング」を設立し、終活カウンセラーとして活動を始めた。
彼の的確なアドバイスと哲学的な視点は「死を知る者だからこそ語れる真実」として評価され、多くの人が穏やかに人生を終えるための指針を得ることができた。
「俺の役割は、ただ魂を刈り取ることじゃなかった。今は、人々の人生を豊かにするためにある。」
届いた手紙には、そんな言葉が書かれていた。
「さて、次はどんなモンスターが来るかな?」
相談所のドアが、再び静かに開かれる——。★




