第五十七章:アスラの無駄になった腕
カラン——
相談所のドアが開くと同時に、ゴトンッ……ズシンッ……! と重い音が響いた。
「……ここが仕事を探せる場所か?」
低く響く声。
誠が顔を上げると、大柄な体に六本の腕を持つ戦士のようなモンスターが立っていた。
れながノートを開く。
「……アスラですね?」
「ああ。」
「お名前は?」
「ガルダだ。」
「ガルダさんですね。それで、本日はどんなご相談でしょう?」
ガルダは、六本の腕をゆっくりと組みながら、ため息をついた。
「……俺は、戦うために生まれた。」
誠とれなが顔を見合わせる。
「戦うために?」
「ああ……俺の六本の腕は、かつて戦場で最強の力を発揮した。だが、今の時代、戦う場所がない。 俺のこの力は、ただの無駄な筋肉になり果てた。」
ガルダは腕を広げて見せる。
「……この腕を、ただの飾りとして終わらせたくない。俺に新しい戦場はないのか?」
れなが頷く。
「つまり、戦闘以外で六本の腕を活かせる仕事を探しているってことですね?」
「ああ。しかし、そんなものがあるのか?」
誠がニヤリと笑った。
「あるじゃねぇか、ぴったりの仕事が!」
ガルダが興味を示すように顔を上げる。
「……何だ?」
「マッサージ師になれ!」
ガルダの目が驚きで開く。
「マッサージ師?」
れなが頷く。
「ガルダさんの六本の腕があれば、普通の人間にはできない超効率的なマッサージができるわ! 一度に全身をほぐせるなんて、間違いなく最高のリラクゼーションよ!」
誠がさらに補足する。
「最近は、スポーツ選手や武道家のケアも重要視されてるしな。お前のパワーと精密な動きがあれば、『神の手を持つマッサージ師』として有名になれるぞ!」
ガルダはしばらく考え込んだ。そして、ゆっくりと笑みを浮かべた。
「……なるほど、それは確かに俺にしかできない仕事かもしれんな。」
そして、力強く頷く。
「よし、俺はマッサージ師になる!」
結果:アスラの新たな道
数ヶ月後——
ガルダは、「六手流マッサージ」の開業を果たし、その驚異的な施術は「四本の神の手を持つ男」として話題となった。
彼の施術を受けた者は、「人生で最高のマッサージだった」と口を揃え、予約は半年先まで埋まるほどの人気となった。
「俺の腕は、ただの戦闘のためのものじゃなかった。今は、人々の疲れを癒すためにある。」
届いた手紙には、そんな言葉が書かれていた。
「さて、次はどんなモンスターが来るかな?」
相談所のドアが、再び静かに開かれる——。★




