第三十九章:サラマンダーの熱すぎる悩み
カラン——
相談所のドアがゆっくりと開いた……と同時に、ゴォォッ!と熱風が流れ込んだ。
「うおっ!? あっちぃ!」
誠が慌てて後ずさる。
「す、すみません……。温度を下げようとしてるんですが……。」
入ってきたのは、サラマンダーだった。
炎をまとったトカゲのような姿で、周囲の空気がゆらゆらと歪んでいる。
れなが、少し汗を拭きながらノートを開く。
「お名前は?」
「バルゴです。」
「バルゴさんですね。それで、本日はどんなご相談でしょう?」
バルゴは申し訳なさそうに肩をすくめる。
「……俺、体温が高すぎて、どこに行っても問題になってしまうんです。」
誠とれなが顔を見合わせる。
「体温が高すぎる?」
「ああ。普通に立っているだけで、周囲のものを焦がしてしまう。レストランで働こうとしたら、食材が焼けすぎてしまい……倉庫の仕事をしようとしたら、保管していた木材が発火してしまった。」
バルゴは、しょんぼりと尻尾の炎を小さくする。
「人と一緒に働きたいのに、どこへ行っても火事の原因になるから無理だと言われてしまう。俺は……どうすればいいんだ?」
れなが頷く。
「つまり、火の特性を活かせる仕事を探しているってことですね?」
「ああ。でも、どこも俺の炎を恐れて、雇ってくれない……。」
誠がニヤリと笑った。
「あるじゃねぇか、ぴったりの仕事が!」
バルゴが驚いたように顔を上げる。
「……何だ?」
「鍛冶職人になれ!」
バルゴの炎が一瞬強くなる。
「鍛冶職人?」
れなが頷く。
「バルゴさんの炎は普通の火よりも強力でしょ? だったら、金属を鍛える鍛冶仕事なら、その高温を最大限に活かせるはず!」
誠がさらに補足する。
「普通の鍛冶職人は炉を使って鉄を溶かすけど、お前なら自分の炎だけで一瞬で加工ができる! 伝説の鍛冶師として名を馳せること間違いなしだぜ!」
バルゴはしばらく考え込んだ。そして、ゆっくりと笑みを浮かべた。
「……なるほど、それなら俺の炎を活かせるかもしれない。」
そして、力強く頷く。
「よし、俺は鍛冶職人になる!」
結果:サラマンダーの新たな道
数ヶ月後——
バルゴは、「サラマンダー鍛冶工房」を開業した。
彼が作る炎の魂を宿した武器は「最強の刀剣」として話題になり、多くの戦士や冒険者が彼の工房を訪れるようになった。
「俺の炎は、ただの厄介者じゃなかった。今は、この炎で最高の武器を生み出している。」
届いた手紙には、そんな言葉が書かれていた。
「さて、次はどんなモンスターが来るかな?」
相談所のドアが、再び熱気とともに開かれる——。★




