第三十七章:ゾンビの生き生きと働ける場所
カラン——
相談所のドアがゆっくりと開いた。
「……ぅ……おぉ……」
ズル……ズル……
足を引きずるような音とともに、ゆっくりとした動きで一体のゾンビが入ってきた。
誠が目を丸くする。
「おお、ゾンビか!」
れなが冷静にノートを開く。
「お名前は?」
「グローム……だ……。」
「グロームさんですね。それで、本日はどんなご相談でしょう?」
グロームはガクガクと首を揺らしながら、力なく呻くような声で話し始めた。
「……俺、動きが遅くて……喋るのも……はっきりできない……。」
誠とれなが顔を見合わせる。
「動きが遅い?」
「ああ……。普通の仕事だと……すぐに『もっと早く!』って言われる……。でも、俺は……このペースでしか……動けない……。」
グロームはゆっくりとため息をつく。
「それに……話すのも遅いし……うまく伝わらない……。だから……どこでも……浮いてしまう……。」
れなが頷く。
「つまり、ゾンビの特性を活かしつつ、マイペースで働ける仕事を探しているってことですね?」
「……そんな仕事……あるのか……?」
誠がニヤリと笑った。
「あるじゃねぇか、ぴったりの仕事が!」
グロームがゆっくりと首を傾げる。
「……な、何……?」
「ホラー映画の俳優になれ!」
グロームの目がゆっくりと大きく開く。
「……ホラー映画?」
れなが頷く。
「ゾンビ映画って、特殊メイクをした俳優がゾンビを演じるでしょ? でも、グロームさんなら……メイクなしで、そのまま出演できる!」
誠がさらに補足する。
「それに、ゾンビ役ってリアルさが重要だからな! お前の動きや声は、どんな役者よりもリアルなゾンビ演技ができるぞ!」
グロームはしばらく考え込んだ。そして、ゆっくりと口角を上げた。
「……なるほど……それなら……俺にも……できる……。」
そして、力強く頷く。
「よし……俺は……ホラー映画の俳優になる!」
結果:ゾンビの新たな道
数ヶ月後——
グロームは、ゾンビ映画界のスターとして活躍することになった。
その本物のゾンビらしさが絶賛され、映画監督たちは「最もリアルなゾンビ役者」と彼を称賛した。
「俺は……ただの……ゾンビじゃなかった……。今は……生き生きと……映画の中で……生きている……。」
届いた手紙には、そんな言葉が書かれていた。
「さて、次はどんなモンスターが来るかな?」
相談所のドアが、再びゆっくりと開かれる——。★




