表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/76

第三十三章:デスウィングの壊す以外の道

 カラン——

 ドアがギィ……ギシギシ……バァンッ!!

 ものすごい衝撃音とともに粉々に吹き飛んだ。

「うわあああ!? 相談所がぶっ壊れた!!」

 誠が慌てて机の下に飛び込み、れなは呆然とドアの残骸を見つめる。

 そこに立っていたのは、漆黒のドラゴンだった。

「……すまない。どうしても力を抑えられなかった。」

 デスウィング。

  その名の通り、破壊の象徴とされるドラゴン。巨大な翼、鋭い爪、そして何よりもその圧倒的な威圧感が空間を支配していた。

 誠がビクビクしながら椅子を勧める。

  「お、お名前は?」

「ラグナスだ。」

「ラグナスさんですね……それで、本日はどんなご相談でしょう?」

 ラグナスは、どっしりと床に座り込み、重く低い声で語り始めた。

「……俺は、何もかも壊してしまう。」

 誠とれなが顔を見合わせる。

「壊してしまう?」

「ああ。俺が力を使えば、山が砕け、街が崩れ、大地が割れる。 どんな仕事に就こうとしても、『危険すぎる』と言われ、すぐに追い出される。」

 ラグナスは深いため息をつく。

「壊すことしかできない俺は……この世界に必要とされないのか?」

 れなが頷く。

「つまり、破壊の力を活かせる仕事を探しているってことですね?」

「ああ。しかし、何かを作る仕事は向いていないし……俺にはどうすればいいのか分からない。」

 誠がニヤリと笑った。

「あるじゃねぇか、ぴったりの仕事が!」

 ラグナスが興味を示すように顔を上げる。

「……何だ?」

「解体業者になれ!」

 ラグナスの目が一瞬光る。

「解体業?」

 れなが頷く。

「建物を壊す仕事って、人間にとっては大変なの。でも、ラグナスさんなら一撃で取り壊しができるでしょ?」

 誠がさらに補足する。

「それに、解体工事って単なる破壊じゃなくて、新しい建物を建てるための大事な仕事なんだ。つまり、お前の破壊は、新たな創造につながる!」

 ラグナスはしばらく考え込んだ。そして、ゆっくりと笑みを浮かべた。

「……なるほど、それは確かに俺にしかできない仕事かもしれないな。」

 そして、力強く頷く。

「よし、俺は解体業者として生きる!」

 結果:デスウィングの新たな道

 数ヶ月後——

 ラグナスは、「デスウィング解体事業」を立ち上げた。

 彼の圧倒的な破壊力を活かした解体作業は、「世界最速の建物解体」と評判になり、多くの都市から依頼が殺到するようになった。

「俺の力は、ただの破壊ではなくなった。今は、新しい未来を生み出すための破壊だ。」

 届いた手紙には、そんな言葉が書かれていた。

「さて、次はどんなモンスターが来るかな?」

 相談所の(新しい)ドアが、再び開かれる——。★


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ