第二十九章:リオレウスの狩られる人生
カラン——
ドアがゆっくりと開いたかと思うと、ゴォォォ……!と熱風が流れ込んできた。
「お、おい……今度は何が来たんだ?」
誠が目を細めると、相談所の入り口に巨大な影が落ちた。
「……ここが転職相談所か?」
低く響く声とともに、赤い鱗に覆われたリオレウスが姿を現した。
鋭い爪、巨大な翼、そして燃え盛るような瞳。しかし、その表情にはどこか疲れが見えた。
「おお、リオレウスか!」
誠が驚きつつも、その巨大な姿を見上げる。
れなが冷静にノートを開く。
「お名前は?」
「ヴァルトだ。」
「ヴァルトさんですね。それで、本日はどんなご相談でしょう?」
ヴァルトは大きな翼をたたみながら、ため息をついた。
「……もう、狩られるばかりの人生にうんざりしている。」
誠とれなが顔を見合わせる。
「狩られるばかり?」
「ああ。俺はずっと、人間たちに狩られ続けてきた。俺を倒すために準備万端でやってくる狩人ども……毎回必死に戦うが、結局最後は討伐される。俺は、ただの経験値稼ぎじゃない。」
ヴァルトは拳を握りしめる。
「もう、狩られる側ではなく、狩る側に回りたいんだ。」
れなが頷く。
「つまり、狩る技術を活かせる仕事を探しているってことですね?」
「ああ。しかし、人間相手に狩りをするわけにもいかんし……どうすればいいのか分からない。」
誠がニヤリと笑った。
「あるじゃねぇか、ぴったりの仕事が!」
ヴァルトが驚いたように顔を上げる。
「……何だ?」
「サバイバル講師になれ!」
ヴァルトの目が一瞬鋭くなる。
「サバイバル?」
れなが頷く。
「ヴァルトさんは狩人たちと戦ってきたんですよね? それなら、狩る側がどう動くか、どう生き残るかを知ってるはず。だったら、その知識を活かしてサバイバル講師として活躍できるんじゃない?」
誠がさらに補足する。
「最近、サバイバル技術を学びたいって人間が増えてるんだよ。アウトドアブームもあるし、災害時の生存スキルも重要視されてる。お前の知識と戦闘技術があれば、最高のサバイバルスクールが作れるぞ!」
ヴァルトはしばらく考え込んだ。そして、ゆっくりと笑みを浮かべた。
「……確かに、それは俺にしかできない仕事かもしれないな。」
そして、力強く頷く。
「よし、俺はサバイバル講師になる!」
結果:リオレウスの新たな道
数ヶ月後——
ヴァルトは、「リオレウス・サバイバルスクール」を立ち上げた。
彼の教える狩猟術、サバイバルスキル、危機管理能力は圧倒的で、一般の冒険者やアウトドア愛好家だけでなく、軍や特殊部隊からの依頼も増えている。
「俺はもう、ただ狩られるだけの存在じゃない。今は、人間たちに生きる術を教えている。」
届いた手紙には、そんな言葉が書かれていた。
「さて、次はどんなモンスターが来るかな?」
相談所のドアが、再び開かれる——。




