第二十八章:ベヒーモスの巨大すぎる悩み
カラン——
相談所のドアがゴゴゴゴ……と揺れ、まるで地響きのような振動が起こった。
「お、おい……これ、ドアの耐久大丈夫か?」
誠が心配そうに天井を見上げる。
次の瞬間、ドア枠いっぱいに巨大な影が現れた。
「……すまない、入ってもいいか?」
ドスン。
足音だけで床が揺れる。
入ってきたのは、ベヒーモスだった。
圧倒的な体格、盛り上がる筋肉、雷をまとった鋭い角。しかし、その目にはどこか困ったような表情が浮かんでいた。
「おお、ベヒーモスか!」
誠が見上げながら驚嘆する。
れながノートを開く。
「お名前は?」
「ガルドだ。」
「ガルドさんですね。それで、本日はどんなご相談でしょう?」
ガルドは少し身を縮めようとしたが、それでも相談所の天井に角がガリガリと擦れる音が響いた。
「……俺、デカすぎて普通の仕事ができないんだ。」
誠とれなが顔を見合わせる。
「デカすぎる?」
「ああ。移動するだけで建物の入口に引っかかるし、普通の椅子には座れない。オフィスワークは論外、工場作業も通路が狭すぎて無理。どこへ行っても、『サイズ的に厳しいですね……』って断られる。」
ガルドは肩を落とすが、その動きだけで部屋の空気が揺れるほどだった。
「この体のおかげで力仕事は得意だが、ただの力持ちでは仕事にありつけない……。戦う以外の生き方を探したいが、俺のサイズに合う仕事なんてあるのか?」
れなが頷く。
「つまり、巨大な体を活かせる仕事を探しているってことですね?」
「そういうことだ。」
誠がニヤリと笑った。
「あるじゃねぇか、ぴったりの仕事が!」
ガルドが驚いたように顔を上げる。
「……何だ?」
「巨大輸送の仕事をやれ!」
ガルドが目を瞬かせる。
「巨大輸送?」
れなが頷く。
「ガルドさんみたいな大きな体なら、普通のトラックや機械じゃ運べない超大型の荷物を運べるんじゃない?」
誠がさらに補足する。
「例えば、巨大な岩、建築資材、船の部品とか、人間のクレーンじゃ動かせないレベルのモノを運ぶ専門の会社を作るんだ! ガルドの力と耐久力があれば、どんな現場でも大活躍できるはずだぜ!」
ガルドはしばらく考え込んだ。そして、ゆっくりと笑みを浮かべた。
「……なるほど、それは確かに俺にしかできない仕事かもしれないな。」
そして、力強く頷く。
「よし、俺は巨大輸送の仕事を始める!」
結果:ベヒーモスの新たな道
数ヶ月後——
ガルドは、巨大輸送専門の会社「ベヒーモス便」を立ち上げた。
彼の驚異的な運搬能力は話題を呼び、建設現場や工業施設から依頼が殺到。
「クレーンの代わりにベヒーモスが運んでくれるとか、すごすぎる!」
「彼が運ぶなら、安全性も保証されるし、何より速い!」
「もはや新しいインフラの一部だな……!」
ガルドは、人々の生活を支える存在へと変わった。
「俺の巨大な体は、ただの戦いのためにあるんじゃなかった。今は、この力で世界を動かしている。」
届いた手紙には、そんな言葉が書かれていた。
「さて、次はどんなモンスターが来るかな?」
相談所のドアが、再びギギギ……と軋む音を立てて開かれる——。★




