第二十四章:ガルーダの空を飛ぶだけの悩み
カラン——
ドアが開くと、風がふわりと舞い込んできた。
「ここが、モンスターの転職相談所か?」
澄んだ声が響くと、ふわりと軽やかに室内へ降り立つ影があった。
入ってきたのは、ガルーダだった。
しなやかな翼を持ち、空気の流れに乗るような優雅な動き。しかし、その表情にはどこか迷いが浮かんでいる。
「おお、ガルーダか!」
誠が椅子に座ったまま、まじまじと見上げる。
れながノートを開く。
「お名前は?」
「ヴィシュラだ。」
「ヴィシュラさんですね。それで、本日はどんなご相談でしょう?」
ヴィシュラは羽を軽くはためかせながら、ため息をつく。
「……俺、飛ぶことしかできないんだ。」
誠とれなが顔を見合わせる。
「飛ぶことしか……?」
「そうだ。ガルーダは空を飛ぶことができる。どこへでも行けるし、速さもある。でも、それだけなんだ。空を飛べるだけで、他に何のスキルもない。」
ヴィシュラは少し俯く。
「俺は、何かに役立ちたいんだ。でも、飛ぶこと以外に何もできない奴に、仕事なんてあるのか……?」
れなが静かに頷く。
「つまり、飛ぶ能力を活かせる仕事を探しているってことですね?」
「ああ。でも、ただ飛ぶだけじゃ、何の意味もない。」
誠がニヤリと笑った。
「あるじゃねぇか、ぴったりの仕事が!」
ヴィシュラが驚いたように顔を上げる。
「……何だ?」
「空撮カメラマンになれ!」
ヴィシュラの目が一瞬大きく見開かれる。
「空撮?」
れなが頷く。
「最近、ドローンによる撮影が流行ってるでしょ? でも、ドローンにはバッテリーの制限があるし、風に流されやすい。だけど、ヴィシュラさんならどんな環境でも安定して撮影できるんじゃない?」
誠がさらに補足する。
「しかも、お前みたいに速くて自由に飛べるやつなら、どんなアングルでも撮影可能だ! まさに、人間のカメラマンには絶対できない映像が撮れる!」
ヴィシュラはしばらく考え込んだ。そして、ゆっくりと笑みを浮かべた。
「……なるほど、それは面白い。」
そして、力強く頷く。
「よし、俺は空撮カメラマンの道を進んでみる!」
結果:ガルーダの新たな道
数ヶ月後——
ヴィシュラは、空撮カメラマンとして成功を収めた。
その圧倒的な飛行能力を活かし、映画やドキュメンタリーの空撮を担当。彼の撮るダイナミックな映像は世界中の映像監督から高く評価されている。
「俺は、飛ぶだけの存在じゃなかった。今は、この翼で世界を映し出している。」
届いた手紙には、そんな言葉が書かれていた。
「さて、次はどんなモンスターが来るかな?」
相談所のドアが、再び開かれる——。★




