第十九章:ウェアウルフの衝動との闘い
カラン——
ドアが勢いよく開いた。
「頼む! 俺に合う仕事を探してくれ!」
入ってきたのは、ウェアウルフだった。
逞しい体躯に、荒々しい毛並み。鋭い牙を持ち、夜の獣としての本能を宿しながらも、その表情には焦りと悩みが浮かんでいる。
「おお、ウェアウルフまで来たか!」
誠が腕を組みながら見上げる。
れなが冷静にノートを開く。
「お名前は?」
「ルガードだ。」
「ルガードさんですね。それで、本日はどんなご相談でしょう?」
ルガードはため息をつきながら、拳を握る。
「……満月の夜に暴れたくなる衝動のせいで、まともな仕事に就けないんだ。」
誠とれなが顔を見合わせる。
「衝動……?」
「ああ。普段は普通に暮らせるんだが、満月の夜だけはどうしても抑えきれない力が溢れてしまう。 どれだけ冷静になろうとしても、体が勝手に動いてしまうんだ。」
ルガードは悔しそうに拳を握りしめる。
「この性質のせいで、落ち着いた仕事は全部クビになった。オフィスワークは無理だし、接客業も難しい……。でも、俺だって働いて生きていきたいんだ!」
れなが頷く。
「つまり、体を動かして衝動を発散できる仕事がいいってことですね?」
「そういうことだ。」
誠がニヤリと笑った。
「だったら、総合格闘家になれ!」
ルガードが驚いたように顔を上げる。
「格闘家……?」
れなが頷く。
「ウェアウルフの身体能力の高さと戦闘本能を活かせる仕事よ。満月の夜の衝動も、試合の日と重なれば最高のパフォーマンスになるんじゃない?」
誠がさらに補足する。
「しかも、お前みたいな獣の力を持ったファイターが出てきたら、絶対に盛り上がるぞ! なんなら、『満月の獣』ってリングネームもアリだな!」
ルガードはしばらく考え込んだ。そして、ゆっくりと笑みを浮かべた。
「……面白い。俺にピッタリの仕事かもしれないな。」
そして、力強く拳を握る。
「よし、俺は格闘技の世界で生きる!」
結果:ウェアウルフの新たな道
数ヶ月後——
ルガードは、総合格闘技界のスターとして頭角を現した。
彼の試合は常に激しく、特に満月の夜の試合では圧倒的な強さを見せつけることで知られ、観客は彼を「満月の獣」と呼んで熱狂した。
「俺は、衝動に振り回されるだけの獣じゃない。俺は、リングの上で自由になる。」
届いた手紙には、そんな言葉が書かれていた。
「さて、次はどんなモンスターが来るかな?」
相談所のドアが、再び開かれる——。




