第十六章:ハーピーの空を超えた才能
カラン——
相談所のドアが開いた。
「こんにちは……ここで仕事を探せると聞いたのですが……」
透き通るような美しい声が室内に響く。
入ってきたのは、ハーピーだった。しなやかな翼を持ち、風のように軽やかに歩く姿。しかし、その顔にはどこか不安げな表情が浮かんでいる。
「おぉ……ハーピーか!」
誠が感心しながら椅子を勧める。
れながノートを開く。
「お名前は?」
「セレナです。」
「セレナさんですね。それで、本日はどんなご相談でしょう?」
セレナは少し躊躇いながら、翼をそっと畳んだ。
「……私、飛ぶことしか取り柄がないんです。」
誠とれなが顔を見合わせる。
「飛ぶことしか……?」
「ええ。ハーピーは空を飛べるのが特徴。でも、それ以外のことはあまり得意じゃないんです。戦闘力もそれほどないし、力仕事もできないし……。飛ぶことを活かせる仕事があるのか、不安で……」
れなが頷く。
「つまり、自分の才能を活かせる仕事を探しているってことですね?」
セレナは小さく頷く。
「はい。でも、何ができるのか分からなくて……」
誠がニヤリと笑った。
「あるじゃねぇか、ぴったりの仕事が!」
セレナが驚いたように顔を上げる。
「……何でしょう?」
「オペラ歌手になれ!」
セレナが目を丸くする。
「オペラ歌手……?」
れなが頷く。
「ハーピーの声って、普通の人間には出せない音域や響きがあるのよね? それなら、歌の才能があるはず。試しに、少し歌ってみてもらえますか?」
セレナは戸惑いながらも、そっと目を閉じる。そして、透き通るような美しい旋律が室内に響き渡った。
「……す、すごい……!」
誠もれなも思わず息を呑む。
「セレナさん、その声はただの才能じゃないわ。天賦の才よ!」
誠が力強く頷く。
「お前なら、観客を魅了するオペラ歌手になれる! 飛べることと関係なくても、お前の歌は間違いなく世界中の人を感動させるはずだ!」
セレナはしばらく呆然としていたが、やがて目を輝かせた。
「……私、歌えるんですね……! そんな道があるなんて思ってもみませんでした!」
結果:ハーピーの新たな道
数ヶ月後——
セレナは、「天空の歌姫」の異名を持つオペラ歌手として、世界中の舞台で活躍することになった。
彼女の声はまるで天上から降り注ぐ風のように美しく、観客たちは彼女の歌声に魅了され続けた。
「私はただ飛ぶだけの存在ではなかった。私には、人の心に響く歌がある。」
届いた手紙には、そんな言葉が書かれていた。
「さて、次はどんなモンスターが来るかな?」
相談所のドアが、再び開かれる——。




