第十四章:スライムの柔らかすぎる悩み
カラン——
相談所のドアが静かに開いた。しかし、誰も入ってこない。
「……ん?」
誠が首をかしげた次の瞬間、ぬるりとした音とともに、透明な物体がゆっくりと床を這ってきた。
「す、すみません……」
申し訳なさそうな声が、室内に響く。
「おぉ!? スライムか!」
れながメモを取りながら微笑む。
「お名前は?」
「プルルです……」
「プルルさんですね。それで、本日はどんなご相談でしょう?」
プルルは体をくねらせながら、悲しげに答えた。
「……僕、柔らかすぎて戦えないんです……。」
誠とれなが顔を見合わせる。
「柔らかすぎる?」
「はい……。ほかのモンスターたちは、爪や牙や魔法で戦うことができるのに、僕はただのスライム……。攻撃してもぷよんってなるだけで、全然ダメージを与えられません。」
プルルは小さく震える。
「だからいつも、すぐ倒されてしまうんです。勇者が来ても、スライムごときに苦戦するわけないとか言われて、あっという間にやられてしまう……。もう戦うのに疲れました……」
れなが頷く。
「つまり、戦わずに生きる道を探したいってことですね?」
「はい……でも、こんな柔らかい体じゃ、何もできないんじゃないかって……」
誠がニヤリと笑った。
「あるじゃねぇか、ぴったりの仕事が!」
プルルが不安そうに体を揺らす。
「な、なんでしょう……?」
「高級クッションの仕事だ!」
「……えっ?」
「お前、柔らかいんだろ? だったら、その柔らかさを活かして、リラクゼーションの仕事に就けばいい!」
れながさらに補足する。
「最近、スライムのような柔らかいクッションや、ぷにぷにマッサージが流行ってるのよ。プルルさんの体の感触なら、最高のリラックス体験を提供できるはず!」
プルルは驚いた様子で、自分の体をぷにぷに揺らす。
「……僕の、この柔らかさが役に立つんですか?」
「もちろんだ! しかも、お前なら自分で形を変えられるんだから、枕にもクッションにもなれるし、最高のマッサージ体験を提供できるぞ!」
プルルはしばらく考えた後、少しずつ体をふわっと膨らませた。
「……なんだか、楽しそうかも。」
そして、ゆっくりと頷く。
「やってみます!」
結果:スライムの新たな道
数ヶ月後——
プルルは、究極のリラクゼーション施設「スライム・スパ」を開業した。
その圧倒的な癒やし効果は口コミで広がり、予約が殺到。
「ぷにぷに感がたまらない!」
「マッサージの概念が変わる!」
「スライムに包まれる幸せ……最高……」
人々はプルルの極上のリラックス体験に夢中になった。
「僕は戦うより、人を癒やす方が向いてたみたいです!」
手紙には、そんな言葉が書かれていた。
「さて、次はどんなモンスターが来るかな?」
相談所のドアが、再び開かれる——。




