第百一章:食人植物の共存への道
カラン——
相談所のドアが開いた。
……が、誰も入ってこない。
「またか?」
誠が立ち上がり、あたりを見回す。
その瞬間——部屋の隅で何かが蠢いた。
「……ここが仕事を探せる場所か?」
低く、ねばつくような声。
誠が視線を向けると、緑色の大きなツルがゆっくりと動き、巨大な顎を持つ植物が姿を現した。
れながノートを開く。
「……食人植物ですね?」
「ああ。」
「お名前は?」
「ヴェノムリーフだ。」
「ヴェノムリーフさんですね。それで、本日はどんなご相談でしょう?」
ヴェノムリーフは、ゆっくりと大きな顎を動かしながら、葉を震わせた。
「……俺は、人間に怖がられる。」
誠とれなが顔を見合わせる。
「怖がられる?」
「ああ……俺は本能的に動くものを捕らえ、喰う。だが、それが原因でどこに行っても忌み嫌われ、切り倒される運命にある。」
ヴェノムリーフはツルをゆっくりと巻きながら、静かにため息をついた。
「俺はこのまま、ただ恐怖の象徴として滅ぼされるのか? それとも、この力を活かせる道があるのか?」
れなが頷く。
「つまり、自分の特性を活かしつつ、人間と共存できる仕事を探しているってことですね?」
「ああ。しかし、そんなものがあるのか?」
誠がニヤリと笑った。
「あるじゃねぇか、ぴったりの仕事が!」
ヴェノムリーフが興味を示すように、大きな葉をわずかに持ち上げた。
「……何だ?」
「害虫駆除専門の植物になれ!」
ヴェノムリーフの顎がピクリと動く。
「害虫駆除?」
れなが頷く。
「ヴェノムリーフさんの獲物を捕らえる能力は、害虫駆除に最適よ! 人間の畑や森林を害虫から守る『捕食植物』として活躍できる!」
誠がさらに補足する。
「最近は、化学薬品を使わずに害虫を駆除する方法が求められてるしな。お前がやれば、『生きたバイオガーデニング』として、農家や自然保護団体に重宝されるぞ!」
ヴェノムリーフはしばらく考え込んだ。そして、ゆっくりと根を広げ、満足そうに葉を揺らした。
「……なるほど、それは確かに俺にしかできない仕事かもしれないな。」
そして、力強く地に根を下ろし、新たな決意を固めた。
「よし、俺は害虫駆除の専門植物になる!」
結果:食人植物の新たな道
数ヶ月後——
ヴェノムリーフは、「バイオ・ガーディアンズ」という農業支援プロジェクトに参加し、害虫駆除に特化したバイオ植物として活躍するようになった。
彼の活動は「環境に優しい害虫駆除の革命」として話題になり、多くの農業関係者や研究者が彼の力を求めるようになった。
「俺の捕食本能は、ただの脅威じゃなかった。今は、大地を守るためにある。」
届いた手紙には、そんな言葉が書かれていた。
「さて、次はどんなモンスターが来るかな?」
相談所のドアが、再び静かに開かれる——。★




