ハジマリのようななにか
第三話となっております!ここまで見てくださった皆様に感謝を。
今回も見ていただけると非常にうれしいです。
「今日のこの時間は来週の課外学習の班決めをする行います、一緒に組みたい人のところに各自移動してくれ!」
俺は教師のこの言葉に思わずフリーズしてしまった。正直な話をすると組みたい、と思う相手はいないし、かといって自分から行くのも面倒ではある。どうするか、と悩んでいると自分の席に近づいてくる人が数人いた。半分ほど忘れてしまっていたが、おそらくは先日カラオケに行った際に同じ部屋にいたクラスメイト達だろう。
「何か用か?」
「もしよかったら課外学習、同じ班で行動しないか?」
言葉ではそっけない感じになったが、クラスメイトの提案に対して内心ではこれで楽ができる。なんてたわいないことを考えていた。まあ、先日同じ部屋になったのも何かの縁か、という考えに至り、了承の返事を出そうとしたところにもう一人こちらに近づいてきた。おそらく…というか確実に内海さんだ。比較的印象に残っていたから顔と名前が一致しているため、間違えることはないだろう。
「私も班に混ぜてもらってもいい?」
彼女はそんなことを言ってきた。正直な話、俺とクラスメイト達を足しても3人、班は最低でも4人必要なため、彼女が入ってくれることで余計な労力を割かずに班ができるため、助かる、というのが本音である。そのように考えてからの俺の答えは決まった。
「いいぞ、内海さんも同じ班で構わないか?」
「うん!もちろんだよ!」
「じゃあ決まりだな!」
クラスメイト達の提案に了承の意を示し、内海さんに対しても当たり障りのない答えを出す。彼女とクラスメイトもそれに賛同し、これで俺は労力を割かずに班が決まったことになる。お互いにWin-Winだな、とつまらないことを考えつつ、後の時間は物語の世界に没頭でもするか、と思って本を出したところでクラスメイトがこんなことを言ってきた。
「そういえば俺たち白宮に自己紹介してなかったな、クラスの自己紹介の時もお前は本を読んでたわけだし。」
「そうね、内海さんはあの後席まで行ってたけど私たちは結局カラオケでも自己紹介できてなかったし。」
そう言われたら思い当たる節は山ほどあるため、今回はおとなしく聞くことにする。
「それじゃあ改めて…俺は宮本達哉、よろしくな」
「私は近本菜々美、よろしくね」
「そうか、よろしく」
返事をしつつ、男子の方が宮本で女子の方が近本、と頭の中で顔と名前を一致させ、自分の中に刻み込む。
そうしていると、いきなり内海さんが地図を広げだした。今回の課外学習の行き先である京都のものだろう。
「みんなはどこを回りたい?私は無難に清水寺に行くのもいいと思うんだけど…」
「そうだな…二条城とかも行ってみたいな」
「私は北野天満宮に行ってみたいかな」
3人がそれぞれの意見を出し合って楽しく話している中、俺は移動の問題等について考えていた。はっきり言うと今回の課外授業の自由時間は約3時間ほどであり、清水から北野天満宮や二条城まで行くとなると一時間半弱かかる。計算が終わった俺は挙手をして
「それはいいが、移動時間の問題もあるぞ…さすがにその3つは厳しい」
と、自分の意見を述べた。それに対して3人はスマホを取り出して移動時間を調べた。その結果、大きな反論もなく、どうするか、ここじゃなくてこっちに行くのはどうか。様々な意見が交わされているのを見て、期待感からか、俺は珍しく顔に笑みを浮かべていた。
今回も見ていただき、ありがとうございました!
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