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プロローグ(2022年3月15日 タイトル修正)

俺は今、そよ風が吹く中のアスファルト舗装の道を憂鬱な様子で歩いていた。桜が舞い散り、小学生らしき幼い子供とその親らしき人が一緒に歩いたりしている中で見るとある意味異質に見える。実際に周りの人からの目線の様なものを感じているが、気のせいだと信じることにする。


「入学式めんどくさいな…何も起こらなきゃいいが」


心の声が思わず周囲に漏れてしまうが、今は些細なことだ、これからの出来事に対して憂鬱な気持ちを少しでも紛らわせるためには仕方ないことであり、俗にいうコラテラルダメージなんだろうな、なんてくだらないことを考えつつも桜並木が並んでいる川沿いの道を歩いていく。入学式までまだ時間があるため、このようなペースで移動ができるといっても過言ではないだろう。


憂鬱なまましばらく歩いていると俺が入学する「私立白野宮学園」の校門が見えてきた。すでに数人、中がよさそうなメンバーで集まっているのを見てげんなりしつつも、自分のクラスを確認するために玄関口の前に張られている張り紙を確認する。どうやら1組のようで、見知った名前は一人もいないことを確認し、ほっと一息をつく。そのまま玄関に入り、上履きに履き替えた後、地図を確認し、まっすぐ教室に向かう。


教室に到着するとすでに何人かの新入生が集まって談笑している様子が見られた。とりあえず周りの様子をスルーしつつ、決められた自分の席に座って紙とペンを出し、趣味でやっているゲームの高難度コンテンツのギミックに対する攻略イメージを書き込むことで入学式が始まるまでの時間を潰すことにした。


しばらく書き込んでいると、教師の声が聞こえたため、周囲をみると移動の用意を始めていたため、それに便乗して席を立ち、移動の用意を行うことにした。

そうして体育館へと移動し、校長の長ったらしい挨拶や生徒会のあいさつなどがあったが、正直に言うとどうでもよかったので右から左に聞き流した。

挨拶が終わり、教室に戻ると教師が黒板に何かを書き始めた。何事か?と思ってみていると、黒板には「永田 修哉」と書かれていた。教師の名前だろうか、等とくだらないことを考えていると


 「じゃあまずは俺から自己紹介だな!俺は永田(ながた)修哉(しゅうや)、担当科目は現代文だ!一年間よろしくな!それじゃあ出席番号順に自己紹介していこうか!」


 こんなに暑苦しいのに体育教師じゃないのか、とあっけにとられているとクラスメイト達の自己紹介が始まった。そんな自己紹介がしばらく続いていたらとうとう俺の番になった。めんどくさい、という気持ちを抑えて教壇の前に立つ。


 「出席番号12番、白宮(しらみや)夕月(ゆづき)です。よろしくお願いします。」


 なにも特筆すべき点がない自己紹介だが、謎の達成感が俺の中にはあった。周囲の様子を無視して自分の席に座り、本を開いて物語の世界に没頭することにした。

 物語の世界に没頭している俺を置き去りにしてクラスメイト達の自己紹介が着実に進んでいく。


 「ねえねえ、白宮君…であってるよね?私内海(うつみ)(れい)()!これからよろしくね!」


 「そうか、まあよろしく」


クラスメイト達の自己紹介が終わったのか、いつの間にか肩をたたかれており、ちょうど物語の世界から出てきたところであったため、つい反応をしてしまった。黒髪ロングの可愛い系、間違いなく美少女の分類に入る人物に対して、周囲から見ればかなりそっけない反応であったが、正直面倒な気持ちが勝っており、後悔はなかった。


 「内海さん!今度の土曜日クラスのみんなでカラオケ行くんだけど一緒に行こうぜ!」


 そんな俺の様子を知ってか知らずか、その他のクラスメイトが先ほど俺に声をかけた女子に声をかけていた。これで解放される。なんて思っていると…


 「いいよー!白宮君も一緒に行こうよ!きっと楽しいよ!」


 あまりの衝撃に一瞬固まってしまったが、すぐに正気を取り戻した。正直な話、その日は空いているから時間的には何の問題もないのだ。だが、先ほどのそっけない対応からも分かるかもしれないが、俺は人付き合いが面倒と感じるタイプなので断ろうとも考えていたが、ここで変に目立つとこれからの学校生活に大きな支障が出るかもしれないとも直感がささやいていた。そのため、どうするか悩んでいたが


 「まあ、いければ行くよ」


 と言って取り合えずお茶を濁しておくことにした。そんな俺の思惑など知ったことではない、といった様子で目の前の彼女は


 「OK!駅前のカラオケ店に行くみたいだから待ってるね!」


 といって他のクラスメイトとの談笑に戻っていった。いつもは面倒と感じる人付き合いだったが、不思議と彼女との会話は面倒に感じなかった。これで少しは物語でよくあるような青春というものが理解できるのかな、などとたわいないことを考えつつ、クラスメイトの談笑風景をひとまず眺めることにした。


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