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駐在さんだよ、石川さん!  作者: エンタープライズ窪
9/10

お化けだよ、石川さん!

 真夜中のことだった。


 俺がぐっすり寝ていたところを、何者かが駐在所の戸を叩いて邪魔をしてきた。


「……んだよ! 寝てんだぞ!」


「マッポ! 助けろ! やべえんだよ!」


 鈴村の声だ。

 俺は警棒を持って外に出る。

 1発かましてやろうと思ったのだ。


 しかし、いざ外に出てみるとそんな気分ではなくなった。


 鈴村達暴走族連中が、珍しく泣きながら立っていたのである。


「……どうした」


「やべえんだよ! マジでやべえの見ちまった!」


 鈴村の言葉に、他の暴走族連中もうんうんと頷く。


 どうしたってんだよ……。


「一回落ち着こうぜ。な? 上がってくか?」


「……いいのか? 本当に助けてくれよぉ……!」


 その時。


「うわぁ! 来た!」


 誰かが叫ぶ。


 見れば、何かが全速力でこちらに走ってくる。


「あ?」


「ぎゃーっ!」


 俺は顔を顰めてそいつを見た。


 こちらに走ってくるのは赤い服の女で、走る速さが尋常ではない。


 おまけに、何かよくわからないことを叫んでいる。


 真夜中だというのに、迷惑でしかない。


「あいつ、俺達のバイクより速えんだよ!」


「何ぃ? だったら交通違反じゃねえか」


「しかも殺すって言ってくるんだよ!」


「脅迫も追加か?」


「山田が田んぼに突き落とされた!」


「暴行も追加ってわけか」


 俺は腕を捲り上げ、警棒を構える。


「待てやコラ!」


 俺は女の前に立ちはだかる。

 それでも彼女は止まらなかったので、俺は警棒を女めがけて振り下ろした。


 ようやく女の動きが止まる。


 よく見ると、本来眼球がある位置にはぽっかり穴が空いていた。

 深夜にコスプレして人を脅かすなんて悪趣味な奴だ。


「おい、お前!」


「……殺す」


「馬鹿じゃねえのか! 何時だと思ってんだ!」


「殺す殺す殺す殺す」


「聞けよ!」


 ビンタが炸裂。


 女は茫然と突っ立っている。


「えー、あんた住所は? 家族は?」


「あ……あう……」


「言えないの? まあいいや。あんた、今何時かわかるか? みんな寝てる時間だぞ。それなのにこんなコスプレして人を脅かすなんてさ、やってることヤバいよ」


「あ、あの……」


「あ?」


「コスプレじゃ……ない……」


「嘘つけ。いいから、大人しく法の裁きを……」


「……このお巡りさん、怖い……」




 女をその場で取り調べする石川。

 鈴村は仲間と顔を見合わせる。


「ユーレイ相手に……」


「職質か……?」


 恐ろしい警官だと再認識した夜であった。

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