仲介役だよ、石川さん!
俺は駐在所の前で騒ぐ声によって叩き起こされた。
せっかく美女とお付き合いできる夢を見ていたというのに。
「何だよこんな朝っぱらから! シバくぞ!」
俺は、声の主を怒鳴りつけてやろうと外に飛び出す。
そして、驚愕の光景を目にした。
「ナメやがってクソ女共! マジで殺すぞ!」
「うわー、殺すだって! マジで草なんだけど。ないわー!」
鈴村率いる暴走族とJK2人組が言い争っていた。
「ちょっと下手に出ればいい気になりやがって! よっしゃ、放課後学校裏来いや! ぶっ潰してやらあ!」
「あー、言ったね! いいよ、ツイッターに顔晒してやるから! 覚悟しときな!」
「ストーップ!」
俺は暴走族と女子達の間にスライディングで割り込む。
「あ、イシカワじゃん。聞いてよ! 男子がさぁ!」
「うるせえ! 聞けよマッポ! 女子共が……!」
「えーい、やかましい! 何やってんだお前ら!」
「喧嘩だよ喧嘩! こいつら、俺達のことをクソダセェって笑ってきやがってよ!」
「はぁ⁉︎ ダサいじゃん! あんたらも腐女子キモいとか言ったくせに!」
こりゃ、だるい。
このままだとしばらくうるさそうだ。
「んじゃ、俺が仲介役になってやる」
「……は?」
「……へ?」
俺は腕まくりすると、鈴村と坂尾を引き寄せる。
「喧嘩両成敗ってことで、2人とも殴る」
「「……はぁ⁉︎」」
抵抗する2人だったが、俺は容赦なく拳を振り上げ……。
「ごめんなさい! 仲直りするから許してください!」
「本当にやめてよ! もう騒がないから!」
「ならばよし。ほら、解散だ解散」
こうして、俺の見事(?)な仲介のお陰で事態は解決したのだった。
この後坂尾と駒居にはツイッターにこのことを晒され、上からこっぴどく叱られる羽目になったのは、別のお話。