雨
雨が降っていた。
散らかった部屋のベッドに、男が一人転がっていた。目は覚めていたが、起き上がることができなかった。昨日仕事でへまをやった。ざらにある失敗で、男を責めるものはいなかった。それが尚更つらかった。
仕事へ行こうか、それともこのままズル休みをするか、悩んでいるうちに9時を過ぎてしまった。
電話が鳴る。相手が誰か、すぐに察した。「どうしたんだ」と問う相手に「今日はお休みさせていただきます」と答えた。電話の相手は休暇を了承したあと、昨日の小言を少しだけ言った。
男は一日寝ているつもりだったが、腹が減った。冷蔵庫にも食べ物はない。男は渋々着替えて玄関を出た。
雨は止んでいた。