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うみねこダイアリー  作者: 碧 青空
5/5

1年春 ほっかほか玉子焼き


午前の授業が終わり、学生ホールの掲示板で午後の授業を確認すると、3時限目が休講、4時限目が通常通りとなっていた。


さてと、どうしたものか・・・


下宿に一度戻って即席ラーメンを食べて、のんびりしてから、また、学校に来ようか・・・

そういえば、以前ピンパが学食の玉子焼きがおいしいって言っていたなぁ。

あれからなかなか学食に行ってなかったからなぁ。

よし、学食に行ってみよう。


青八工業大学の学食は、体育館と一緒の建物に入っている。

学校の総務とか図書館が入っている建物とは、離れており、機械工学棟や建築工学棟とかからも離れている。

学食は、どこの棟とも連絡通路がないので、雨が降ってくるとものすごく行きにくくなる。



学食の建物に入るとほんのり暖かい。

中は結構広い空間なのだが利用している学生が少ない。

これはもったいない。

時間を見ると午後1時頃だったので、みんな授業を受けているためだったのかもしれない。


注文口に行って玉子焼きとご飯、味噌汁を注文する。


「すみません、ご飯と味噌汁、玉子焼きをお願いします。」


「はいよ~、ご飯が50円、味噌汁が80円、玉子焼きが100円で、合計230円だよ。」


「はい、230円」


お金と引き替えに、おばちゃんが食券を渡してくれるので、隣の受け取りカウンターに食券を差し出す。

料理するおばちゃんが食券を確認すると、ご飯を茶碗にてんこ盛りで、味噌汁もこぼれる寸前くらいのお椀をトレーに乗せてくれる。

玉子焼きは最後になる。


玉子焼きの調理方法は見ていて感動する。

玉子を溶いてある大きなボウルから、大きなお玉ですくい上げ、これまた大きなフライパンにそそぎ込む。

玉子がまだ固まる前に長い菜箸で玉子をかき回し、玉子が固まってきたところで、かき回すのをやめてフライパンを斜めにして柄を”トントン”して玉子をまとめる。

まとまったところで皿に”サッ!”と移す。

見ている間に”ほっかほか”の大盛り玉子焼きができあがってしまった。

時間にして1分も掛からなかったように思える。


「はいよ!」


カチャ・・・


おばちゃんが受け取りカウンターで注文した、ご飯、味噌汁、大盛り玉子焼きをトレーに乗せて出してくれる。


「はい、どうも・・・」


”ホッカホカ”の湯気が出ているトレーを受け取って、テーブルに移動する。

トレーをテーブルに置くと、ご飯、味噌汁、大盛り玉子焼きから白い湯気が立ち上り、俺の鼻をくすぐる。

テーブルの箸立てから、エンジ色の箸を1膳取り寄せて、そしておもむろに・・・


「いただきます・・・」


”そっと”つぶやいて味噌汁を一口すする・・・


ずずぅ・・・


・・・はぁ~・・・


「うまい!」


思わず口にしてしまう。


味噌汁が五臓六腑に染み渡る。


次にほっかほかの玉子焼きを箸で1/3ほど分けて、口に運ぶ。


玉子焼きが口の中で”とろぉ~”と溶けだして、生の玉子に戻ったかのような錯覚にさせる。

そして、ご飯を口にほおり込み、口の中で程良く馴染ませる。


「うまい!!」


思わず”そっと”叫んでしまう。


おっと、玉子焼きにソースを掛けるのを忘れていた。

俺はソース派だ。

ここのソースは中濃ソースなので玉子焼きにはぴったりだと思う。


玉子焼きにソースを掛けて食べ直すと・・・


「はぁ~これはもうなんというか・・・」


「なんと言うんだい?」


「なんだろなぁ・・・トリュフを食べてる感じだろうか?」


「ほほぉ、クロちゃんは食通だね~」


「いや、トリュフは食べたこと無いけどね・・・あはは。っていつのまに来てたんだ?」


テーブルの正面には木野と熊田が、自分と同じメニューを乗せたトレーを置いて座っていた。


「いや~クロちゃんはおいしそうに食べるね~見ていて楽しよ!」


木野が玉子焼きに醤油を掛けていた。


「うんうん。」


熊田は物も言わず黙ってうなずいて食している。


「そう?それにしてもこの玉子焼き、おいしいよね?」


「俺さ~おばちゃんが卵焼きを作っているところを見ていたけどさ、あれはもう職人級の腕だよ。」


「うんうん・・・」


「木野もそう思う?作る時間もあっと言う間でさ、なんかもう、芸術的だったね。」


「それでこの、おいしさだろ?言うことないじゃん!」


「うんうん・・・卵焼き、お代わりしてくる。」


熊田が追加注文に行った。


「あれじゃ~太るよな?そう思わない?北村ちゃん」


「・・・うん」


「あれ?いつのまに?ずっといた?」


「なにを言ってるかなぁ。俺らと一緒に来たんだよ。ずっといたでしょ?」


熊田が追加の卵焼き、ご飯をトレーに乗せて帰って来た。


「そうだっけ?北村ごめん、気が付かなかった・・・」


「・・・うん。気にしていないから・・・大丈夫。」


「あんまり玉子焼きがおいしかったので、夢中になってた・・・あはは・・・」


俺は隣に座っていた北村に気がつかなかった。


「だよなぁ、話しかけるまで、まったく気が付かなかったもんなぁ。」


「面目ない・・・」


「それで、このあとどうする?1時間空いたけどさ!」


「あ、俺は下宿に戻って昼寝かな?」


「それはだめだよ! 4時限目にこれなくなるね、クロちゃんなら・・・!」


「え?そうかなぁ・・・」


「それなら、ここから1番近いクロちゃんの下宿にみんなで行けば大丈夫じゃない?」


すべてを平らげて満足そうな熊田がよけいなことを言ってしまった。


「そうだね、そうしよう。北村も行くだろ?」


「・・・うん、行ってみたい。」


「来てもいいけどさぁ・・・何にもないよ~俺の部屋はさぁ。」


「うん、大丈夫さ。ここでぼーっとしていても仕方がないからね。」


「うんうん。」


「わかったよ。ま、とりあえず・・・北村が食べ終わったら行こうか。」


北村は大盛り玉子焼きを持て余しているようだった。






俺は北村の”ごちそうさま”を合図に、3人の物見遊山を連れて、通称”けものみち”を歩いて下宿に向かった。

3人の物見遊山は、ここを歩くのが初めてのようだったようで、周りを物珍しそうに見ていた。

この”けものみち”、学校側を見ると林になっていて鬱陶しいが、国道側を見るとリンゴ畑になっているので見晴らしはよい。

昼間は歩きやすいのだが、夜になると真っ暗闇になるので懐中電灯がないと、足を取られてこけるかもしれない。



「ここがクロちゃんがお世話になっている下宿屋さんか。ホント、下宿って感じだね!」


「うんうん。」


「みんなは下宿じゃないの?」


「俺はアパートだよ。」


「木野はアパートかぁ、熊田は?」


「俺は下宿だ。」


「そっか・・・北村は?」


「僕はアパートのような下宿?かな・・・」


「え?アパートのような下宿って、どんなの?」


「鉄筋コンクリート3階建てのアパートなんだけど・・・管理人さんが24時間居て、時間を守らないと食事が無くなる。門限なんかを守らないと、追い出される・・・」


「なんか、厳しそうな下宿だね。」


「うん、厳しい・・・厳しすぎる・・・」


「すごいじゃん!なんか監獄並だね!」


「それは言い過ぎ何じゃない?」


木野がつっこんだ。


「いや、先日も帰りが数分遅れて、怒られた。・・・できれば違うところに移りたいくらい・・・」


「そんなにかぁ・・・ふぅ~」


思わずみんなため息を付いてしまった。


「まぁ、細かい話は部屋でしようか。」


俺は下宿の玄関を開けた。


カララ・・・


「ただいまぁ・・・」


下宿の扉を開けて玄関に入ると、食堂にいるおばちゃんが、見知らぬ人と話していた。

その人は、ちらっとこちらを見たので、軽く会釈をした。

すると話が終わったようで、そそくさと2階に上がって行った。


あれはミシナさんが言っていた噂の小林さんかもしれない。

初めて見た。


物見遊山の3人も玄関に入ってきた。

ちょうどそのときに食堂からおばちゃんが出てきた。

ちなみにここからは、おばちゃんとの会話はたぶんこう言ったんだろう変換をしています。


「おばちゃん、なにかあったんですか?」


「コバヤシさんがなかなか学校に行かないから、ちょっと説教をしていたんだよ。」


「そうなんですか・・・」


「コバヤシさんは、地元の人だからね、なかなか下宿にもいないから連絡先を教えて置いてほしいものだね~」


「そうですね。僕もあまり見たことがないので・・・」


自分たちではどうしようもないことのようなので、話を聞いてもどうすることもできない。

ましてや、先輩だし、面識もないから尚更だ。


「あ、おばちゃん、友達を連れてきました。少しの間構いませんか?」


「あぁ、寝てる人もいるかもしれないから、静にね。」


「はい、分かりました。」


俺はみんなをおばちゃんに紹介した。


「こんにちわ~」


「お邪魔します。」


「は~い、いらっしゃい!」


おばちゃんが母屋に戻っていった。

俺は物見遊山の3人を部屋に連れていった。


「できるだけ静にしてね。」


「ok!クロちゃんの部屋はどこ?」


「2階の北側の部屋だよ。」


階段をそろりと上がってもらい、3人を部屋に案内した。


「何もないだろ?」


「うんうん、こんなもんじゃないの?」


熊田が部屋の中を見回していた。

木野がベッドの赤い台に興味を持ったようだ。


「あれ?クロちゃん、これってコーラの箱かい?」


「そう、よく分かったね。」


「おもしろい事してるよね。」


「・・・実にユニーク・・・」


無口な北村が興味を示した。


「まぁまぁ、その辺に座って・・・」


そういえば、お茶も何もないな。


「あ、コーラでも飲む?」


「いや、いいよ。お腹いっぱいだしさ。」


「うんうん。」


「そう、じゃー、まぁ、のんびりして。」


「そんなに気を使わなくても大丈夫だよ。クロちゃんの部屋に興味があったからね。」


木野が部屋を見回しながらニコニコしていた。


「・・・これはどうなっているの?」


北村はコーラの箱に興味を示したようで、

布団をめくっていた。


「北村ちゃん!そこはまずいって!」


すかさず木野が止めに入った。


「・・・え?」


「いやそこは・・・あぁ・・」


俺は止めようとしたが間に合わなかった。


布団の間から、デラ・べっぴんの本が出てきた。

北村はその本を手に取ると、めくって見て固まった。


「北村ちゃんの好みでもいたかな?」


木野がちゃかした。


「うんうん、こっちにも見せて!」


熊田も興味しんしんだ。


「・・・はっ!」


北村は反射的に本を元の場所に戻してうつむいて固まってしまった。


「これは、その、なんというか・・・ははは・・・」


俺は笑ってごまかした。


「そうだよ、北村ちゃん。ここは武士のなさけだからね。見なかったことにしてあげようね!」


木野が熊田を押さえつけながら笑っていた。


「・・・そう・・・だね・・・」


北村もぼそっと、返事をした。


「これ、この”こちら葛飾区亀有公園前派出所”の単行本を見ない?山止たつひこの・・・おもしろいよ。」


「・・・うん、ありがとう・・・」


木野が話を変えるように・・・


「それはそうと、ステレオとかないの?」


「ありません・・・というか、揃えたいんだけど、なかなか手がでません!」


「そっか~、小型のアンプなら譲ろうか?AIWAの小型アンプ。」


「え?木野持ってるの?」


「ステレオ一式を買ったから、小型のアンプが余ってるんだよね。手のひらに乗るサイズだよ。」


「是非、安く譲ってください。」


「いいよ~今度持ってくるから。学校で渡すよ。」


「おぉ、ありがたい!よろしくね!」


俺は思わず、木野に向かって手を合わせた。


「熊田は何か持っている?」


「俺はSONYのステレオラジカセを持ってるよ。」


「結構いいものもってるじゃん!」


木野が熊田のふにゃふにゃの腹をつついた。


「北村は?」


「・・・僕はミニコンポを持ってる・・・」


「おぉ、今はやりのミニステレオコンポかぁ。」


「・・・そんなにいいものじゃない。音もそこそこだし・・・」


「いや、あるだけ立派だよ。なぁ、木野!」


「まぁ、俺の敵ではないね!」


「なんで張り合うかなぁ・・・」


「あはは・・・」


3人は苦笑してしまった。


「あとはスピーカーとカセットデッキがあれば、なんとかなるんだけどなぁ・・・」


俺は”レコパル”という雑誌を取り出して見せた。


「スピーカーは安くても数万円はするな。」


熊田が雑誌を斜め読みしている。


「俺のステレオは、パイオニアのセパレートで揃えたから、全部で20万したよ。」


「そんなにかぁ・・・誰かスピーカー持ってないかなぁ・・・」


すると木野が


「あのさ~、ここの下宿人に電気工学科の人っていないの?」


「う~ん・・・」


俺は腕組みをして考えた。


「あ、隣の部屋の先輩が電気工学科だ!」


「いるじゃん!」


木野があきれ顔でつっこんできた。


「でも、あんまり見たことがないんだよなぁ・・・」


「怖い先輩?」


熊田がぼそっと言った。


「いや、そうではないと思うんだけど、あまり部屋に居ないんだよ。実家が地元だから帰ってることも多いんだ。」


「・・・扉に書き置きするといいかもしれない。」


北村がコーラの箱にもたれながら単行本を読みながら言った。


「そうだな、そうしよう!」


そのとき、隣の部屋の鍵を開ける音が聞こえた。


「あれ?クロちゃん、隣の先輩が帰ってきたんじゃない?」


「あ~、ほんとだ!帰ってきたね。ちょっと言って聞いてくる。」


俺はすぐに隣の部屋の扉をノックした。


コンコン!


「は~い!どうぞ~」


「あ、隣の黒崎です!お邪魔します。」


「お、クロちゃんか。どうかしたかい?友達が来ているのかな?少しにぎやかそうだったけど・・・」


「はい、3時限目が休みだったので友達が時間つぶしに来たんです。」


「そっか。で、何かあった?」


「はい、実はスピーカーを探してまして、お金もないので、余っているスピーカーとか、持っていませんか?」


「余ってはいないけど、規格外の壁掛けようのスピーカーを持っているぞ。自作だから音はよくないけど・・・いる?」


「いります!是非譲ってください!お金ないですけど・・・」


「あはは、いいよ、持ってけ!あげるよ。ほんとに音は悪いよ。鳴るだけのスピーカーだ。」


先輩は押入から高さ30cmくらい幅が20cmくらいで、厚さが15cmくらいのスピーカーを取り出してきた。


「これだよ。」


「おぉ、これは・・・」


「見た目はネットが張ってあって高級そうに見えるけど、奥行きがないからいい音はでないんだ。」


「確かに・・・フロントバスレフタイプのミッドレンジタイプですね。」


いつの間にか、木野が部屋に入ってきていた。

熊田と北村も扉からのぞいていた。


「お、そんなとこにいないで、みんな部屋に入っておいで。」


そういうと先輩は手招きして見せた。


「・・・おじゃまします・・・」


北村は俺の後ろに座って見ていた。

熊田は木野の横に座ってスピーカーをのぞき込んでいた。


「それ、おもしろいだろ!俺の自作なんだ。」


「よくできてますね!1wayミッドレンジタイプだ。」


熊田が感心している。


「まぁ、これでも音はなるから音楽を聴くには困らないと思うよ。」


「はい、ありがとうございます。実はどこかにスピーカーはないかと、みんなに話していたとこだったんです。そこに先輩が帰ってきてくれたので助かりました。」


「そうだったのか。ちょうど用事があって、下宿に寄ったんだが、ちょうどよかったな。今、実家の農家が忙しいからなかなか下宿でのんびりできなくってなぁ。また、実家に戻らないといけないんだ。」


「そうだったんですか。」


「な、クロちゃん。みんなでクロちゃんの部屋に来て正解だったろ?」


木野が得意そうに、にこにこしながら立ち上がった。


「うん、まぁね。助かったよ!」


「そろそろ時間だね~」


木野が腕時計を見た。


「あ、ほんとだ。いかないと・・・先輩、スピーカー、ありがとうございました!」


「うん、大事に使ってやってね。」


「はい、大事にします!でわ、学校に行ってきます。」


「うん、俺はまたとんぼ帰りだけど、またな。」


俺はスピーカーを持って先輩の部屋を出て、自分の部屋に戻った。


「クロちゃん、よかったね!」


「うん、みんなのおかげ・・・かな?」


「だろ?ヨーグレットでいいよ!」


熊田がめがねを指先で上げながら言った。


「まぁ、そのうちね!時間もないから急いで学校に戻ろう!」


俺は話をそらした。


「あ~もうそんな時間?」


熊田が廊下を歩くと、床が”みしっ”と鳴った。


「おまえは太りすぎ!」


俺は思わずつっこんだ。


「床が痛んでいるんじゃない?」


熊田が笑いながら廊下を歩いていた。


「じゃ、戻ろうか。」


「・・・もどろう。」


北村も後を付いてきた。


「あと1時間半、がんばろ~」


俺は気合いを入れた。


「クロちゃん、静かにしないとだめなんじゃない?」


「はい、すみません・・・」


みんなは静かに廊下を歩いて玄関に向かった。

俺は部屋の中を確認してから、扉を閉めた。




みんなが玄関を出たとこで熊田が聞いてきた。


「4時限目はなんだっけ?」


「心理学だよ。」


「工業大学で心理学も珍しくない?」


「そう?俺はおもしろいから好きだけどね。」


俺は”けものみち”を歩きながら答えた。


「教員免許を取る学生は、児童心理学も取らないといけないらしいよ。」


木野が歩きながら言った。


「教員かぁ、みんなは取るの?」


「俺は取らないよ。」


「熊田は?・・・取らないか?」


「うんうん、取らない。」


「北村は?」


「・・・いらない。」


「そういう、クロちゃんは?」


「もちろん、取らない。勉強を教える柄じゃないしね。」


「そっか。でも、教員免許取らない学生も、結構、児童心理学を受けているらしいよ。」


「おもしろそうだよね。俺も受けようかなぁ。」


「ちなみに児童心理学は3年になってからだよ。クロちゃんあわてすぎ!」



「そっか、あはは・・・」


俺は物見遊山3人組を無事引率して、学校に帰って来た。


「う~ん、午後の授業はけだるい、でもスピーカーが手に入ったしよかった!」


「みんなで行ってよかっただろ?」


木野がぼそっと言った。


「ま~ね~、早く授業が終わらないかなぁ・・・」


俺は伸びをしながら言った。


「クロちゃんはげんきんだ。」


木野があきれ気味にしていた。


「それが心理だよ!」


熊田がかっこよく言ったが、みんな無視していた。


「なぁ、俺いいこと言ったよなぁ。なぁ・・・」


熊田の声が周りに響いていた。


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