終末都市
僕とダグラス、アサギは今後の予定を話し合っている。
ダグラスは、まずは夢で見た羅針盤を探すべきと主張。僕もソルトのために、それに賛成する。
問題はその羅針盤がどこにあるか、だ。
アサギが口を開く。
「多分だけど、その羅針盤は、カルドの錬金術の遺産物の一つだと思う。」
考え考え、ゆっくりとそう口にするアサギ。
「パパの遺産物?」
「カルドの死で、様々なものが遺されたのは、リリスも知ってるでしょ? 私たちが魔力を回収しているビン×∞も、そうだし。錬金術の知識も、バラバラになりながらもこの世界のクラウド領域に残されていた。シロガネがそれを異世界知識のスキルを応用して一生懸命、各地から集めて、今の私たちや各地にいるホムンクルス達をうみ出している。その知識の中に、確か羅針盤の形をした道具が、あったはず。」
アサギはゆっくり、考えを整理するように話し続ける。
「カルドは、シロ姉さんをうみだす前、世界各地を放浪していた時期があったらしい。多分、どこかでその羅針盤を作ったんじゃないかと思う。」
「カルド殿の遺物だとすると、スポット化している?」
ダグラスはアサギに問いかける。
「きっとそう。問題はどこのスポットなのか。ダグラスの夢じゃあスポットの中を見通せないんでしょ?」
「ああ、無理だ。多分干渉する力が強すぎるせいだろうな。もしそれが出来ていたら、もっと早くにレインホールド隊長を見つけているさ。」
自嘲気味に話すダグラス。
「じゃあじゃあ、どうするの? どうやって、スポット探すの?」
僕が話すのに、何故かダグラスとアサギはさきに二人で視線を交わしてうなずき合っている。
「もう、またっ!」
ダグラスがぷんすかしている僕を宥めながら話す。
「ああ、すまない、すまない。いく場所は一つだ。この世界に唯一残された人類最後の都市。地下大空洞に築かれた終末都市ヴィルト。そこの大書庫を目指す。」