2.店内を見て回る
陳列棚に並んだ幾つものストラップをひどく真剣な顔で吟味している優香に声を掛けるのは憚られた。
とりあえず、彼女がある程度選ぶのを待って、それから彼女から意見を求められたら答えることにしようと考え、僕は別の陳列棚を見て回ることにした。
おそらくかつてはこの屋敷の調度品だったのだろう、年季の入ったアンティークな戸棚やテーブルがそのまま商品を陳列するためのスペースとなっている。
ステンドグラスの食器棚を開くと、棚のそれぞれの段に彫金細工や象牙の彫刻像が並び、その一つ一つに小さな値札がついていた。
テーブルには、これも商品なのだろう、ハワイアンキルトのテーブルクロスが掛けられ、その上には木や貝殻や真珠のペンダントやイヤリングやピアス、指輪といった装飾品が並んでいた。
その中でもとりわけ指輪に興味をそそられた。
一粒の石がついたものから、小さい石が幾つもついたもの、石の種類もダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルドなど多種多様。素材も金、銀、プラチナ、チタンなどがあり、どれがいいのかよく分からない。
彼女の左手の薬指にはどんな指輪が似合うだろう?