共通③ これから
「あのナタカリ様」
「咲菊矢と呼ぶ事を許可しよう」
貴族は真名という本当の名前を人に言わないときいたことがある。偽の名だから是とされたのだろう。
「わたしは貴方様の為になにをすればよいのでしょうか」
「さては暇か、そうなのであろう。農民は休みなく働いて休みは正月くらいと聞くからな」
貧しいので働いているのだが、働かなくていいならしないだろう。
「仰る通りです」
「では奴と屋敷内を廻っておれ」
トウキさんに促され、部屋を後にした。
「あれが主様の連れてきた娘か、どれほどの美姫かと思えば存外華やいだところのない娘だな」
「しっ!聞こえるよ。告げ口でもされたらどうするのさっ」
下働きの男女が通りがかりに私について話をしていた。
角を曲がると下働きの人が増える。
「そういえばきいたー」
「なにがだい」
「最近ここらで人斬りがばっこしてるらしいよ」
「そいつぁ怖いねぇ……」
あ、あの男は牛舎を引いていた人だ。
「げっ!」
「ちょっとなんだい」
「ちょっくら主様に呼ばれてんだ。悪いなあ!」
見ていると気がついた男はばつを悪そうに女の人に手をふって去っていく。
「あの、トウキさん」
「はい」
「さっきの三枚目な人は?」
「手前の女人と話していた下男ですか?充節といって金さえ払えばなんでもする汚い人間です」
トウキさんは充節って人が嫌いなのか、冷たくいってのけた。
「奴の話はこのあたりで、どこか行きたい場所は?」
「ごめんなさいこの広いお屋敷にどんな素晴らしい場所があるのか想像も着かなくて」
「そうですね。では……」
■移動先をお選びください。
[農園]
[動物小屋]
[まだ歩く]