緑溢れるエルフの里の惨状・・・。
前回からかなりの時間が経ってしまいましたが、
本日よりこちらの更新を勧めていきたいと思います。
誤字脱字が多いかもしれませんがご容赦ください。
事を起こす前に現状の確認だが、ゲーム時代に訪れた時とは明らかに違う点がいくつかある。
世界樹が枯れて見えないのは当然の事だとしても
キース含めエルフの村人の数が明らかに少ない。
ここの着てから数えても5人居るか居ないかだ。
「キース、俺の記憶違いでなければ、もっと多くの村人達が居たと思うのだが、村の現状に嫌気がさして旅にでも出てしまったのか?」
「いや、誠に申し上げにくいのですが他の村人は・・・・。」
嫌に含みのある言い方だな・・・・。
知らない間に伝染病の類でも流行って死んでしまったとでも言うのか・・・。
「みての通り、世界樹が枯れてしまった影響で辺りのマナが希薄になり
尚且つ、世界樹の根元から溢れ出ていた水も枯れてしまい
里中に溢れていた緑もご覧の有様でして・・・・。
村人全員の生活を維持する事が無理だと判断し、若い者達が中心となり
冒険者家業を生業とし、老人と子供達で世界樹が完全に枯れてしまわないように維持しているのでございます・・・。」
「長老様!こ、こんな奴になんでそんな事説明するんだよ!
俺の父ちゃんや母ちゃんだって必死なって戦って、長老様や他のチビ共だって毎日遠い川まで水を汲みに行ったり木々の手入れをしたり必死に頑張ってるんじゃないか!」
「それは、そうなんじゃが・・・・。」
「なるぼどな・・・・。」
最悪の状況って訳じゃなかったのが不幸中の幸いか・・・。
現実世界の木々と違ってこの世界の木々はある意味生物の生命線とも言われていた筈だ。
何故かと言えば、現実世界の木々は水と二酸化炭素を基に太陽の光で光合成をして酸素を作り出す。
それを生物が消費してと循環するのが基本だ。
しかし、この世界では少し役割が重要な方向へ傾く。
周囲にある魔素を取り込み木々の内部で浄化しマナへと変換して世界へと還元する役割も持つのだ。
しかし、世界樹が枯れてしまった影響で浄化能力が極端に落ちてしまい
循環のサイクルが回らなくなってしまったと言うことだ。
「よし、俺のやるべき事は解った任せておけ!」
「ジ、ジンタ殿一体何をなさるおつもりで・・・・。」
「たかだか人間一人に何が出来るって言うんだ!
神様にでもなるつもりかよ!」
「あぁ、そうだなタダの人間一人に出来る事なんてたかが知れてるな。
でもな坊主、何が出来るかじゃないんだ、何を成すかが問題なんだぞ?」
そう、タダの人間に出来る事なんかたかが知れてるのだ、タダの人間であればだ。
俺は、この世界をゲームとしてではあるがそれこそ10年以上、ゲーム内部の時間に換算すると数百年単位でやりこんだのだ。
一人、また一人と仲の良い仲間達がリアルの事情だったり
長期化する事による飽きであったりと次々去っていく中
何故かやめる事が出来ず、また辞めたいと思うよりもっと色々な事がやりたいと言う欲求に寝食すら忘れて没頭し続けてきたんだ。
ゲーム時代に培った技術や課金アイテムがある。
この世界には存在しないかもしれない物だが使わずに後悔するより
使って後悔したいと俺は思う。
どんなに贔屓目にみても現状は生物の存在すら危ぶまれるのが現状だ。
何故なら、世界のマナが希薄になれば魔法が使い辛くなる所か
魔法の効果自体が薄くなる。
逆に、魔素を好む魔物や魔族などが活性化してしまうのだ。
まぁ、活性化した魔物や魔族からは良質な魔石が取れる為に一概に悪いとも言いがたいのだが、このままいけば世界は魔物と魔族しか残らないと言っても過言では無いだろう。
「よし、まずはこれか・・・。」
村の中心にある溜池だった場所の中心に降り立つ。
「キース達は上で待っててくれ、危ないから絶対に降りてくるなよ~。」
そう声をかけると、キース含め残った村人達は溜池の淵の所で不思議そうに底の俺を眺めている。
「おい、そんな所を掘ったって水なんか出てこないんだぞ?
何ならスコップでも貸してやろうか?」
また、あの坊主だ。
「あぁ、大丈夫だ自分の手持ちがある。」
まぁ、正確には道具では無いんだがな。
「召喚:土精霊」
そう、精霊を呼び出したのだ。
俺が掘る訳ではなく精霊に頼んで少し溜池を改造する。
改造と言っても溜池の真ん中を円柱状に持ち上げドーナツ状にする。
「ノームよ、マナが希薄で辛いと思うがこれを足しにしてくれるか?」
そう言って俺はノームにリンゴ大の魔石を三つほど手渡す。
するとノームの顔が一気に笑顔になり魔石を次々に飲み込んでいく。
精霊の言葉は解らないが此方の意図は理解してくれる為こういった作業の時は大変助かるんだ。
笑顔のノームは一気に作業を進めあっと言う間に溜池に円柱を作り上げた。
「ありがとう、ノームまた来てくれるか?」
当然返事は無いが、笑顔で頷いて手を振っている。
俺も手を振り、別れの挨拶を済ます。
「おい、人間の癖になんで精霊を呼べるんだよ!
オイラだってまだ呼べねぇのに・・・。」
「ん~。まぁ、あれだ50年も修行すれば呼べるようになるさ。」
「おっさんなんてどう見ても50年修行した様になんて見えねぇじゃねぇか・・・。」
「それは企業秘密って奴だ・・・。」
「キギョウヒミツ?意味側からねぇよ!」
「ほっほっほ。冒険者の方々は子供の頃に何度も出会ったがみんな不思議な力を使っておったのぉ。」
「でも、溜池の真ん中に土の柱を作ってもなんの解決にもならないじゃないか!」
「土の柱だけならな。柱の天辺を良く見てみろよ。」
「ん~?なんだありゃ?」
「ふむ。女神様の像が壷を肩に乗せておるのぉ。」
「長老様、よくあんな遠くが見えるなぁ・・・。」
「それでは、始めるとするかな・・・。
起動!! 」
設置したのは、課金アイテムのランダムBOXから出るいわゆるハズレの一つで
原理は不明だが設置して起動させると永遠に水がでてくるだけのアイテムだ。
難点としては、設置したら移動は出来ず、水も止める事が出来ないと言うもので、水を止めるにはアイテムその物を破壊するしかないという事位だ。
プライベートハウスに設置すれば水汲みの必要はなくなるが漏れなく家の中に川が出来る。
まぁ、流れ出る水は女神像の加護でもあるのか、少しだが聖属性を帯びているというおまけつきだ。
錬金術や鍛冶で使う水としては便利なんだがイマイチ人気が無い(そもそも生産職が少ない)為、一般的にはハズレアイテムとして二束三文で売り買いされていた物で、自分のハウスの中にも大量に死蔵されていた記憶がある。
「ちょ、長老様!み、みずが・・・・。」
「ジ、ジンタ殿これは一体・・・。」
「あぁ、水に困る事がなくなれば老人や子供が毎日苦労して遠くの川まで水汲みに行かなくてもいいだろ?」
などと会話をしていると、茶色一色だった里の木々に一気に緑の葉が付き始める。
世界樹の恩恵が無いとは言え、水自体に聖属性があればそれを吸い上げた木々がこの辺り一体の魔素を浄化する位は問題無いだろうと思ってはいたが
ここまでの即効性があるとは思ってもみなかったな・・・。
「里中の木々が蘇ってゆく・・・・。」
「おいおい、キースこの位の事で泣くなよ・・・。」
キースのシワだらけの顔に涙の川が出来る。
「ふん、人間にしてはなかなかやるじゃねぇか。」
「ん?良く聞こえないな?何か言ったか?」
「ありがとうって言ったんだよ!ばーかばーか!」
「ジンタ殿、誠に申し訳ない・・・。」
「気にするな。あの位の子供じゃあんなもんだよ。
さて、俺にはもう一仕事残っているから、キースは村人達にも水汲みの心配は無くなった事を伝えてくれるか?」
「これ以上なにをなさると言うのですか?
あまり無理をされると、ワシも心配ですぞ?」
「あぁ、この位なんでもないぞ?何をするかはまた後でな。」
次回、ジンタは何をする気なのでしょうか?
ジンタは生産職メインの為俺TUEEEは無いと思いますが
自重は現実世界へ忘れてしまったらしいです。