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とある薬師の受難  作者: 散歩道
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いざ、大穴の底へ

薄暗い大穴の中へと降りていく俺たち一行。


「あんちゃん、いつまで歩けば良いんだこれ?」


「俺に聞いても解るわけ無いだろ?」


「だって、二時間以上降り続けてるじゃん・・・。


このまま降りていって何も無かったらどうすんだよ・・・?」


「まぁ、確かに長い事降り続けているが、何も無いって事はあり得ないぞ?


魔物が襲ってくる頻度がかなり上がってきたしなぁ。


後一時間もすれば底まで辿り着くと思うぞ?」


「うへぇ・・・。後一時間も歩くのかよー。」


「みなさん、お喋りをしている所に大変恐縮ですがまたお客様ですよ?」


「ほら、噂をすればなんとやらって奴だ。」


大穴の底に着いたのは、だらだらと無駄話をしつつ明かりに誘われてくる魔物を倒しながら降りる事さらに二時間後の事だった。


「あんちゃん、もう疲れたよ~。」


「お前ら何の為について来たんだ?俺達はこれからダンジョンに入るんだぞ?


しかも、降りてきた時間よりこれからの時間のが遥かに長いんだぞ?」


「俺たちだって、ダンジョン位行った事あるよ!


ダンジョンはまだ良いじゃん!階段とかあるし!


真っ暗な穴をひたすら降りるだけって退屈過ぎるよ!」


「お前ら、やっぱり遊びに行く感覚でついてきたんだろ!


必要最低限は自分で戦えよ?」


「俺たちだって一応冒険者だぜ?

あんちゃん達に鍛えられてあれから少しは強くなったんだぞ!」


「それは楽しみだなぁ。


まぁ、死ぬ前には助けてやるが基本的に前進優先だから足手纏いになるようなら容赦なく置いて行くから覚悟しておけよ?


さぁ、休憩は終わりだ。さっさと行くぞ。」


大穴の底、重厚で禍々しい模様の描かれた扉の前に立つ。


「あんちゃん、これビクともしねぇよ?どっかにスイッチとかあるのかな?」


「お前ら、本当に何もしらねぇんだな。


ある程度の難易度のダンジョンになると扉も侵入者を選ぶんだよ。」


そういいつつ、ダンジョンの扉に手を置く。


「何だよ、あんちゃんだってそう言いながら魔法でぶっ壊すんだろ?」


「良いから黙ってみてろ。」


ガキ共を黙らせると、扉にあてた手から魔力を流し始める。


するとどういった原理かは不明だが、手を中心に禍々しい模様が光り始める。


「ちっ・・・。なかなかやるじゃねぇか。」


何に苦戦しているかと言うと、流す魔力にもかなりの抵抗がかかる。


一定の魔力の強さで流し続けても光が戻ってくる、抵抗に併せ流す魔力の量を調整する必要があるのだ。


「主殿いけそうですか?」


「あぁ、もう少しだ・・・。」


その言葉の直後、ぼんやりとした光が一際大きく輝くと硬く閉ざされた扉が勝手に開き始める。


「すっげぇ・・・。」


「おめぇらも良く覚えておくんだな。ダンジョンは言ってみれば生き物と大して変わらねぇんだ。


ある程度成長の進んだダンジョンはダンジョン自身で侵入者を選ぶんだ。


性質の悪い奴らになればダンジョンの扉を破壊したり、破壊できないからって入り口自体を埋めちまう奴らだって居る。」


「でもさ、あんちゃん。なんでそんな面倒な事するんだよ?」


「ダンジョンに聞いたわけじゃねぇが、弱い冒険者が入ってきてもダンジョン自体には旨みが無いだろ?


ある程度自分に見合った冒険者じゃなけりゃ罠やらお宝を用意しても意味がなくなっちまう。


お前らだって、飯は美味いものが喰いたいだろ?」


「俺らって飯かよ・・・。」


「そりゃそうだろ。


ダンジョンに入る侵入者が中で戦闘する際に流す魔力や感情がダンジョンにとっての飯なんだから。


質の悪い飯の種は誰だって嫌だろうし、クリアーされないように徐々に中身の敵や罠を強化して何度も来させるのがダンジョンの目的だと俺は思っている。


成長したその先に何があるかはわからねぇがな。」


「あんちゃんってマジですげぇな・・・。なんでそんな事まで知ってんだよ?」


「だから、殆どが俺の憶測だって言ってんだろ。


御託は良いからさっさと行くぞ。早くいかねぇと魔王バカだっていい加減限界が近いと思うぞ?」


「なんだかんだ言ったって、あんちゃん魔王さんの事信用してんだねー。


バカバカ言う割には助けに来ちゃうし。」


「お前ら此処で留守番してるか?」


今は少しでも時間が惜しい為ガキ共を置いてさっさと扉に向かって行く。


「あんちゃん、待ってくれよー!!」


ダンジョンに潜り始めると、一階層目から劣化竜などの中堅クラスの魔物が出てきた。


「うへぇ。また劣化竜かよ・・・。さっきも倒したばかりじゃん。」


「おいおい、まだまだ一階層だぞ?


先は長いんだ、油断するとあっという間にダンジョンに喰われちまうぞ?」


そう、いくら低層だからと言っても油断をすれば死が訪れるのがダンジョン。


まだまだ経験の浅いコイツらにはまだ解らないだろうが、常に余力を残しつつ次を見据えなければいけない。


魔物を倒し終えて次の会に進んだ途端部屋の中に魔物の群れが居て降りてきた階段が消えてしまったり。


罠は数え始めたら切がない。


音もなく変動する通路。突如口をあける落とし穴。足元に現れ違う場所へ転送される転送魔方陣。


その後、魔物の強さは格段にあがっては行くものの俺達は最下層の扉と思われる場所へと辿り着く。


「あんちゃん、これで三日目だよ?いい加減最後の扉だよね?」


「俺に聞いても解るわけねぇだろ?開けてみりゃ解ることだ。」


そう言いつつ、扉に手をかけようとするとどうだろう。


硬く閉ざされた扉が勝手に開く。


「また、厄介そうな部屋だなぁ。」


部屋の壁には円を描くように蜀台が並び、その床には入り口の扉の様な禍々しい模様の魔方陣が書き込まれている。


「あんちゃん、なんだか嫌な気配がするよー。」


「良いから、さっさと行くぞ。」


ぞろぞろと部屋に入り、魔方陣の上に立つ。


案の定魔方陣が光り始める。


「な、なに?罠か!?」


「いや?どこかに転送されるんだろうな。まぁ、壁の中や水の中じゃない事を祈るんだな。」


「うそだー!帰る、俺やっぱり帰るよー!!」


「もう遅い、転送が始まるぞ。」


こうして、俺達は転送先不明の転送装置で最終フロアと思われる場所へ転送されるのだった。







更新が遅くなって申し訳ありません。


次話もなるべく早くあげれるようにがんばります。

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