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とある薬師の受難  作者: 散歩道
30/43

どこの世界も貴族はマトモな奴が少ないようです。

前回の続きです。

誤字脱字あれば訂正いたしますのでご指摘ください。

ギルド一階の受付の反対側にある酒場のスペース。


並んでいた机や椅子は俺の座っている椅子を除き壁際に積まれている。


「おい、てめえら自分が何をしたか解ってんだろうな?」


「「「・・・。」」」


誰も口を開こうとしない中、ぶくぶくと太った20代も半ばだろうか見た目は完全に中年のおっさん風の奴が無許可で正座を崩す。


ヒュッ!!サクッ!!


「ぴぎぃぃーー!」


無言でそいつの股座またぐらの間にナイフを投げつける。


「おい、オークが紛れ込んでるんじゃないか?」


余りに情けない声に笑いそうになるが、必死に我慢する。


「俺様がオークだと!

貴様、貴族の俺様にこんな事をしてタダで済むと思っているのが!」


豚君が息を荒げながら文句を言ってくる。


濡れたその股間と足元の水溜りさえ無ければ多少はマシになったかも知れない。


「よし、その勇気に期待して質問しようか?

ここのギルドマスターはどいつだ?」


その質問に豚君は固まるも誰がギルドマスターかは周りの視線で一目瞭然である。


そう、豚君以外の全員の視線が豚君に集まる。


「し、知らないぞ!」


視線に気づきシラを切る。


「ギルドマスターが誰が指を挿せ。そうしたら、減刑を考えてやろう。」


言うが早いかほぼ全員(豚君含め)が豚君を指差す。


「あ、いや、これは・・・。」


「堂々と嘘をつくふてぶてしさ。流石だ。おい、セバス居るんだろ?隠れてないで出てこい。」


「何ですか?折角隠れて見物していましたものを・・・。」


「なんで、ウチのガキ共がココに来てんだよ?」


そう、俺がギルドに着いた時に絡まれていた餓鬼と言うのはウチの近所の村に住んでいる餓鬼共4人組だったのだ。


「ほうほう、主殿も遂にウチのと言いましたね?


この子らは数年前の流行病で親が死んでしまった為、少し早いですが独り立ちの為に冒険者登録を三ヶ月前にさせたんですよ。


その後、勉強の時間以外鍛錬に時間を費やし今に至ると言う訳です。」


「やっぱりお前の差し金か・・・。


そうでもなければ4人平均で10歳程度の餓鬼にオーガが狩れる訳はねぇからな。


お前らの処分は後で考えるから、先に城に戻ってやがれ・・・。」


餓鬼共は叱られると思い意気消沈しながらギルドハウスから帰路へついた。


まぁ、三ヶ月でオーガを倒せるようになったんだ。

もう少し鍛えてやれば十分世間でも通用するだろう。


「さて、残ったのは本気で救えねぇ屑どもだな・・・。


見た目が餓鬼だからって余りにも安易に考えすぎなんじゃねぇか?


今ここに居る連中に聞くがてめぇらのランクは幾つだ?


さすがにFランクはいねぇと思うが、ランク毎に並びなおせ。」


するとだ、驚愕の事実が判明する。


ここに居る屑どもの数は30弱。しかも大半がDランクだったのだ。


5人ほどがCランク。Bランクは居らず何故か豚君がAランクだそうだ。

まさに職権乱用。金の力でギルマスの席に収まった癖に勝手に自分のランクをA

に上げたようだ。


「おい、豚君。キミはAランクだと言うがランクの重みが解っているのか?


Aランクと言うより、Bランク以上は指名依頼やその他強制参加しなければいけないクエストもあるはずだ。


実力が伴わないランクは確実に処罰対象になり、最悪死刑にもなりうるんだぞ?」


そこまで説明したところで余裕の笑みを浮かべていた筈の豚君の顔が驚愕の色に染まる。


「まさか、知らずにランクは高い方が持てるとか考えて勝手に上げたんじゃないだろうなぁ?」


「どきっ!」


口に出して愕く奴も初めて見たな・・・。


「豚君に言い提案がある。」


「な、なんだ?」


「実力が伴わないのであれば、実力をつければいいんだよ。

誰も文句の言えない位強くなればね・・・。」


「そ、それが出来たら僕がこんな屑共の相手なんかしてる訳が無いだろう。


ウチの兄貴達は王城で騎士団長や助祭などの役職に居るのになんで僕だけこんな場末のギルドマスターなんだよ・・・。」


最後の方は聞き取れない位小さな声で呟いている豚君。


まぁ、セバスの地獄のフルコースでも与えてやれば最悪Cランクまでは首が突っ込めるだろう・・・。

まぁ、死ななければと言う前提はつくけどな・・・。


「おい、セバス。責任をとってお前が豚君の面倒を見るんだ。期限は餓鬼共と同じ三ヶ月。


手段は任せる。制限は死なせない事位だ。半分くらいは人間をやめても構わん。」


豚君は最初黙って聞いてた物の、最後の言葉にさすがにクレームを入れてくる。


「死ななければって、どんな過酷な事をさせるんだよ!

ボクは貴族なんだぞ!お前達愚民と一緒にするんじゃない!」


「なんだ?今すぐ死にたいのか?そうかそうか、二目と見られぬ姿にしてやろうか?


それとも、オークの巣に丸裸で放り込んでやろうか?


運が良ければ嫁さんが見つかるかもしれないぞ?」


「嫌だ!嫌だ!俺は家に帰るんだ!!」


「ダメですよ?主殿の言いつけを守らないと私が罰を受ける羽目になるんですからね?


さぁ、今は一秒でも時間が惜しいのですぐに行きましょう。


よろしいですね?主殿?」


「あぁ、期限は三ヵ月後。この時間に此処の場所で落ち合う事にしよう。」


「御意!!」


セバスは言葉短く返事をすると玩具を手に入れた子供の様にニコニコしながら豚君を引きずっていった・・・。


さて、残るのは権力に屈した受付共と戦う事を半ば放棄した屑共だ・・・。


「おい、残りの連中は俺が面倒見てやりたいがそうもいかねぇ。


俺も忙しい身の為しょっちゅうはココに来る事が出来ないからな。


その代わり、ウチのメイドを二人ほどココに寄越すからしっかり指導してもらうんだな。


ちなみに逃げたい奴は逃げても良いぞ?


だが、逃げるなら明日の朝までに最低でも国三つは跨がないと確実にココに連れ戻される上に


他の連中の三倍の修行が待っているからな?」


そこまで説明したところで全員の顔を見ると、大半のヤツラがキョトンとした顔で見てくる。


「あぁ、ちなみにウチのメイドは最低でも劣化竜ワイバーンを一人で倒す事が出来るから

安心して良いぞ?」


全員が全員そんなまさかって顔をしてやがるな・・・。


そこでアイテムバックから火龍の尻尾を出して放り投げる。


「ほら、俺がメイドより強い証拠だ。

さすがにウチのメイドでも一人じゃそこまで強く無いが、さっきの劣化竜ワイバーンを倒せるってのがウチの雇用の最低条件だからな・・・。」


「「「「・・・・。」」」」


「ん?なんだ質問でもあるのか?今なら特別にタダで質問に答えてやる。」


全員無言で首をふる。


なんだつまらねぇな・・・。


「質問が無いようなら以上で解散だ。お前ら机と椅子は戻して置けよ?


後、さっきの餓鬼共が持ち込んだ素材の買取を今すぐ、適正価格で出せ。」


受付のヤツラ以外が机などを戻し始め、受付嬢達は顔面蒼白になりながら何やら計算を始める。


たかだかその程度の計算でいつまでかかってる事やら・・・。


コレはウチの餓鬼共より厳しい勉強が必要だな。


こっちに送るメイドにキツク言い聞かせておこう・・・。


「こ、こちらになります・・・。」


「ふむ。内訳はどうした?」


「えっ!?」


「え?じゃねぇよ。何がどの位の金額だったかって聞いてんだ。

解体の仕方が不味かったとか色々あるだろう・・・。」


「は、ハイ。解体に関しては問題は無く。素材関係で金貨8枚。魔石で金貨4枚。となります。」


まぁまぁ妥当な所か・・・。


「じゃぁ、明日の朝7時にはここに全員来るように。ウチのメイドもその時間に来るように伝えるからな?」


全員がこちらを振り向き無言で頷く。


なんだ、少しは反抗してくれた方が面白いんだが・・・・。


まぁ、これで俺は城に戻るとするか・・・。









面倒事はセバスとメイドに任せて自分は楽しい事に集中しようと言う魂胆の丸見えなジンタ。


城に戻った後の子供達の事が心配でなりません。


次回更新までお待ち頂ければと思います。

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