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とある薬師の受難  作者: 散歩道
3/43

腹ごしらえとおっさん

少し間が空きましたが3話目の投稿となります。

彷徨う主人公ジンタさてどうなるかは続きをどうぞ。

太陽の高さから見るにまだ昼少し前といったところだろう。

さっき目覚めたばかりなのもあるが、空腹感は無い。

干し肉を齧りながら、山と太陽を背に歩き始めて二時間ほどだろうか

運良く川を見つけ川沿いを下り始める事さらに二時間経った頃川沿いに

野営をしたような後を見つけた。


「ふむ。ここは何度も誰かが野営をした形跡があるな。

闇雲に歩き回るよりここで何日か野営した方が懸命だな。」


などと考えていると、なにやら気配を感じる


「ぉ?レイジングボアか。

干し肉にも飽きてきた所だし、丁度いい晩飯だな。

しかし、武器が無いがどうするかなっと・・・。」


アイテムポーチを確認すると、解体用のナイフは入ってたものの

元々が生産活動メインになってしまった為武器になるような物が手持ちには無かった。


「無いからと言ってお預けなんて無理な話だ。

まぁ、アレくらい素手でも何とかなるだろう。

まずはゆっくり近づいてっと。」


ソロリソロリと近づいていく。

ヤツ自体は喉が渇いていたのか川に口を付けて水を飲んでいる。

大体5メートル位まで近づいただろうか。


(よし、この位近づけば気が付かれたとしても一撃入れられそうだ)


そう思った時、不意に顔をこっちに向けたヤツと目が合う


「マズイ、逃げられる!」


ボアは水を飲むのを止め後ろの獣道を戻ろうとする


「往生せいやーーーーーー!」


掛け声と共にレイジングボアの頭めがけてダッシュし蹴りを放つ

しかし、当たった感触は無くレイジングボアは走り去っていくのが見えた。


「ありゃ、空振りか・・・。

まぁ、川には魚もいるだろうし焼き魚も悪くは無いなっと。」


空振りに終わった事を忘れようと川の方へと歩き始めた時に

後ろの茂みからなにやら茂みに突っ込む音が聞こえてくる。


「ぉ?どうやら掠めていたのか後から脳震盪でも起こしたかな?」


そう思い音のした方へと歩いてくと、先ほどのレイジングボアが茂みの奥ので倒れていた。


「あれ?これってさっきのヤツだよな・・・?」


そう思うのも当然の事だが、何故かレイジングボアの首から上が無いのだ・・・。

胴体はまだ温かく、今しがた首が切断されたかのように四肢が痙攣している。


「うん。理由はわからんが。棚ボタってヤツだな。」


生来の性格なのかあまり物事を深く考えない性質だった為、

そそくさと解体を始め今夜食べる分を除き残りの肉や毛皮をポーチにしまう。

内臓系は変な病気になっても困ると思い木の根元を掘り埋めた。


「いやー、ラッキーラッキー。

これでしばらくはうまい肉が食えるなっと。

でも、二~三日中に残りは干し肉にしないと腐っちまうからな。」


それもそのはず、ポーチの中身は時間の流れこそ遅いものの決して時間が止まっている訳ではないのだ。

薬品系は時間劣化はないのだが薬草や肉など生ものは徐々に品質が低下していくのだ。

ポーチの中は大体現実世界の時間の一割程度の速度で時間が進む。

捌いてすぐならば二~三日ていどなら問題ないがさすがにそれ以上は焼いても食うのに勇気が要るようになる。


「まぁ、今夜は豪勢にステーキだな。」


と言いながらも皿や鉄板などは持ち合わせが無い為

モモ肉を木の枝で挟んで焚き火で直火焼きにして

調薬や錬金でも使う素材の為大量に持っていた塩を振りかけてかぶりつく予定だ。


「そろそろやけたかなー?」


日もとっぷり暮れた頃焚き火の前に座り油の滴るボア足の塩焼きを前に

俺のテンションはMAXだった。

ところがその時・・・・。


「ぐぅ。きゅるるるるる~。」


「ん?俺の腹の音じゃねぇぞ?」


そうして振り向くとレイジングボアの頭を片手に

今にも倒れそうな顔をしたおっさんが立っていた。


「なんだ?おっさんこれは俺の晩飯だぞ?

先に言っておくがやらないからな!」


「おいおい、ワシはまだ何もいっとらんぞ。人を見るや何たる言い草だ。」


「おっさん、口では言ってないかもしれないがさっきの腹の音で

モロバレなんだよ。

しかもなんでレイジングボアのあたまなんて抱えてこんなトコにいるんだよ。」


「んむぅ。正直腹が減っているのは嘘ではないが、

これには深いわけがあるんじゃよ。

狩をしにこの森を歩いてるとじゃな、突然上からこの頭が降ってきたんじゃ。

そのお陰で、頭から血をかぶってしまい川で洗ってもそう簡単には血のにおいなんて落ちやしないから収穫なんてさっぱりなんじゃよ・・・。」


(やっべー、完全にそれって俺のせいじゃねぇか。なんとかごまかせねぇかな・・・・。)


「おい、おっさん。

おっさんは結構な軽装だがこの辺に住んでるのか?」


「ん?あぁ、ここから二時間位歩くとワシの住んどる村があるんじゃが

さすがに歩き通しの上空腹じゃ帰るに帰れんくてのぉ。

いつも野営をしとるとこの近くじゃったから、川で魚をとって食おうかと思ったら先客がおったと言う訳じゃ。」


「よし、じゃぁおっさん肉を食わせてやるから今晩泊めてくれよ。

旅をして歩いてきたは良いがどうやら道を見失っちまったみたいで

若干困ってたところなんだよ。」


「ふむ。見たまんま冒険者じゃったか。

まぁ、ワシは一人暮らしじゃが、そんなに小綺麗なとこじゃないぞ?

所詮は野郎の一人暮らしじゃて。」


「あぁ、俺も冒険者だ。

雨風さえしのげれば馬小屋だって文句はねぇよ。」


(よし、なんとかごまかせそうだ)


「よし、おっさん交渉成立だそこにすわんなよ。

丁度いい具合にモモ肉が焼けた所だ。

今からもう一本焼くって訳にもいかねぇから半分で我慢してくれ。」


とは言うものの、頭ですらおっさんが抱える位の大物の足一本だ

正直俺には半分でも食い切れるか怪しい代物で残ったら後で食うつもりだったのだ。


「おぉ。良いのかすまんのぉ。

んでは、お言葉に甘えてじゃ。」


言うが早いかおっさんが肉にかぶりついた瞬間目が飛び出る位見開く。


「おい、まさかお主この肉は塩をかけてあるのか?」


「あ?何言ってんだよ。

肉だけなんて味気ねぇもん食えるかよ。」


そういうと肩がもげるかと思う位強く掴まれた


「お、お主まさかとは思うがアイテムBOX持ちか?」


「あぁ、持ってはいるがそんなに珍しいモンじゃねぇだろ」


「お主本当に冒険者か?

世間一般に手に入るようなものは二日分の食料がギリギリ入るかのレベルだぞ?」


「話からするとお主のアイテムBOXは相当な容量のようじゃのぉ。

一飯の恩があるから言わせて貰うが、その話をおいそれと言うもんじゃ無いぞ。

下手なトコへ情報が漏れる様な事があれば最悪国におわれるぞい」


「おいおい、そんなに物騒な話になるようなもんか?」


「正直、どこぞの国王に献上すれば一生どころか

人生を三回遊んで暮らしても使い切れん金額の報酬を貰えるじゃろうに。」


「そんなにか・・・。

まぁ、追われるような事になれば返り討ちにするだけだ。」


「お主よほど自分の腕に自信があるようじゃのぉ。」


「いや?剣や格闘の腕はさっぱりだぜ?」


「ならばどうやって返り討ちにする?」


「それは、企業秘密ってヤツだ。」


「キギョウヒミツ?

なんじゃ?良くわからん言葉を使うのぉ。

まぁ、腹も膨れたし村まで案内するぞい。」


おっさんからあれこれ情報収集をしながら村につく頃には

色々な事が解ってきた。

どうやらこの国は隣国同士のいさかいに巻き込まれ国中にきな臭い事が起こっているらしい。

そして、おっさんの村もつい先日ゴブリンとオークの群れに襲われ

大勢のけが人を出しつつも何とか撃退したとの事だった。


「んでのぉ、話は続くが村の娘っ子で元気の良いのが

私が街まで行って薬を調達してくると言ってのぉ。

こんなご時勢じゃ、村の蓄えじゃ碌に買えもしないだろうがとも

思ったのじゃが他に方法もなくてのぉ。

ところがじゃ、驚くことが起こったんじゃよ。」


「おいおい、おっさんもったいぶらずに教えてくれよ。

なんだい村に女神様でも現れたのかよ?」


「いや、そう言う訳じゃないんじゃよ。

なんとな、娘っ子が十分過ぎる位の薬を持って帰ってきたんじゃよ。

この品不足のご時勢に村の蓄えでは到底買えない量の薬をじゃよ?

村人全員が対価に何を差し出したのか問い詰めたんじゃよ。」


「そりゃ、まぁそうなるわなぁ。」


「そうすると娘っ子がなこういうんじゃよ。

お礼は要らないと言われ連れて帰って来ようとしたら消えてしまったとな。

半日ほど街を探し回ったが見つからず、諦めて帰ってきたと言う事じゃ。」


(何処かできいた様な話だが、世間には似たような話があるもんだなぁ。)


などと一人考え事をしているとおっさんが声をかけてくる。


「そういえば、あそこに見えるのがワシの村じゃがお主の名前を聞いておらんかったのぉ。

ワシはこの村で狩人をしておるガディウスと言うもんじゃ。」


「そういや、ずっとおっさんとしか言ってなかったな。

こっちこそ名乗るのが遅れて悪かった。

俺は冒険者であちこち旅して回ってるジンタって言うんだ。

少しの間だが世話になるよ。」


「そうか、ジンタか良い名前じゃ。

お主さえよければワシはいつまででも構わんからのぉ。

なんなら村の娘でも嫁に貰って村で暮らさんか?

若い男が少なくてのぉ。」


「まぁ、その辺は今はなんともな。

とりあえず、今日は疲れたから早く休みたいんだよ。」


そういうと、村から年のころは14~5だろうか、何処かで見た事のある少女が走ってくる。


「ガディウスおじさーん!

そこの人は?え?え?え?

なんでおじさんと一緒にいるの????」

ゲームで出会った少女が偶然寄る事になった村に・・・。

さてこの先は次話のお楽しみとなります。

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