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とある薬師の受難  作者: 散歩道
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脱出成功!いざ息抜きへ♪

「ふぉぉぉーーー!!うまいぞよ!うまいぞよ!

何じゃ!?この『すぃーつ』とか言う食べ物は!!」


何とかセバスを言いくるめ逃げ出すのに成功した所で食堂の前を通りかかると聞き覚えのある声が聞こえて来る。


「一体何事だ?」


食堂を覗くとそこにはうず高く積まれた皿皿皿皿・・・。


声の主の姿は皿に隠れて全く見えない。


裏側に回ると、そこにはメイドが入れ替わり立ち替わりデザート類を絶え間無く運ぶ側から胃袋に収める48代目バカの姿があった。


「おぃ!ここで何をしているんだ?」


「ふぁんひゃ?ふぉぉ!ふぉふしふぁ!(なんじゃ?おぉ?!お主か!)」


「物を喰いながら喋るんじゃねぇ!

何を何を言ってるかサッパリ判らねえぞ!」


余りに腹が立った為後頭部を引っ叩くと盛大に皿に顔を突っ込み顔をクリーム塗れにした。


「なんじゃ!突然何をするんじゃ!!」


「それは、こっちのセリフだ!


てめえ、人の家で朝っぱらから何してやがる?」


「ふぇぇ?何をしてって・・・。見て判らぬのか?


『すぃーつ』とやらを堪能していたに決まっておるんじゃ!」


清々しいまでの真顔で言い切る48代目バカ


「おい。α《アルファ》この48代目バカはいつからココに居るんだ?」


先ほどとまで給仕をしていたメイドを呼び止め質問を投げかける。


「サンカゲツ ホド マエ カラ マイチニ イラッシャッテイマス。」


な、なんだと・・・。

毎日入り浸って喰いまくって来ただと・・・。


「おい!ちゃんと代金は支払って飲み食いしてるんだろうなぁ?」


「ふぉぉ?『代金』とはどんなすぃーつじゃ?うまいのかぇ?」


「食いモンじゃねぇ!金だよ!金!」


「金?妾はそんな物は持って無いぞよ?


ココに来て椅子に座るとメイド達が色々な食べ物を持って来てくれるから毎日来ておるだけじゃぞ?」


そりゃ。食堂に来て椅子に座れば運ばれて来るわなぁ・・・。


「おぃα!コイツは文無しだからこれ以上喰わせるな!」


「ふぇぇ?なんじゃと!なんですぃーつが食べられ無いのじゃ!!

独り占めするなんてズルイのじゃ!

妾は毎日食べたいのじゃ!」


「ふん!タダ飯を食わせるほど俺は優しく無いんでね。


そんなに喰いたければ、魔鉱や魔界の素材をコレに入るだけ詰めてきたら食わせてやる!」


そう言って、一番小さいサイズ(と言っても荷馬車二台分は入る)のアイテムポーチを投げつける。


「本当じゃな!約束じゃぞ?」


「あぁ、ちなみに部下に集めさせたり城から持ち出すのは禁止!!自力で集めるんだぞ?


うまい物が喰いたければその分働きやがれ!」


最後まで聞いていたか怪し程の速度で姿が見えなくなった。


さて、ゴタゴタしたが遊びに行って来るとしよう。


手始めにセバスが言っていた北にある元傭兵が国王をやってるらしい街に行くとするか。


馬車で二日と、聞いていたが適当に走って2時間でついてしまった。


特にこれと言った事もなく、アッサリ到着した為まだ昼前で小腹が空いたと言う程でもなかった?


「まぁ、ギルドに顔を出して露店でも回るかねえ。」


などと余所事を考えていると門番から身分証の提示を求められるもギルドカードを見せるとすんなり通る事が出来た。


さて、門番から聞いた話だとギルドはこっちだったな。


言われた方向へ通る歩いていくとそれらしき建物が目に入る。


傭兵らしき奴やら、冒険者風の奴など色々な人々が出入している為すぐに見つかった。


そして、扉をくぐろうとしたところで中から怒号が聞こえた。


「こんなガキどもにオーガが狩れる訳ねえだろ!

大方他の奴が倒した獲物横取りしたに違いね!

同じ冒険者だと思われるのが恥ずかしいぜ!!」


何だか、すごく面白い事が起こりそうな予感がする。


顔をニヤけさせつつ、胸をおどらせながら扉をくぐる。


「おいおい、またガキじゃねぇか。ここはいつから学園の支部にでもなったんだ?」


「ボクもオーガをたおしてきたんでちゅか~?」


「薬草採取ならもう間に合ってるぞー。」


傭兵崩れの屑共がそれぞれ俺に対して野次を飛ばしてくる。


そして、受付のねぇちゃんはと言うと野次に苦笑いしながら通常通りの営業スマイルで対応してきた。


「登録は初めてですか?文字が書けない様なら代筆も出来ますよ?」


「ボクちゃん、初めての冒険は一人でちゅか~?なんなら俺達がパーティー組んであげまちゅよ?」


何処までも人を舐めた態度だな。


冒険者の連中が連中なら受付も受付だ。


見た目で人を判断して、見えない相手の実力を判断しようとすらしない。


ちょっと注意して見れば、装備品や足の運び方その他もろもろで相手の実力の欠片くらい見つけれそうなものだ。


「どこまでも人をおちょくった態度をした冒険者の屑共だな。


そこに所属する冒険者を見ればギルドの支部の質も一目瞭然と言うが、ココのギルドは本気でゴミしか

居ないらしいな。


オーガ如きにパーティーで挑まなきゃならねぇなんてウチのメイドの方がよっぽどか役に立つぜ。」


煽る気満々で小声ではなく響くように大きな独り言を呟くと、ギルドハウス内の空気が一瞬にして張り詰める。


カチャカチャと武器に手をかける音が背後でするが、ここで手を出したら負けだ。


「おい、嬢ちゃん冒険者同士の私闘は法度じゃねぇのか?」


と聞くも受付嬢は沈黙を続ける。


「ほ~。冒険者連中が屑ならギルド職員まで屑ばかりか。


厄介事に関しては見て見ぬフリって事で良いんだよな?」


再度質問するも、受付嬢は視線をそらすのみ・・・。


コレはお仕置き決定だな・・・。


後ろを向いたまま更に俺は言葉を続ける。


「俺が振り向いた時に、敵意を向けてきた奴に関しては命の保障はしねぇぞ?


冒険者なら冒険者らしく覚悟を決めるんだな。」


そう言い、振り向こうとするも向けられた敵意はむしろ増える一方。


「餓鬼の癖に生意気すぎるんじゃねぇのか?」


「おいおい、メイドだってよ・・・。どこぞのおぼっちゃんじゃねぇのか?」


「こりゃぁ、キツイお灸を据える必要があるなぁ。」


そして、後ろを振り返った瞬間に目に入るのはほぼ大半の荒れくれ者達が武器に手をかけ


一部先程の子供だろうか部屋の隅で小さくなってる餓鬼共が居た。


「いい年した大人が相手の実力もわからねぇとは、この街も腐りきってやがるなぁ・・・。」


そう言うと、低すぎる沸点の限界なのか馬鹿共が次々に飛び掛ってきた。


「餓鬼の癖に、調子に乗りすぎなんだよ!」


「腕に多少覚えがあるらしいが、所詮は餓鬼じゃねぇか!」


「大人を余り舐めるんじゃねぇぞ!?」


いいたい放題言いながら飛び掛ってくる。


「おいおい、お前らの攻撃なんて遅すぎて欠伸が出るぞ?」


飛び掛ってくると言っても、余りに遅い攻撃。


眠っていても避けれそうな勢いだ。


「そこ!下位魔法如きいつまで詠唱してんだ!」


火球の魔法を唱えようとしている魔道師風の男にナイフを投げつけるとアッサリと肩口にささり

詠唱が中断される。


マジか、下位魔法如きに時間がかかると思えば物理障壁すら無しの剥き身の詠唱だなんて

殺してくれと言ってるようなもんじゃねぇか。


「おい!この餓鬼何か魔道具でも使ってやがるのか?」


「あたらねぇ!あたらねぇと言うか、見えない壁に阻まれて刃が届かねぇ!」


「なんでだ!?糞!ありえねぇ!」


おいおい、三人ががりで障壁の一枚すら破れねぇって・・・。


どんだけ弱いんだコイツラ・・・。


「あーめんどくせぇ。てめぇら後で地獄の特訓を与えてやるから覚えて置けよ?」


次の瞬間手刀で三人の意識を刈り取ると他の連中に目をやると踵を返して扉から逃げようとする。



「てめぇら全員逃がすわけねぇだろ?施錠ロック!!」


音も無く扉が閉まり、力づくで開けようとするも魔法錠がそんなもんで開くわけが無い。


さて、コイツラをどうやって料理してやろうか・・・・。

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