角はもう無いんです・・・。
寝起きで書いたため、誤字脱字はご容赦願います。
「さて、お前は一体何の為にココに来たって言うんだ?」
「はぁ、はぁ、はぁ、・・・。ちょっと待ってたもれ・・・。」
「あんだけ騒げばそりゃ息も切れるわな・・・。」
「誰のせいじゃと思ってるんじゃ!いい加減人の話を聞かぬか!」
「だから、今聞こうとしてるのに待てと言うから・・・。」
「お主、自分がした事を忘れたのか!」
「俺がしたことねぇ・・・。お前に装備を貸してやったことか?」
「そもそも、コレは我ら魔王の秘法じゃ!」
「なら返せよ!そりゃ俺のもんだ!その仮面の中の爺にも聞けば良いだろ?」
「ぐっ、その話は聞いたが肝心な事は教えてもらえんかった・・・。」
「お前らの秘法と似たものかもしれねぇが、ソイツは受け継がれてきたものじゃねぇんだよ。
あくまでも、本物が見るかるまで貸してるだけだかならな。
そもそもの目的をさっさと説明しやがれ!」
「う、うむ・・・。
ダンジョンから溢れた魔物を偵察に行かせた部下がズタボロになって帰ってきたのじゃ・・・。
訳を聞いたら、人間の子供に撃ち落されて気を失っている最中に魔族の象徴である角を盗られたと言っておった。
じゃから、部下の魔力の痕跡を追って来たらここにたどり着いたという訳じゃ。」
「お前、それ盗まれたって言うか部下の自業自得じゃないか?」
「じゃが、魔族にとって角は命の次に大事なものでな。
万が一角を失えばその者は角無しと蔑まれ、魔力の制御の要の角が無い事で魔法も碌に制御出来ぬ。
もし、この城に部下の角を持った者がおる様なら交渉しようと思い来た次第じゃ・・・。」
そう言いつつ、セバスと俺を交互に見るもセバスは首を振り俺を見る。
「ふむ。魔族の角か・・・。そんな物は持っていないぁな・・。」
「嘘じゃ!未だにこの城に部下の魔力の痕跡が残っているんじゃ!
隠し立てすると容赦はしないぞ!大人しく返すんじゃ!」
「そうやって凄むのは構わないがセバスにすら勝てないだろ?」
そう言うと、苦虫を噛み潰したような表情になる。
「くっ、魔王をなんじゃと思っておるんじゃ!
歴代の魔王の知識と、我らの秘法が揃えば勝てぬ相手など、勝てぬ相手など・・・・。
うっ、うっ、うわぁぁあぁぁぁあぁあぁん・・・・。」
あーあ、ついに泣いちまったよ・・・。
元の姿って言っても幼女の姿の時間が長すぎて頭の中まで幼児退行してやがるなこれ・・・。
「だから、角はねぇって言ってんだろ・・・。」
「じゃがっ、じゃがっ、ワシの部下の魔力が・・・。ヒック、ヒック・・・・。」
「爺に話を聞かなかったか?俺は職人だぞ?素材を手に入れたんだから
素材その物で持ち歩いてるわけねぇだろ・・・。
ほらよっ・・・。」
と言いつつ泣きべそをかいている現魔王に一振りの剣を放り投げる・・・。
「なんでじゃ?この剣から部下の魔力を感じる・・・。」
「ったく、それがお前の部下の角だった剣だっつーの。
珍しい素材だったからとっくの昔に加工しちまったんだよ・・・。
だから、角を返せと言われても無いものは返せねぇんだよ!」
キョトンとした顔で剣と俺を交互に見る。
「じゃが、ワシの部下は角無しのまま・・・・。」
「ったく、めんどくせねぇなぁ・・・。
その部下とやらを連れて来い、話はそれからだ・・・。」
「うぅぅ・・・。スグに連れてくるから待っておれよ・・・。」
なんか泣きながらも偉そうだな・・・。
などと考えていると、セバスがお茶のお代わりを持ってくる・・・。
「ふぅ・・・。セバス角ってそんなに大事だったのか?」
「そうですねぇ・・・。私は角の無い種族の為そこまで詳しいわけではないですが・・・。
角無しと呼ばれた魔族に関しては奴隷以下の扱いだと聞いた事があります。
魔法も使えず、種族の特殊なスキルも仕様不可になると聞いた事があります。
角が無くなった者は基本戦場で死んだも同然の扱いで生きて戻ってきても
一族の恥さらしのような扱いとなったと記憶しております。」
「そうか・・・。あれか、角を切った時点で止めを刺してやるべきだったか・・・。」
「そうですねぇ。優しさが時に残酷な結果になる事も多いのでなんとも言えませんねぇ・・・。」
などとセバスと雑談をしていると部屋の扉が開き先程の現魔王と薄汚れたローブを頭からすっぽりとかぶった魔族らしきものが入ってくる。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・。つ、連れてきたわよ・・・。」
「お前本当に体力がねぇんだな・・・。で、ソイツは何年位生きてきてんだよ?」
「先代の頃から王家に使えていたんじゃから500年ほどかのぉ・・・。」
「なんだ、500年かそれならどうにかなりそうだなぁ・・・。
んじゃ、さっきの剣を持って頭の角のトコに魔力を集めてな。」
アイテムバックから千年龍の魔石を取り出すと半分に割って、準備をする。
「お、お前何を始める気じゃ?そんな馬鹿げた物を一体何処からとりだしたんじゃ・・・!?」
どうやら、千年龍の魔石に愕いているようだが、お望みなら祖龍の魔石でも良いのだ・・。
だが、そんなものを貼り付けても体が耐え切れず崩壊して死ぬだけだ。
二つに割った魔石を角の根元の所に当てながらスキルを使う。
「魔力を集めながら自分の角をイメージしてんだぞ?余分な事を考えてると変な形で定着する。
もしそうなっても責任はとらねぇからな?
んじゃ、いくぞ『錬金』開始!」
俺自身も切り取った時の記憶を元に角の形をイメージしながらスキルを使う。
角の根元に当てた魔石が輝き徐々に形を変え元通りの角の形を象る。
「コレで応急処置は完了だ。
馴染むまでは無茶をすると根元からポッキリ行くから気をつけろよ?
もし折れたら次は有料だから覚悟しておけな?」
「ある・・・。私の角が戻った・・・。コレで又魔王様の役に立つことが出来る・・・。」
「だから、しばらくはソレに魔力を通わせて馴染ませろ。無茶をするとマジで折れるぞ?
魔法が使いたければ角じゃなくて、その剣に魔力を流して調整するんだな・・。
ソレの代金は今度魔王に請求するから気にするな。」
「なっ!?なんじゃと!?お前のしでかした事で何でワシが代金を払う必要があるんじゃ!!」
「ん?職人はタダでは動かないって爺から聞いてないのか?」
「それは、念押しで聞いておる・・・。」
「なら、そう言う事だ。一流の職人は高いから注意するんだな。」
「今月のお小遣いでたりるかな・・・。又無駄遣いしたって怒られないかな・・・。」
ブツブツと独り言でなんか言ってるが気にして情けを出すと職人としてダメになるから無視だ無視。
「よし、コレで用も済んだだろうしさっさと帰れ。」
「なんじゃと!?
魔力も尽きて此処まで走ってきてフラフラの我らにこんな夜更けに歩いて帰れと・・・。
なんと言う人間じゃ!鬼畜!外道!人外!」
「好き放題言ってくれるじゃねぇか・・。
めんどくせぇなぁ。セバス適当に空いてる部屋に放り込んでおいてくれ・・。
俺もいい加減疲れたから寝るわ。」
「御意に・・・。ごゆっくりオヤスミ下さいませ。」
「わっ!こら!首筋を掴むでない!疲れてても歩く事くらいできるわーーーーーー」
セバスの両手に首筋を掴まれた馬鹿とその部下は暗い廊下へと連れて行かれ見えなくなった。
「ふぅ・・・。コレで少しは落ち着いて休めるな・・・。」
明日からはどうしようか・・・。
まぁ、起きてから考えるとしよう・・・。
今は少しでも眠りたいな・・・。
次話に関しては時間が出来次第更新いたしますのでお待ちいただけれ幸いです。
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