表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とある薬師の受難  作者: 散歩道
15/43

〜閑話〜 ゲーム時代のとある一日

フラグを立てる為閑話となります。

読み飛ばしても本編にはあまり影響はないかと思いますが。

楽しんで頂ければ幸いです。

頭の中に電話のコール音に良く似た音声チャットのコール音が鳴る。


「ん?どうした?」


「神野先輩!大変なんす、やばいっす!」


又こいつか・・・・。

同じ会社に勤める駄目後輩である。

会社ではゲームの会話などした事も無く、なんの偶然か気まぐれで顔を出したオフ会で

鉢合わせしたのが切っ掛けでしょっちゅう話しかけてくるのだ。


「おい、凹三太夫凹ゲーム内でリアルの名前で呼ぶなと言ったのは何度目だ?」


「先輩ヒドイっす!自分凸三太夫凸っす!」


「大して変わらんわ!で、なんのようだ?」


「先輩今何処に居るんすか?」


「あ?どこも何も昨日の夜から魔族の神殿でアークデーモンと戯れてるって言っただろ!」


「先輩・・・。もうそれ一昨日っすよ・・・。」


「おろ?キノセイだ。」


「完全に廃人様じゃないですか・・・。」


「仕事は完璧にこなしてるから問題ない。」


「いや、ウチみたいな会社で仕事してゲームにどっぷりっていつ寝るんすか・・・。」


「時間のある時に寝れば良いじゃないか。そんな事よりなんの様だ?」


「いや、また装備品のエンチャントをお願いしようかと・・・・。」


「あぁ、じゃぁウチのセバスに渡しておけよ。料金は正規の8割で良いぞ?」


「先輩の8割って超ボッタクリじゃないですか!?」


「いや?別にいやなら他所に行ってくれて構わないんだぞ?」


「他所じゃ素材持込で先輩より成功率が引くいんすよ?そんな所へ持って行けと?」


「毎度毎度お前の要求は面倒な事この上ないんだよ!」


「だって、先輩なら材料無くても手持ちがあるじゃないですか!」


「人の財産を当てにするな!」


「可愛い後輩の頼み位二つ返事でOKしてくださいよ。」


「仕事でミスしなければ可愛いんだが・・・。毎度毎度何故ミスが起こる?

しかも納品数のけた間違いやら納品先の入れ違い等上げ始めたら切りが無いぞ?」


「あ、セバスさん発見!いつみてもNPCには見えませんよねぇ。

それに、しても先輩の従者ってキワモノ揃いですよねぇ。」


「なんだ?文句でもあるのか?

自分の従者なんてゴスロリやら幼女ばかりのド変態じゃねぇか。」


「先輩ヒドイっす!幼女は愛でる者です!変な妄想はダメっす!」


「んむ。会社で今の会話をみんなに聞かせてやりたいわ!」


「会社じゃゲームの話はNGっすよ?」


「ゲームじゃリアルNGなんだが?」


「セバスさんにわたしておきました!自分は限界なので寝るッす!」


「あぁ、勝手に寝ろ。そして明日も遅刻したらそろそろお前の給料なくなるぞ?」


「大丈夫ッす!明日は絶対遅刻しないっす!」


「こないだも同じ事行ってた気がするが気のせいか?」


「キノセイだとオモイマス。」


ブツンと音共に音声チャットが切れる。

さて、ある程度の素材も手に入ったしレアもそこそこ出たから俺も明日に備えて帰るかなぁ。


などと考えつつプレイヤーハウスへと戻ってくる。


「オカエリナサイマイセ。」


感情の篭らない声で出迎えの挨拶をしてくるのはセバスだ。

このゲームには従者と言う物があり手懐けたモンスターを人化させプレイヤーハウスの使用人にしたり戦闘などに連れて行くことが出来ると言う物だ。


しかし、人工知能と言う訳ではなくあくまでもNPCの延長の為支持は簡単な事しか出来ず

会話が成り立つ物では無い。


今後のバージョンアップで改善していく予定なのか運営へメッセージにて以来すれば

僅かなリアルマネーで人化させた際の容姿を変更する事が出来る。


まぁ、言うまでも無く名前で解るだろうがセバスの見た目は老紳士の執事服である。

だが、見た目で判断してはいけない。

セバスの本来の姿はバンパイアロードである。

そして、モンスターにはまだ実装されてないのだが設定上の職業は執事/暗殺者としてある。

我ながら中二病をこじらせた物だと人には見せられない黒歴史をみたものだ。


リアルマネー無しだとメイン職のみしか設定できない。

まぁ、あくまでも設定上の為戦闘中にスキルを使えたりと言う事はないけどな。


「凸三太夫凸からの荷物はコレか・・・。」


わずかばかりの金とメモ用紙だな。それと武器はそこそこ良スペックのレアドロップ品である槍か


「しっかし、これに三個もエンチャントしろとは相変わらず要求が半端ねぇな。」


俺がやったとしても

一個成功になる確率5割。

失敗による装備品のロスト確率3割。

二個成功になる確率1割。

成功率は全部のエンチャントが成功する確率1割。


まぁ、素材込みの正規の金額で他の奴に依頼するなら破産するわな。

身内だからと素材は俺の手持ちから出してやる為格安にはなっているが

代わりに、俺から素材採取(草むしりなどではない)の依頼が強制的に入る約束になっている。

まぁ、レアドロップが良ければ期間はかなり短くなるがな。


などと考えつつ強化の準備を進める。


作業場に入ると作業台の上では猫族の獣人が丸くなって寝ているのが目に入る。


うん。いつも通りの光景だ。

鍵を閉めたはずなのだがいつの間にか中に居るんだよなコイツ。


「おい、にゃ~。どいてくれないか?」


声をかけると目をシパシパさせながら作業台から降りて入り口にあるアイテムBOXの上で寝始める。

猫族と言ってもこいつは白虎が擬人化した従者だ。

戦闘スペックは高いのだがいかせん勝手な行動をする事が多く若干扱い辛いのが難点だ。


そして、にゃ~に声をかけた直後背後に気配を感じる。

そう奴が現れたのだ。

黒いオーラを纏いつつも、容姿端麗銀髪で細身の女性だ。


「黒棺、お前は何故毎度毎度背後にあらわれるんだ?」


と質問するも返事は返ってこず、黒棺は首を傾げる。

うん。マジで行動は可愛いのだが彼女?はこう見えてもLLリッチロード

なのだ。セバスと同属の限りなく魔族に近い魔物である。


ダメ後輩の言っていたキワモノ揃いと言うのはこう言った事からなのだが

自重する気など全く無い。

リアルでは女性との接点など事務のオバサン位の物でゲームの中位自由でも良いと思うんだ。


好きにしたって良いと思うんだよ。


大事な事だから二度言ってしまった。


よそ事を考えつつも作業を続け、無事に強化が成功する。


残念ながらみんなの期待通りのロストはしなかったものの

完全成功とはいたらず中途半端な2/3の成功となった。


まぁ、価値で言えば武器と素材を併せた価格の10倍程だろうか

攻撃速度上昇:大、スキル効果上昇:大、自動修復の内前者二つの成功となった。


最後の一つはいらないかと思われるだろうが、装備品にも耐久度がある。

耐久度が0になれば損傷扱いとなり装備品の性能が著しく落ちるのだ。

そのまま修理せずに使い続ければ当然ロストとなる為結構重要なプロパティである。


そのままゲームからログアウトし後輩へメールで報告を入れた後眠りに落ちたのであった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ