楽しい?OHANASHIの時間のようです。
突如二階から降りてきたエルフの女性に呼ばれたジンタ。
なにやら面倒事の匂いがするも仕方なくついていく事にする。
ついて行ったその先には高そうな机、ソファー。高級感のある絵など
どう考えてもギルドマスターの部屋のようです。
「さて、次はギルドの規約についてですが、基本的に依頼は自分のランクの一つ上までのランクの物を受ける事が出来ます。
しかし、ランクのみではなく条件付の依頼もある為ランクのみ満たしていても受けられない依頼もあるので注意してください。」
今、俺はギルドハウスの二階の高そうなお部屋で先程のメガネのエルフさんとOHANASHIをしている最中だ・・・。
もうかれこれ三十分は経つだろうか・・・。
ネット小説などで見聞きしたような内容をツラツラと並べられているだけなので、正直眠気とガチバトルしているのが本音だ・・・。
「ジンタ様聞いていますか?」
「え?あ、はい・・・。」
「後から聞いてませんでしたとか言われましても知りませんよ?」
「え~と、あの、多分大丈夫です。」
「そうですか・・・・。では、最後に質問なのですが・・・。
どうみても、人族それも少年と言っても過言では無い容姿。
そして、世間では金持ちの道楽とまでは言われた錬金術師を目指すと言われる貴方の目的はなんですか?」
「目的ですか・・・。」
なんかやりずらいな~。
部屋に入る前には、部屋の中に気配を感じたはずなのだが
部屋の中には誰も居らず、しかしながらこの嫌な感じが永遠と続く・・・。
「その前に一つよろしいですか?」
「なんでしょうか?」
お姉さんの表情は変わらないが、一瞬気配が揺らぐ。
何かを隠しているのだろう・・・。
「申し訳ないのですが、姿を隠されてる方がいる状況で話す事は出来ないのですが・・・。」
「なっ!貴方何を言っているのですか・・・?」
「もうよいわ・・・。
コヤツは部屋に入る前からワシの気配に気が付いてい居ったわ・・・。
今の今まで気が付かない振りをしていてお主に気づかせない腕前もそうじゃが・・・。
小僧・・・お主何者じゃ?」
やべぇ、さっきまで誰も座ってなかったかったハズの奥の机には
いつの間にか長い髭をたくわえた老人が鋭い眼光で俺を睨んで居た。
「逆に質問なのですが、貴方はどなたですか?
自分の身分を明かさず人に物を尋ねる方に答える言葉は持ち合わせていません。」
「なっ!貴方は自分が何を言っているのか解っているのですか?」
「えぇ、冒険者。それは何者にも縛られず己が道を突き進む。
障害があれば排除し、弱気を助け強きを挫く。
しかしながら自分が是としないものには決して首を縦に振らないものだと
自分は考えていますが?」
「おい、小僧どこでその言葉を学んだ・・・。
歪み伝えられたものや、謝って伝わった言葉が大半の今の世の中
その言葉の真の意味を知るものは少ないはずだ・・・。」
爺さんは机に座りながらも恐ろしいほどの殺気を向けてくる。
モンスターで例えるなら閣下クラスであろうか・・・。
まぁ、バロン程度ゲーム時代に散々屠って来たもののいざ現実ともなると
さすがに迫力があるもんだな。
「誰って言われてもな・・・。
俺達冒険者の中では進む道は違えど人としての道を違えるべからずとも言われ信念を曲げてまで振る尾は無いと言う事ですよ。」
「ギルドに所属するのにも関わらずギルドに楯突く事も厭わないということじゃな?」
「あぁ、御幣があるかも知れないが聞いてくれ。
俺の知っているギルドと言うのがここにあるようなギルドとは似て非なるものだったんだよ。」
「ほう。我ら冒険者ギルドとは違うギルドとな?」
「あぁ、俺の知っているギルドとは死闘を共に潜り抜けた仲間と共に歩む物。
そして、出会いや別れがあり意に反する者があれば両者が納得するまでトコトンぶつかり合う。
そうやって少人数ながら数々の敵と戦ってきたものだったんだよ。」
「ふむ。お主の言っているギルドとはこの街が出来るもっと昔。
冒険者と言う職業すら無い時代の考えではないのか?
お主本当に人間か?人族でその概念を知っているものが残っているとは到底考えられるが・・・。」
この狸爺・・・。俺が知っている事を聞き出す為に次から次へと誘導尋問にかけてきやがる。
これ以上の会話はヤバイかもしれんな・・・。
「爺さん、例えあんたがギルドマスターだとしても強制されるなら俺はギルドなんてゴメンだからな?」
そう言いつつ、先程もらったばかりのギルドカードをテーブルの中央に投げる。
「な!、貴方は自分のしてる事が解っているのですか?
ギルドカードとは自分の分身でもあり自らの身分を証明するもの。
それを、投げるという事は身分を捨てるという事なのですよ?」
先程から固まって居たエルフの姉さんが口を開く。
「おいおい、勘違いするんじゃねぇぞ?
身分が欲しくてギルドカードを作った訳じゃないんだ。
街に入るには通交書、もしくはギルドカードが必要であり
そのどちらも持たない者に関しては街に滞在する資格が無いって事だ。
一部の例外・・・。例えばスラムを除いてだ・・・。
別に、宿を取るならスラムでも構わないそれすら適わぬなら野宿だって
数々の冒険の中でいくらでもしてきたからな。」
そう言いつつ、踵を返し扉から出ようとする。
出ようとするも扉が開かない。
「おい、爺コレはどうゆう事だ?」
「そう、急ぐでない・・・。まだ話は終わっておらんじゃろうて・・・。」
ふむ。このまま帰す気が無いらしいな。
まぁ、黙って捕まってやる気もないしな。
「我が知識万物の理を説け『開錠』」
魔法の鍵空けの呪文を唱えると同じく魔法にて施錠されていただろう扉の鍵がカチリと音を立てて開く。
「なっ!?待て、待つのじゃ!」
あれ?糞爺が突然土下座で懇願してきた・・・?
「マ、マスター!?何を!?
一介の冒険者に何故そのような態度を・・・・。」
「メイファよ・・・。
施錠の魔法を打ち破る事が出来るのはその魔法をかけた魔道師よりはるかに
上位の魔法のスキルが無ければ出来ぬ事なのだよ?
しかもじゃ、今のように一瞬でワシの魔法を打ち破る事が出来る者・・・。
その気になればワシらなんぞ道端のゴブリンよりも容易く塵になるじゃろうて・・・。」
「なっ!?この若者がマスターより遥かな高みに居ると仰るのですか!?」
この姉ちゃんさっきから愕きっぱなしでポーカーフェイスが崩れっぱなしだな。
「あんまり見せびらかすのもあれだとは思うが、あんたがエルフならコレが何かわかるだろう・・・?」
そう言い、エルフの里に入る時に使った鍵である首飾りを見せる。
「な、何故人族の貴方がそれを持っているのですか・・・・。」
あ、気を失いやがった・・・。
「おい、爺さん面倒だから俺は帰っていいか?」
「もうよい・・・・。お主を下手に刺激すればこの街が廃墟になってもおかしくは無いじゃろうに・・・。
最後に聞かせてくれ、お主がこの街に来た目的はなんじゃ?」
「家に帰れず、野宿するのが嫌で宿に止まる為に寄っただけだが?」
「他意は無いのじゃな?」
「なんだ?戦争でも起こるのか?」
「そうではないが・・・・。お主のランクはCからじゃ・・・。
ワシの権限ではそれが限界じゃ。
ギルドとしては出来うる限りお主に火の粉のかからぬようにするが
後生じゃからキレるでないぞ?」
最近の切れる若者かっての!?
「降りかかる火の粉は払うだけだ。
俺は腹が減ったから帰るぞ・・・。」
「委細承知した・・・。」
爺さんは頭を下げるとエルフの姉さんをソファーに寝かせる。
俺は、小声でエクストラヒールと睡眠の魔法をかけると扉を後にする。
「あぁ、とこの世の中も権力を持つって面倒事しか無いな・・・。
俺にはやっぱり引き篭もり生活が似合っているわ・・・。」
こうして、彼はギルドハウスを後に昼間取った宿の部屋で眠りに落ちるのであった。
世間のしがらみが嫌でネットの世界へ仕事以外の時間のほぼ全てを費やし
た結果が彼の装備している数多のバグとも思えるような天文学的成功確立のエンチャントを成功させた装備を作り出た。
現実世界となった今後も同じ事を繰り返そうとする彼を誰か止める者が現れるのであろうか・・・?
~~数時間後の執務室~~
「はっ!マスター彼はどこへ?」
ソファーで目を覚ますメイファだったがその質問に答える者は居ない。
いや、居ないというよりギルドマスターは床でぐっすりと眠っていたのであった・・・。
権力者が死ぬほど嫌いな主人公。
リアル時代も会社で毎日の様に上司から毎日言われも無い小言を言われ続け
ゲームで発散し続けてきた彼ですが、目を覚ました後は何をするのか私にも解りません。




