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僕の約束×君の約束  作者: Gave
一学期編
8/28

体育大会 終幕

もうすぐ体育大会の鳳であるスウェーデンリレーだ。

達也はアンカーなので

メンバーの中でも特に緊張しているようだ。


でも達也が緊張しているのは珍しいことである。


颯はこういうイベントでメンバーの

見たことのない表情などを見るのが大好きであった。


葵はA組の座席のところで

夢中で応援に力を入れようと張り切っている。


そんな葵を応援しつつ

鳳のスウェーデンリレーが始まろうとしていた。


第15話 体育大会 終幕


応援態勢を整えている颯や葵が見る先には

ガッチガチに緊張している達也の姿があった。


ガッチガチのアンカーにみんなが

バトンミスなどをしないか心配そうにしていた。


そりゃ本番前にガッチガチになられてしまえば

心配せざるを得ないだろう。


「少し和ませてやるか」とボソッと言ったあと

颯は大きな声で場を和ませようとした。


「なにガッチガチになってんだよ!

いつも通り走って勝って帰ってこいよ!

嫌味な優等生ならできるだろ!!」


その言葉に達也は耳を向けた。


その時しっかりは見えなかったが

少し笑っていたような気がした。


すると達也が

「だったら勝って帰ってやるよ!落ちこぼれ!!」と

言葉を返してきた。


達也には上手く通じたらしい。


いつも通りのお前でいろ。というメッセージが。


颯は安心した顔で席についた。

それを確認した達也は

場を一気に集中モードに追い込んだ。


「俺たちはこのスウェーデンリレーのために頑張ってきたんじゃない。みんなで勝つために頑張ってきたんだ!だったら応援してくれるみんなと一緒に勝とうぜ!!」

その掛け声に周りのメンバーが円陣を組み

みんなで気合を入れた。


達也はいつもリストバンドをつけている。

中学の体育大会の時にもらったものだ。


昔の達也は気が弱く、いつも自分に自信を持っていなかった。

そんな達也に颯は

「大丈夫。達也ならできるよ!

ほら!俺のリストバンドやるよ!!」

と達也にリストバンドを放り投げ

それをキャッチした。


「そのリストバンドは俺のお気に入りなんだ。

んで、もし自分に自信がないときはそのリストバンドを腕に思いっきり弾いてこう言うんだ!!」


高校生にもなって

この思い出と友達に縋る、か。


颯には助けられっぱなしだ。


達也は少し思い出に浸ったあと

右腕につけているリストバンドを

思いっきり弾いた。


「俺について来やがれ!俺がなんとかしてやる!!」


その瞬間を見た颯は驚いていた。


まだ覚えてくれていたことに対して。

そして

達也の背中が今までよりも大きく見えたことに対して。


そうしてスウェーデンリレーが始まった。


一番走者から徐々に順番がまわってくる。


二番目で抜かされ


今走っている三番目は追いつくのに必死だ。


そしてアンカーである達也がスタートラインに立つ。


バトンを受け取る寸前に一言。


「、、ありがとう。颯。」

そしてバトンを強く受け取り

軽快に走っていく。


周りからは歓声が絶えず

応援の声がグラウンドを埋め尽くす。


あと一周となったところで

既に達也は二位まで登りつめていた。


もはや相手クラスなど眼中に存在しないかのように

走っていた。


ラスト100mになった時には

一位と同列の位置で走っていた。


もはや歓声が大きくなって

ただ騒いでいる感覚だった。


葵も颯も声が枯れるくらいの声で応援している。


そんな応援の中を達也は走る。


友達の力が入ったリストバンドとともに。


すると残り数メートルになった時に

微かだが達也が一位に躍り出た。


グラウンドの熱狂はピークを迎えてきた。


そのまま達也は全速力で走っていった。

そしてゴール。


判定は数センチ差でB組の勝利だった。


達也はメンバーと共に喜び

颯も応援席でみんなと喜び

葵は一人で達也が勝ったことに喜んでいた。


競技が終わり達也が座席付近に帰っていると

そこで颯が待っていた。


「おかえり、達也。」

その言葉に達也はただいまと言葉を返し

颯とハイタッチを交わした。


女子からは達也様と騒ぎ声。

男子からは歓喜の騒ぎ声。


どちらもうるさかったが

この時の騒ぎ声は

達也にとっては大事な声だった。


そのあと無事組体操もおわり


俺たちの体育大会は幕を閉じた。


次回第16話 予想外勧誘

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