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僕の約束×君の約束  作者: Gave
一学期編
3/28

凛果の過去

凛果は幼馴染だという記憶を思い出した


俺はある質問を凛果に聞いてみた。


第9話 凛果の過去


どうしても気になっていた。

これは始めからだ。


颯は何気ない顔で

「凛果。お前さ、昔と名字変わったよな?」

と聞いてみた。


質問に対して反応は薄々していたが

答えようとはしない。


「お前の昔の名字は寿だったはず。

何があったんだよ?」


その質問を聞き凛果は口を開いた。

「あのね、、」


「颯兄さんが遠いところに行った後にね

両親が大げんかしちゃってさ」


だが凛果の親はとても仲がよかった。

なのに、、なんで。


「私が中学校に入学してからだったんだ。

塾に通ってたんだけどね、点数が全然取れなくて、

ある夜中に起きてリビングに行こうとしたら

親の怒鳴り声が聞こえてきたの。」


あの親が喧嘩だなんて、、


俺には到底考えることができなかった。


「なんで塾に行かせてるのに学力が下がるんだ。

高い金払ってんだからちゃんとしろよあのクソガキ!


あんなやつは俺の子じゃねぇ!!

母さんにくれてやる!!って」


お父さん。怒りすぎだろ。

正直にそう思った。


てことは

「その後離婚したんだ。

私はもちろんお母さんについてったから

お母さんの名義になったの。」


なんか、、罪悪感で心が満たされている。


辛い想いをしたんだな。


お前も。



そして俺も。


その話を聞いた颯は凛果を優しく抱いた

「辛かったろう。ごめんな。支えてやれなくて。

でも、これからはそんな心配いらないだろう?


俺がそばにいてやる。安心しろ」


その言葉を聞いた凛果は顔を見せないようにして


大きく泣いた。


数分が経ったころ凛果が

「颯兄さん。あの日の約束、、。覚えてる?」


「あぁ。覚えてる。

いつかまたあったら、2人でまたここに行こうね。だろ?」


安心したのか凛果は颯にそっと微笑んだ。


明るく、優しい微笑みだった。


ーその頃学校ではー


達也が教室で衝撃を受けた顔をしている


「は、颯が休みだと!!??」

大きな声でそう叫ぶと周りの女子が


獅童くん、どうしたんだろう?

そんなに神川が恋しいのかな?

などとつぶやいている。


暇だな、と言いながら達也はA組に移動した


「おい。会長さんいるか?」

とりあえず暇だから話相手が欲しかったらしい。


会長である葵は明るく返事をして

声のする方へ。


「はい!なんでしょ、、う。達也くん?」

達也は呼ばれたことに対してショックを受けたと思っていたらしいが

葵はショックを受けたのではなく


達也を気に留めていた。


「達也くんのお母さんってどんな人??」


「いきなり質問かよ。てかなんで母さんの話?」

しまった。と思った葵は


「いや!お母さんが知りたがってたからさ!!」

などと言い訳をすると達也はさらっと受け入れた。


「大した人じゃない。

笑顔が絶えない人で、根は明るい性格だな。」


「へぇ。そうなんだ。」

葵はそれ以上何もお母さんについて聞かなかった。

むしろ聞くことができなかった。


「柴田?大丈夫か??体調悪い?」


「え、、いや、。大丈夫、だよ。」

心の中ではとても達也を心配している葵だが

それを口にするのは怖かったらしい。


すると達也が

「あ、そろそろ授業だから戻ー」と言いかけたが


「達也くん!!」と葵が呼び止めた。


訪れた沈黙に葵は一言達也に発した。


「看病、、大変なんだね。」


その言葉に驚いた達也は足を止めた。


「颯くんがたまたま話してくれて、、それで。」


「、、、。」


「辛いよね、、。1人って。」と言うと


「なにが、、、わかる、、」

ギョッとした顔で葵は達也の顔を見つめた。


すると

「お前に何がわかる!!1人で看病し続けて

ずっと孤独だった俺の何がわかる!!

知ったような口を叩きやがって調子にのんじゃねーよ!!」


この日、葵は達也の


傷を大きくえぐってしまった。



第10話 天涯孤独の少年


今回の話は達也の過去話onlyです。

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓


俺は獅童家の一人息子としてこの世に産まれた。


達也という名前は母さんがつけてくれたんだ。

何事もなく毎日が過ぎ

気づけば幼稚園の入園式の日に。


俺はあまり友達ができなかった。

そんなのどうでもいい。自分がその日々を楽しめれば

それでいい。


なんて思っていたんだ。

あの日がくるまでは、、、、


昔の俺はどちらかというと

今の颯や葵のように派手な性格だった。


そのため遊んでいるとしょっちゅう周りに

迷惑をかけ、親と一緒に謝っていたんだ。


でもある日の朝

父さんは俺と母さんをおいて出て行った。


俺は「父さん帰ってくるよね?」と母さんに聞くと


なにも感じていないような顔で

「帰って、、くるといいね。」と言った。


その日の夜にいつも通り母さんのご飯を食べていると

突然俺の目の前で


母さんが倒れた。


その頃小学2年生だった俺はすぐに病院に

電話をかけた。


するとすぐに救急車がきて

俺と母さんを乗せて病院に向かった。


家に俺と母さんしかいなかったため

「お父さんは仕事かな?」と聞かれると


俺は「父さんは仕事なんです。きっと帰ります」

と答えた。


母さんが病室に運ばれそばで見守っていると

何故か目から水が流れてきた。


感情的に泣いたことがなかったため

俺はその水の意味がわからなかった。


だけどなんとなくわかった。


これは、怒りの涙だ。


母さんはふと目を覚ますと

毎回毎回俺を抱き寄せてこう言ったんだ。


「心配かけてごめんね」と。


俺は母さんが病気持ちだということに気づき

毎日母さんの看病にあたった。


運動会の日も、修学旅行の日も


中学生になってからのあらゆる行事ごとも


全てを休んで母さんの看病にあたったんだ。


学校を頻繁に休んでいたため

学校に行くとイジメをうけ、散々な日々だった。


そんな1日だったとしても俺は母さんのそばに

いてあげたかったんだ。


父さんは二度と帰ってこない。あんなやつ父さんじゃ

ない。俺が母さんを守ると決意したから。



私立の入試には参加して合格して

看病にあたろうと考えていた。


だが、出欠日数が多すぎて

俺は行きたい高校を失った。


そんなこんなで俺は今この海明学園に通っている。


颯や葵などの友達もできて

母さんの病状もよくなってきていたので

安心して学校生活を送っていた。


だが高1の終わりの時期に病院に行くと

母さんは気持ちよさそうに寝ていた。


心臓を小さく動かしながら。


様子がおかしいと思い先生を呼び

検査してもらったんだ。


すると先生の口から出たのは余命宣告。

あと6ヶ月ほどだと。


まだ6ヶ月という期間があったが

俺はその期間が怖かった。


あと6ヶ月したら母さんは死ぬ。

俺は1人になる。

怖い、嫌だ、、1人になるのは、、、


絶対に嫌だ。



俺と凛果が病院にいる頃


葵と達也の間に大きな壁ができてしまった。


第11話 狂いだす日常


あの後、何事もなく時間が過ぎ

お昼休みになった頃


A組で葵が珍しく弁当を持ってくるのを忘れていた。

葵がかばんの中を何回も繰り返して

探していると友達が


「あれ?葵弁当忘れたの??珍しいこともあるね」

と声をかけた。


「うん。忘れたみたい。ちょっと食堂いってくるね

先に食べててー!!」

と走って葵は教室の友達を後にした。


食堂の近くまで行ったところで

葵は何を買おうか考えていた。


「カレーパンでもいいけど、おにぎりよりも

少し高いんだよね。なんでここカレーパンの値段が

おにぎりより高いのよ。」

などとケチをつけていた。


そうして食堂の列に並んだ葵は

周りを見渡しながら待っていた。


ー達也くん、、、いないよね、、。ー


会計の番になると

葵は食堂のおばさんの目を見ずに

カレーパンを渋々2つ頼んだ。


「しばらく待っといてねー。」などと言われ

食堂内で待っていると


騒いでいる男子が食堂に入ってきた。

メロンパンあるかなー、でも来るの遅かったしもうないんじゃねーの?などの会話が聞こえてくる。


あ、メロンパンでもよかったかも。と葵が後悔していると


頭の上にペットボトルが降ってきた。


いっ、、た。


右手で葵はそのペットボトルを拾った。


なんで上からペットボトル?

てかコラ・コーラって炭酸のやつじゃん。

これ絶対後で開けたらブシュー!!と音を立てながら

泡がでてくるやつだよ!!

手を洗わなかったら手がベットベトになるやつだよ!


と1人でツッこんでいると1人の男子生徒が走ってきた。


すごく痛かったんだけど!!

こいつに思いっきり怒ってやるんだから!!


「あのねぇ!ここ食堂なんだから

大人しくして、、、なさ、、い。」


葵が怒った相手は達也だった。


達也は目をそらしながら

「悪かった。」と声を返した。


しばらく沈黙が続き

葵は冷や汗を流しながら立ち尽くしていた。


すると向こうのほうから

「カレーパン2つの生徒さーん。

準備できたよー。」とおばさんの声が聞こえてきた。


葵は慌てて返事をしてその場を立ち去った。


おばさん、、ナイスタイミング!!


その後は葵も達也と喋らず

達也も葵とは喋らなかった。


次の日、颯と凛果が学校に登校した。


凛果はいつも通りの日常を過ごしていた。


だが颯は1日学校にいなかっただけなのに

その間に何かがあったことを薄々感じていた。


ある休憩時間に颯は達也に

どうしても聞きたかったことを聞いた。


「達也さ、お前昨日何かあったのか?」

ピンポイントな質問をされた達也は

驚いた顔をした後、颯から目線をそらした。


すると達也は

「颯。お前にもわからないよな?」


颯は何のことかをすぐには理解できなかった。

が、その後颯は


達也に冷酷な目を鋭く向けた。


「お前のことはよくわかっていないよ。だけど

お前とは違った形の孤独なら俺は知っている。」


その言葉を聞いた達也は青褪めた顔で

「すまない。颯。」と謝った。


だがこの出来事で達也は少しわかったことがあった。


自分と葵の壁がどんどん大きくなっていること。

そして


颯の様子が何かおかしいということに。


葵と達也の間の壁。

そして颯と達也に敷かれた微かな亀裂。


いつの間にか俺たちの日常は


狂い始めていたんだ。


するとドアから葵の姿が。


「達也くん。ちょっと来てくれない?」



葵は達也をどうしても支えてあげたいという一心で


達也を校庭まで呼び出した。


第12話 泡色メモリーズ


突然の出来事に驚いているのか

達也は呆気にとられた表情だ。


葵は校庭まで達也を連れてくると

180°回って達也に頭を下げた


「この前いきなり傷をえぐってごめんなさい。」

この言葉を聞いた途端、達也の表情が変わった。


「、、何が言いたい。」


「達也くんが一人でお母さんを看病したいたこと、

颯くんに聞いたの。ずっと一人で支えてきたんでしょ?」

葵は申し訳なさそうな顔を達也に向けた。


達也は唇を噛み締めていた。

「お前ごときに何がわかる!!今まで一人で看病し続けて俺の時間を全て削って看病して!!

父さんは病気の母さんを置いて出て行ったから

俺が一人でだぞ!!支えられず孤独を過ごした俺の

何がお前にわかるっていうんだよ!!」


葵は達也の目を見つめて

「わからない。達也くんの過ごした孤独の全ては。

でもね、私にもあるの。孤独だった時が。」


「え、、、」

力が抜けたような顔をした達也に対して

葵は話を続ける。


「私ね。自分の性格のせいで

この学校に来るまでずっと一人だったの。

ショタが好きすぎて教室で発狂してるレベルだったから。」


そりゃ浮いて一人になるわ。

達也は率直にそう思った。


「でも!お前の孤独と俺の孤独は違う!!」


「違わない!!」

本気で怒った葵は達也に反抗し始めた。


「なんでそこまで一人で抱え込もうとするの!?

抱え込む必要ないんじゃないの!!?」


「俺はずっと一人なんだよ!!」


「じゃあ、達也くんの友達は。」

達也は言葉が出なかった。


「友達がいるのに、支えてくれているのに、

達也くんは一人なの?周りが支えているのは

全部意味がないの?」


その言葉を聞いた達也は泣き崩れた。

今まで溜め込んできた辛い気持ちを抑えきれなかった。

葵は達也のそばに寄り添いながら頭を撫でた。


「もう、一人で抱え込む必要なんかないんだよ。」

達也は泣き続けていた。休憩時間ずっと。

葵はずっとそばについていた。


すると

「達也くん、私ね、達也くんの力になってあげたいの。いい?」

と聞くと達也は小さく頷いた。


その事をきっかけに達也は笑顔を取り戻した。


颯や葵と話している時も何かが吹っ切れた顔をしていた。


ーもう一人じゃないんだ。ー


数日後


海明学園高校で体育大会が行われることになった。

もう教室は体育大会の話で持ちっきりだった。


颯も達也も気合いが入っているのが

見てわかった。


そしてクラスごとに出場種目を決めることになり

颯は男子800mリレー、達也はスウェーデンリレー


葵はパン食い競争、凛果は障害物競争に出場することが決まった。


「颯、楽しみになってきたな。体育大会。」

達也は笑顔で颯を見る。


「楽しみだな!!去年は俺のクラス優勝だったし

今年も優勝取りたいな!!」

もう颯も笑顔だ。


教室は違うが葵も力が入っていた。


「葵ってさ、いつもパン食い競争だよね?」


「そうだよ!幼稚園の頃からパン食い競争しか

出たことないよ!!パン食い競争のプロフェッショナルだよ!!」


こいつ、ただパンが食べたいだけだ。と

葵の友達は察知した。


その後は放課後などを使い、

2年生はクラス対抗リレーや綱引きの練習を行い


3年生などは組み立て体操や創作ダンスの

練習をしていた。


授業中颯は外の3年生の組み立て体操の練習を見ていた。

おかげで先生などには怒られ廊下に立たされていた。

今度はバケツを持たされながら。


いつの時代の罰だよ!!などと内心思っていた。


そんな日々を過ごしながら


俺たちの体育大会は幕を開けた。



次回第13話 体育大会 序幕


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