好きなタイプは?
今回も颯たちは葵の家で勉強会をすることになり
しかもテスト間近ということもあり
泊まり込みということになっていた。
そんなこんなで夜ご飯を食べる颯たちだったが
葵のカレーが真っ赤だということに気づき
少し引いていた。
第29話 好きなタイプは?
「葵、、カレー、うまいはうまいんだけどさ、、。」
カレーを食べている最中に
颯が大量に汗をかきながら葵に話しかけていた。
達也も同じことを言いたそうに颯をみている。
葵はなんだろう?と疑問の目で颯を見つめる。
「いくらなんでも辛いだろうが!お前が辛いの好きだからって俺たちまで辛くすることないだろ!!」
達也はその発言に深く頷いた。
「俺も同じだ。いくらなんでも辛いぞ。どれだけ水を飲んだことか、、。」
「え?颯くんも達也くんも辛いの嫌いなの?」
颯はその言葉を聞き
ひとつ率直に思った。
ー誰もが辛いの好きとか思うなよ、、ー
「あのな葵?人それぞれ好みってあるだろ?それと一緒で辛いカレーが好きな人がいれば
嫌いな人もいるんだよ。わかるか?」
「でも辛いの好きなんでしょ?」
駄目だこいつ。もう手遅れだ、、。
颯と達也は目を合わせ同時に机に倒れ込んだ。
「葵、俺ギブ、。」
「すまない柴田。俺もギブだ、、。」
2人はギブアップ宣言をすると
よろよろと仲良く部屋まで帰っていった。
ここでカンのいい人は気づいただろう。
階段を登って部屋に戻る=8階分の階段を登る
ということに。
そう。2人は帰りの階段で猛烈に苦しんでいた。
一段一段登る度にうぇっ、うえっ。と声がする。
葵のいるリビングまでハッキリと聴こえるほどに。
「か、階段うぜぇ、。達也、ちょっとう、、上まで、うぇっ、。連れてってくれないか、、うぇっ。」
「ふざ、けるな。俺だって、、登るので必死、なんだよ。」
仲良くうぇっ。と言いながら階段を登り
部屋までたどり着くと、床に倒れてしまった。
「は、腹痛てぇ、。口の中辛ぇ、、。最悪、。」
颯は達也以上に死ぬ寸前だった。
とりあえず部屋に入り
カーペットの上で転がった。
そうして数分が経ち、だいぶ楽になってきた頃
ウィィ~~~~ンと音が聴こえた。
颯と達也はびっくりして起き上がり
その音を耳で追いかけていた。
すると突然、チンッ!!と聴こえた。
なんだろう、、と思っていると
ドアから元気良く葵が入ってきた。
2人とも呆然である。
「おい葵、、。今のってまさか。」
「ん?エレベーターで登ってきたんだよ??」
颯も達也も言葉を失っていた。
自分達がひどい思いをして階段を登った時間を
返せと言いたかった。
エレベーターがあるなら先に言って欲しかったと。
大きくため息をつくと達也はゲームを始め
颯はおやすみ体勢になっていた。
葵はその光景をみて、とりあえず持ってきたお茶を
机の上に置いた。
全員のお腹の調子が戻り
そろそろ寝ようとする時間になったとき
葵が目を輝かせていた。
「ねぇねぇ!2人の好きなタイプってなに!?」
「なんだ。女子高生が愛して止まない恋バナか。
じゃあとりあえず達也からで。」
「おい颯。何気にノリノリじゃねーか、まあいいけどさ。」
2人の許可も降りたということで
寝室での恋バナが始まった。
葵は興味深そうに達也を見つめ
颯はおもしろいネタを期待している目で達也を見つめている。
「特にタイプはないけど、、。
しいていうなら、優しい人かな、?」
達也の在り来たりな答えに
颯が口を挟んだ。
「予想はしてたけどシンプルだな。」
「他にもあるはあるんだぞ?」
他は!?他は!?と急かしてくる葵に押され
達也はどんどんタイプを暴露するハメになった。
「だったら学年なら誰?」
颯が冗談半分に核心につこうとしていた。
「そうだな。同じクラスなら望月で
他クラスなら柴田かな。」
「望月さんか。確かに優しいけどねー。」
達也の言っている子は
クラスの学級委員を務めている望月有梨沙。
全体をまとめる柱みたいな感じの人で
周りからもとても信頼されている。
「優しいんだけど裏の顔すごいの知ってる?」
え、そうなのか?と達也は颯の話に
耳を傾けた。
「だってこの前のHRで寝てた男子を
首根っこ掴んで殴って怒ってたじゃん。先生にはいい顔して喋ってるけど。」
いくら無表情の多い達也でも衝撃のあまり
表情がどこか歪んでいた。
「てか達也。さっき他クラスなら柴田って言ってたけど、今その子がお前の隣にいるのわかってる?」
「ちょ、ちょっと颯くん!なんでもう一回言うの!?」
楽しそうにからかう颯に、反応して照れる葵。
そして思わず笑顔になっている達也。
3人にとってこの時が一番心から楽しいと思えていた。
「お、もうこんな時間か。そろそろ寝ようぜ。」
という颯に葵が反応する。
「え?まだ颯くんのタイプ聞いてないよ??」
「またいつか教えてやるよ」
そういうと達也が呆れ顔で布団を被った。
まあいいか、と諦めた葵も布団に入り込んだ。
「それじゃあ、おやすみ。」
ついに明日は達也の奢り飯。
なにを食べようかな、と考えながら
葵と颯は眠りについた。
次回第30話 経済面の余裕




