悲しみの雨、哀れみの笑み
未来は
この海明学園高校に入ってからずっと
颯のことが好きだった。
第18話 悲しみの雨、哀れみの笑み
未来が颯を好きになったのは
クラス発表をされた数日後のことで
1年C組、この教室が未来の恋心を芽生えさせた。
教室に入ると知らない人ばっかり。
小さい頃から人見知りの激しかった未来は
緊張しながら教室に入り席に座った。
未来にとっては窮屈で窮屈で仕方なかった。
当然誰とも絡めずに毎日を1人で過ごしていた。
そして数ヶ月後、他学年に編入生が来た。
そう。その編入生が現在の颯。
だが、、、。
「本郷 颯です、宜しくお願いします。」
その時の名前は神川ではなく本郷だった。
ふーん。本郷くんって言うんだ。
なんか顔がアホそう。など失礼な言葉を
未来は第一印象としていた。
海明学園では編入生は学年問わず全てのクラスに
挨拶に行かなければならなかった。
そして翌日
まだ場所を把握できていなかった颯は
友達もいないので1人で校舎をうろついていた。
移動教室の時に遅れないようにするためだ。
そして移動教室の時間がきた。
颯の初めての移動教室は音楽だった。
クラスの人についていかずに
1人で音楽室を探し移動していた。
そして完全に挙動不審状態の颯のそばを
未来が通りかけた。
未来はその時ある感情を抱いていた。
ー私も、友達がいなかった時あんな感じだったなー
そんな想いが未来を颯の元にへと急がせる。
「場所がわからないのなら一緒に行ってあげますよ」
心からの優しさだった。
颯はその言葉を聞いて、お願いします。と即答。
そして音楽室に無事に到着すると
「皆町 未来さん、、。ありがとうございました。」
少し照れくさそうに感謝の言葉を口にすると
音楽室に入っていった。
単純に未来は、颯の照れ顔に一目惚れしたのだ。
その後何回も2人で喋ったりして
一生懸命アピールし続けた。
だが、そんな日常は残酷な程に崩れ落ちた。
その日から颯の名前は神川になった。
父は離婚し、母は颯を置いて出ていったのだ。
神川という名義は母方の名義で
離婚した時に名義が変わり
そのまま母は出て行ったという始末だった。
あんなに明るく未来と過ごせていた学校が
突然なくなったかのように
颯は誰とも話さなくなってしまった。
未来も必死に励まそうとするが
「ごめん、、。お、、お願い、だか、ら
出て行かないで、、、か、母さ、、ん。」
まるで覚めない夢を見ていた。
次の日も、次の次の日も。
そんな時、颯を元気づけ友達になった人がいた。
後の生徒会長になった葵だ。
未来はそんな葵に嫉妬していたが
ある時にふと思いついた。
あの女のそばにいたら、何か情報が得られるんじゃ?
その日から未来は生徒会の一員となった。
ずっと颯のことを考えていた。
そんな彼女の前に1人の少女が颯の前に現れた。
それが凛香だ。
未来にとっては嫉妬対象が増えていった。
だが颯にとっては幸せな日常だった。
家族でもないのに一緒にいてくれる仲間が
増えているのだから。
達也も葵も凛香もあっという間に颯と仲良くなり
奥から未来は恨むような目で見ていた。
その光景全てを。
そして体育大会が終わったあと
生徒会の人数を増やさないかという話題がでた。
未来にとってはあまり興味のない話だったが
展開によりスピードは加速していく。
葵が颯を推薦してきた。
颯は未来のことを覚えていなかった。
だいぶ見た目が変わっていたから。
そして原稿を颯と作ることになり
未来にとっては大きなチャンスであった。
さらに雫と凛香が訪れ
未来は凛香の態度を見て一発で
颯のことを好きでいることに気づいた。
さらには嫉妬も募っていたので
仕返しできないものか。と考えていた時に
「今日帰りにコーヒー屋行かない?」との会話が聞こえてきた。
そして未来はその時考えた。
帰り道にわざとコーヒー屋の前を通り
凛香に日頃溜まっていた嫉妬を返そうと。
凛香に同じ想いをさせてやろうと。
そしてコーヒー屋の前をわざと通り
凛香に哀れみの笑みを零した。
ーもうあなたには何もさせないからー
ただそれだけ。
それだけのことだった。
次回第19話 2人の想い




