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胎動

※昔に書いた文章をそのままコピペしたので誤字脱字や文章が読みづらい場面があると思います。その点に関しては、あまり気にしないで読んでくれると嬉しいです。

午前一時、学校に五個の影があった。

その二つは人間だがもう動いていない、一つは涎を垂らし虚ろな目で空を見つめている。

残りの物体は暗闇の中をがさごそと蠢いている。

一方で薄暗い部屋の中でその女子はじっとパソコンを見つめている。

検索エンジンの欄には「水明市連続怪死事件」と書かれていた。

 ――7月10日、山中志乃は本格的な夏が始まりつつあるこの日にうんざりとした顔付きで学校へと向かう道を歩いている左手には携帯を持ちテレビを見ている。

 歩くこと十分、学校に着きそのニュースに耳を傾ける。

内容はニュースのようで[前回に続きまた、闇の裁き!?]というテロップが流れている。

 事件の事柄について説明した後、ニュースに出ている専門家たちが被害者に次々と野次を飛ばし始めた。

「だいだい、夜中に学校に行く馬鹿な高校生共がいるからこの事件は起きるんですよ、どこの底辺高校だか知りませんが自分の命も守ることができない高校生は外出禁止法で規制されるか死刑にでもしとけばいい教育になるでしょうな、ぎゃはははは!」

なんて粗雑言葉遣い、下品な笑い方、そう思った志乃はその光景を見て顰めつらをしながら呟く。

(何が闇の裁きよ、底辺高校よ、殺された人達を馬鹿にしてるの?大体あんた達みたいなにわか専門家にあれこれ言われる筋合いは――)

「おい、山中志乃」

 突然喋られた自分の名前にビクッとし、声がした方に顔を向ける。

このクラスの担任でもある大津孝則が顎に蓄えた髭を触りながら志乃を見つめていた。

大津の額には顰めつらをしてできた皺の線が一本二本とある、今にもくらいかかってきそうな雰囲気だ。


「テレビに夢中になるのは構わんが・・・それを俺のHRでやるとは大した度胸だな」 

目にも止まらぬ速さで志乃を携帯を奪う。

「あっ私の携帯!先生、プライバシーの侵害です!」

 今はHRの真っ最中。志乃はテレビに夢中になりすぎて気付かなかったらしい。

「お前にプライバシーがあるなんて先生は驚いたぞ、ほう、連続怪死事件について見てたのか」

 大津は携帯の電源を切りポッケに乱暴に突っ込んだ。

「あー折角だから話しておくがお前らも死にたくなかったら夜中には出歩かないことだ。十一人の内、この学校から七人も被害者が出ているからな、しかも二年生、同学年だ」

「後で学校の方で警察に見張りを頼むから夜は出るなよ、最後に志乃、携帯を返してほしければ放課後先生のところに来いわかったな?」

 志乃は口を尖らせ渋々頷いたと同時にHR終了を知らせる鐘が鳴った。

 HRが終わり十分間の休憩に入ったところで志乃のもとに一人の女子がやってきて その少女は志乃の顔にぴったりと顔をくっつける。

「志乃ってニュースとか好きだったっけ?」

「奈保ちゃん、顔が、ち、近いよ……」

 顔と顔の距離は一センチあるかないか、ついでに言うと今鼻同士がくっついた。

「は、鼻が! くっ付いてる!」

「さぁ、私の唇をその唇で受け止めてぇ!」

「うわああぁ! やめてぇ!」

 手を前に突き出し奈保の肩を押しだす、奈保は少しよろけて笑顔で話し始める。

「あははごめん、今日の志乃何か元気ないなぁと思ってさ、でもいつもどうりだね」

「奈保ちゃんの行動にはいつも脅かされるよ、何か用?」

「志乃さぁ、学校についてもずっと携帯の画面見てたけどなんか面白い番組入ってた?」

「最近、面白い番組なんて一個も無かったと思うけど」

「二千十四年からさ、バラエティ番組とか、その他の娯楽もかなり規制させられたよね」

「そ、そうだっけ?」

「あれ?なんも知らない?」

 そう言うと奈保はおもむろに携帯を取り出し検索を始めた。その検索結果を志乃に見せる。

そこには二千十二年から現在までに起こった事柄が明確に書かれていた個人のブログだった。志乃はその内容を心の中で読み上げる。

(二千十二年に光明党が就任したせいで日本が終わってしまった。僕はここに今までに起こった事柄を記憶していきたいと思う。

一番の原因は好き放題に規則を作り始めたからだ。彼らが今までに作ってきた規則は数え切れないほどある、税金増税、娯楽規制、いろいろだ。次回の記事にこれらについての細かい事柄について記録していきたいと思う。 二千三――)

 次の記事を読もうとしたところで奈保は携帯を閉じた。

「あ、奈保もうちょっと見せてよ」

「ダメ、先生が来てあたしも携帯没収されたくないもん」

 授業開始のチャイムが鳴り先生が来る。生徒が挨拶をして授業が始まった。

 ――放課後、志乃は職員室の前に着いた。

二回ノックをして中に入り大津先生の所へ向かう。目的はただ一つ、携帯を取り返しにきたのだ。

 大津は朝と変わらぬ顰めつらで机にあるノートをまじまじと見つめている。それを妨害するかのように志乃は話しかけた。

「先生ー携帯を返してもらいに来ましたー」

「ったく、今度からは気をつけろよ、次やったら親にも連絡する……と言っても、お前の親は殺されたんだよな、すまない」

今までの被害者は一一人。その中に志乃の親が混ざっていることを知ってるらしい。

「いえ大丈夫です、気にしていないので……それじゃあ先生また明日」

 そう言い残し志乃は早歩きで職員室を去った。

 家に帰りパソコンの電源を入れる部屋中にHDDの音が鳴り響く。しばらくした後、志乃は学校へと向かった。

 午前一時、薄暗い校門の傍に志乃の姿があった。

 夜の学校は普段の時とは違う顔を見せていた。

校舎全体はどす黒い影に飲み込まれ、校舎の窓からは何も窺い知れない。

志乃は校門の柵を乗り越え校内に侵入した。

地面の砂利を歩く音だけが校舎内に響き渡る。

 辺りを小十分程度うろついて、呟いた。

「やっぱり何も無いか、まぁ実際居たら居たで怖いけど、今日はもう帰ろうかな」」

 回れ右をしようとした瞬間、背中から何者かの視線を感じた。

(……何、後ろに誰か居る?)

 恐る恐る体を後ろに回す、そこには

――黒い物体。

 人間ではない、動物でもない、黒い物体。

 全身が黒で、獣のような風貌、身長は人間の三倍はあり、その物体は血の様などす黒い目玉をかっ開き志乃を凝視している。

「イヤァァァァァァァァ!」

 志乃は叫び声を上げ猛ダッシュで校内から出るが黒い物体に足を捕まれ転んだ。

「何、何なの、何なのよ、放してよ!」

 志乃の抵抗は聞こえず黒い物体は徐に口を開きだし、叫んだ。

人間の嘆きに似た叫びは、志乃の鼓膜を振るわせ、脳内に響き渡る。

ドクドクを心臓の鼓動がなり、脈の振動に合わせて脳がズキズキと痛み出す。

視界が真っ暗になり志乃は意識を失った。

 ―ゆっくりと意識が戻る。

 辺りを確認する、そこは地面から二十メートル高さがある屋上。

落下防止の柵を乗り越え今にも飛び降りれそうな場所に居た。

体は縄で縛られ動けない。

 下を見る、眼に生気が篭っていない人間が無数居て、志乃を見ている。

「おい、山中志乃」

 屋上に大津の姿があった。

ゆらゆらと志乃に近づく、彼も同じく眼に生気が篭っていない。

「せ、先生! これは一体?」

 大津は何も答えず、ニタニタと笑みを浮かべ志乃の肩を掴みその肩に徐々に力を入れる。

「え、先生何を……止め―」

(……い)

「お前の命は没収だ――」

 志乃を押し出す、足場を無くした体は地面へと真っ逆さまに落ちる。

(……い……ろ!)

「嘘でしょ……こんな風に死ぬなんて――」


「おい、しっかりしろ!」

 男の声が聞こえ、志乃の意識が覚醒する。

「……え、何?」

 周りを確認する、校内の地面。

屋上でもない、大津の姿もない。

その代わりそこに一人の少年が居た。

「ああ、生きてたか、大丈夫か?」


―――次回に続く―――

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