執念
エドワードは勝った、と言う感覚を長年の実践経験による勘で捉えていました。
獣の中には心臓を打ち抜こうが脳天を打ち抜こうがお構いなしに生きてくる奴がまれにいるものです。 しかしエドワードは生物の死と言う感覚を第六感によって確信的に感じていたのです。
今回の場合も例外は無い、筈でした。
「敵」はまだ生きている。
紫外線によって自らの体を燃やし「ゴッド・バード」となって。
奴は死にもの狂いになってエドワードに突進しました。
燃えた羽が爆発を起こし大きな雪崩をも引き起こしました。
エドワードはそれをひょいひょい避けていきました。
時間と共に体が朽ち、放っておけばいずれ死ぬことは確実。 利口なエドワードは攻撃をやめ逃げることに専念しました。
敵に背を向け音を頼りに攻撃を避けてきたエドワードですが、明らかな音の変化に気付き、ふと振り向いてみました。
そこには最早羽毛も、肉も無く骨だけとなった奴が確かに羽ばたき飛んできている光景がありました。
あまりに信じられない光景に怯み、思わず雪崩に足をとられてしまいました。
隙を見せたのも束の間奴は一気に間合いを詰めてこちらに猛スピードで突進して来ます、エドワードももうだめかと諦めかけたその時。
奴の骨は当然生気を失ったかのように崩れ落ち、動かなくなりました。
その時やっと、エベレスト山の頂上に奴の巣があり、そこに産まれたばかりの雛とやけに多くある卵に気が付きました。
エドワードはそれをしり目に敵の骨を持ってアメリカに帰りました。