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第百十四話 水の大精霊

かなり短いです。すみません。

「そうそう。水の大精霊と風の大精霊は仲がいいんだ。だから水の大精霊のお膝元でも、風の魔力が多く混ざってて、それでも調和している」

 イネスが両腕をひろげると、白衣の裾がたなびいた。

「さて、二人ともついてこい。俺はこれから大精霊に会いにいくんだが、ここから出るには俺についてきたほうが早いぞ」

 精霊の関わる空間では闇雲に動いても道に迷うだけだと身に染みているイゼキエルは、歩き出したイネスのあとに続いた。それを見たテルマも続くことにする。

 やがて辿り着いたのは、半ば崩れかけた石の廃墟だった。イゼキエルはその場所が前回ユートと共に訪れたことがあると気づく。

 廃墟となっているが、かつては石の家の屋根の部分が水路を引いた菜園になっていたと思われる場所だ。

 イネスは戸惑う様子もなく、その廃墟の中に入る。そこにはシルフと、たっぷりの水色の髪をゆるく二つに束ねた、水色の肌の少女が寄り添っていた。その二人の横にはちょこんと雪の女王が座り、腕には白い布に包まれた赤ん坊のようなものを抱いている。

「あら、あなたは……」

「……」

 シルフはイネスとイゼキエルに気づくと手を振って出迎えた。水色の少女はこちらに視線を向けつつも、キッと睨んで目を眇める。不機嫌がよく伝わってくる。

 そんな中で、テルマだけは生まれて初めて見る精霊達に目を輝かせた。

「うわぁ!!絵本でみた精霊さん達だ!あなたはシルフ?そっちは……ウンディーネかな?あ、名前も名乗らずにごめんなさい。私はテルマ・シアンベルク。こっちは弟のイゼキエル。こっちはイネスさん」

 礼儀正しく名乗ったテルマに、シルフは穏やかにほほ笑んだ。

「ええ、そっちの二人は知っているわ。ウナ、この二人がさっき話していた、この子を助けてくれたうちの二人よ。テルマ……と言ったわね。妾達の愛娘。妾はシルフ。この子はウナ。あとの雪の子と炎の子は、名はまだないのよ」

「そんなことまで話さなくていいやん、シル!うちらにとっても、彼らにとっても、深入りするのはあんまりよくないん、知ってるやろ?一度知ってまうと、もう後戻りはできひんのやで」

 ウナは高めの声を響かせた。



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