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第百五話 日朝

俺は目の前の光景に口をあんぐり開けた。まず精霊の杜からポータルを抜け、魔導自動人形が案内するまま制御室とやらに行ったときに人の骨があったことや、近未来的な水の入った人が入りそうなカプセルがあったりする光景にも驚いた。なにせ、そんな近未来空間にDDRがあったのだ。浮きまくりだろ。それでも充分驚きの光景だったのだが、そのあと案内されて今目の前にあるのは、広いドッグのような空間と、超巨大ロボットだった。機動破壊戦士バンダムのような青と赤のボディがキランとライトを反射している。

「世界観!」

 世界観が仕事してない!いや、むしろ仕事した結果がこうだといえるのか。

「あれ完成形を現したホログラムな。実物はこっち。これからこいつらに乗り込んで合体してもらうから」

 空いた口が塞がらないまま魔導自動人形のCの形をした指がさすほうに視線を落とすと、そこには飛行機、電車、バイクがある。これらが変形して合体……。バンダムじゃなくてトランスシェイパー?

「………………つまり、これに乗り込んで戦えと」

「何人かは乗り込んでもらわないといけないが、これでもいいぞ」

 と、渡されたのはラジコンのコントローラーのようなものだった。鉄仮面人てっかめん28号タイプの操作法も選べる……だと?

「…………いや、乗り込むタイプで」

「そうか。やっぱコックピットにはいきたいだろうな。うんうん」

 いや、それどころじゃないことはわかってるんだが、ちょっと憧れがあるのは否定できない。

『いいいいやあー―――――!著作剣という名の武器が僕を刺し貫くー!誰か助けてえ!』

 急に叫びの文字列を点滅させるウィンドウ画面が現れる。

 異世界に著作権とかあるのかよ。

『あるんだよー。別の世界の偉い人から怒られることもあるんだよー(´;ω;`)ほかの世界の神様とか、管理者とか』

 ……。そんなものがいるとしても、だ。いやぁ、今更?と思わなくもない。緑色の土管とか、クリぼっちとか、今まで際どいの結構あっただろ。

「……そゆときは魔法の呪文、オマージュを唱えるんだよ」

『はっ!』

 ぼそりと俺の呟きに、なんとなく神が目を輝かせたような気がする。

「なんか言ったか?」

「いや」

「そうか。説明を続けるぞ。わからないことがあれば言え。お前には車か、バイクかに乗り込んでもらう。そして5人で協力してあれを倒せ」

「……五人?」

 そこで疑問と、ふっと思いつく。あ、トランスシェイパーじゃなくて、戦隊ものか。日朝だな、と。

「お前と、エレノアと、あれ」

 俺とエレノアはわかるが、あと一人は……と思っていると、バチバチっと電気の爆ぜる音と強烈な視線が背中に突き刺さった。あと一人とは、余り的にイゼキエルしかいない。

「えー――、なんかめっちゃ睨んでるけど、いいのかあれ」

「睨まれようがなんだろうが、やらなきゃ死ぬだけだからな。死にたいならご勝手にってとこだ」

 魔導自動人形が肩をすくめる。機械らしい機械が人間ぽいしぐさをすると、本当に生き物みたいだ。

 バチバチと電気を全身で発生させながらも否定の声を上げないということは、あいつも協力してくれるということとして数える。

「あれ、でも五人って、あと二人は?」

「もうすでに乗り込んでるんだよ。だから、あとはお前達だけだ」

 あと二人……。

 他に誰かいただろうか。

 そう思いながら、車に乗り込む。ハンドルを握りながら前を3秒ほどみつめ、俺の頬を汗がつと流れた。

「俺車の免許持ってねぇ」

 つまりは、運転したことがなかった。ATかMTかでも、捜査の難易度が変わるだろう。幼いころに遊園地で乗ったゴーカートを必死で思い出す。

 左手の位置にはハンドルレバーがあり、足元にはアクセルとブレーキしかないように思う。これなら……。

「免許持ってねーけど、異世界なんだから許されるよな?」

 ハワイで親父に教えてもらった高校生探偵もいるのだ。異世界ならなおさら許されるはず。

 俺はレバーを引いた。



副題 魔法の呪文オマージュ

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