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希望を抱きし者  作者: 夜海 来火
第1章 エイリアン侵攻
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7話 別れの時

「ーーで待ち合わせ場所に着いたら、お前はまだいなかったんだ。俺はおかしいなと思って、いつもお前の家から渋谷駅に着くルートを歩いていたら、お前がピンチになっていたんだ」


俺は春香と遭遇するとこまでの話を休憩がてら全部話した。

春香は黙って聞いてくれていた。


「ごめんね、カイ。迷惑かけちゃって」

「全然そんなことねぇよ。それより、そろそろここを離れよう。またエイリアンが来るからな」

「そうね、行きましょう」


「二人ともどこへ行く気だ?」


俺と春香に喉太い声が聞こえて来た。俺たちは後ろを振り向くと、そこには一人の軍人がいたのだ。

俺はその軍人に聞く。


「あなたは?」

「私は陸上自衛隊の一人だ。我々陸上自衛隊は生き残っている日本人を空港まで誘導する任務を受けている。空港まで車で移動すればエイリアンに見つかってしまう。歩きで行くが、大丈夫か?」

「……大丈夫です。多分」


俺はそう答えたが、春香は以下にも無理そうな顔をしていた。

歩き始めてから1時間30分が経過。やはり春香はもう限界だった。


「ハァハァ、もうダメ……。後でついて行くから、二人とも先に言ってください……」

「何言ってんだよ⁉ほら、乗れよ」


俺は赤面しながら仕方なく・・・・春香を背負って行くことにした。あくまでも仕方なく・・・・だ。



やがて、もう夜になり空港に到着した。空港はまだ宇宙人に見つかっていないらしく、俺たちはそこでしばらく休憩していた。


だが、休憩してから間もなく、奴らが空港にやってきた。


「きゃぁぁぁぁ‼‼」

「う、うわぁぁ‼」


人々が悲鳴を上げている中、一人の自衛隊が叫んでいた。

「少人数の方々ならヘリコプターで移動します‼ついて来てください‼」

俺と春香は急いでその自衛隊の後を追った。


俺たちは何とかヘリコプターから日本を脱出することに成功したが、空港で殺された人はかなりいたはずだった。


今はヘリコプターで空を飛んでいる。


下は海、上は雲一つない空……。と言えば嘘になるな。結構どんよりしていた。

そして、さらに困ったことが起きた。


操縦士は俺たちに言う。

「これからアメリカに向かいたいと思うのですが、かなり巨大な積乱雲を突破しなければ、アメリカまで到着できませんね……」

「遠回りはできないんですか?」

「遠回りすると、エンジンが途中で切れて、墜落する確率が高くなります。突っ切るしか生き残る方法はありません」

「わかりました」


俺はそう、了解した。

そして、俺たちが乗ったヘリコプターは積乱雲の中へと入ってしまった。


中は物凄かった。稲妻がバリバリ鳴り、目の前は雲だけで何も見えなくなってしまった。

だが、かなり遠くに何かがあるのを感じた。春香もその方向を見て感じているのだろう。


操縦士は何も感じてはいなかったが……。


そのままヘリコプターは進んでいると、俺が感じていた物の正体がわかった。


大艦隊だ。エイリアンが乗っていた巨大大艦隊が積乱雲の中に浮いていたのだ。

さすがに操縦士も大艦隊の存在は目視できたらしく、慌てた様子でハンドルを動かした。


「高度を上げます‼」


操縦士はそう言うと、ヘリコプターは大艦隊より上を飛んだ。

そして、大艦隊を背にして飛んでいるとき、大艦隊は俺たちの乗ったヘリコプターに逃がすまいと、一筋のレーザーを大砲から放った。


「レーザーが来ます‼」

「何だと⁉」


ヘリコプターは左に急カーブし、レーザーを避けたように見えたが、レーザーでヘリコプターの右側、右の扉を削り消されてしまった。


「うわっ‼」


ヘリコプターの扉がレーザーによって吹っ飛ばされてしまったため、春香はヘリコプターの外に吸い込まれるように、飛ばされてしまった。


「春香‼」



俺は吹っ飛ばされる寸前の春香の手を掴み、そのまま春香をヘリコプターの中に戻した。


だが、反対に俺がヘリコプターの外へと吹っ飛んでしまった。


吹っ飛ぶ直前、手すりを片手で掴みながら、俺のほうに手を差し伸べてきた春香と目が合った。その瞬間、今までの思い出が一気に頭に思い浮かんで来た。


学校でのこと、遊んだこと、たまに怒られたこと……。


そして、春香の手には触れることができず、俺の姿は積乱雲の中で消えてしまった。


だが、ヘリコプターはそのまま前進した。そのことで春香は操縦士に怒鳴った。


「なんで⁉カイを助けに行かなきゃ‼」

「残念だが、この天候でこのまま飛行するのは危ない。それにあの大艦隊もいるんだ。あの大艦隊は航空自衛隊の戦闘機を全て撃破したほどの力を持っている。これ以上、死人は出したく無い」

「そんな……。うわぁぁぁぁぁぁ‼‼」


春香はただヘリコプターでひたすら叫んでいた。





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