4話 命の選択
間違っていた部分があったので、訂正しました。
ご迷惑をおかけしました。
開戦から8分。地球人は戦闘機と小型原子爆弾、そして、朱谷長官の作戦を用いて小艦隊を全て撃破した。
《皆、よくやった!だが、まだ安心はできない!戦闘隊AとBは円盤型大艦隊に侵入しろ!他は外から銃で攻撃!》
《《《了解》》》
無線で連絡を取り合った軍人たちは、一斉に命令通りに動いた。
だが、外からどんな攻撃をしても、円盤型大艦隊には傷一つ付けられなかった。
戦闘隊AとBが大艦隊の上空まで来たとき、思いも寄らないことが起きた。
人が飛んでいたのだ。
「なんだ奴は⁉飛んでいるぞ!」
「あれは、人間なのか?いや、身体から光が……!こちらに銃を向けています!」
その人物は一機の戦闘機に銃を向けると、その銃からは激しいレーザーが飛んでいった。
そのレーザーは戦闘機を貫通すると、その戦闘機は爆破されてしまった。
戦闘隊A班を失った地球人は戦闘隊B班に大艦隊への侵入を中止しようと命令を出そうとしたが、時は既に遅し。B班の戦闘機も謎の人物のレーザーによって、爆破されてしまった。
《戦闘隊A・B班死亡確認!空飛ぶ人間が大艦隊付近を飛んでいます!》
《大艦隊の天井から大砲の固定を確認!先ほどのようにレーザーの恐れ有り!》
円盤型大艦隊の中心から、一回り大きな大砲が現れると、その大砲から一筋の鋭く細い一本のレーザーが次々と戦闘機を破壊していった。
そのレーザーは戦闘機を撃ち抜くというより、レーザーが戦闘機の装甲を斬り裂いていくようだった。
装甲と共に何人もの操縦士もレーザーに貫通し、切り裂けられてしまっていた。
生き残っていたのは朱谷長官が乗った戦闘機ぐらいでしかなかった。
他は全てレーザーによって爆破されたか、操縦士もろとも切り刻まれたか、片翼を破壊され地上に墜落したか。
だが、皆が死んだことには変わりはなかった。ここで朱谷長官はハンドルを握りしめ、命の選択をした。
このまま、ここに残り、仲間のためにも戦うべきか……。
それともこの場から退散し、命乞いをするべきか……。
すると、朱谷長官は一人の息子のことを思い出した。今はもう高校生で、しばらく息子とまともに話していなかったことを思い出した。
そして、ハンドルを握りしめている手をガクガクさせながら涙した。
「ごめんなぁ……カイ……!父さんはもう……この身を投げ出さなければ……」
ガクガクしていた手は止み、決意を決めた顔で大艦隊のあの無数の戦闘機を駆逐した大砲に鋭い視線を尖らせた。
「お前たちを守れそうに無い‼‼」
すると、最後に残った一機の戦闘機は、大艦隊に向かって猛スピードで飛行して行った。
そう、朱谷長官の狙いは自らが乗っている戦闘機ごと、大艦隊の一回り大きい大砲を破壊しようということだったのだ。
「この小さな力では、太刀打ちはできない‼だが、あの大砲ぐらいは壊せるはずだ‼機体よ‼もってくれ‼」
本来ならあり得ないスピードで滑空している戦闘機は限界ギリギリだった。
エンジンを放出する部分からはエンジンではなく火が出ているほどだった。
大艦隊も迫ってくる飛行機に対して、無数の大砲から、幾つものレーザーが放たれた。
だが、朱谷長官は絶対に当たらまいと、レーザーを避け続け、もう一回り大きい大砲の前まで滑空してきていた。
「壊れろぉッッ‼‼‼大砲ッッ‼‼」
しかし、一回り大きな大砲と衝突する直前に一回り大きな大砲の銃口から巨大なレーザーが放出された。そのレーザーは朱谷長官が乗っている戦闘機を簡単に飲み込み、戦闘機はボロボロに散ってしまった。
「くっ、くそがぁぁぁぁぁぁッッッ‼‼‼‼」
巨大なレーザーに飲み込まれ、身体がボロボロに焼き焦げていく朱谷長官は、意識が盲ろうとしていく中、夢を見た。
武神のような格好の一人の男と光り輝く一人の女が、強大な敵の前に立ち上がっている姿を。
(これは?何なんだ?……伝説の天空から舞い降りし女と、大地で生きた男の二人の姿なのか……?)
朱谷長官はその後、跡形もなく消えてしまった。
「……‼‼」
校庭で先生と大艦隊を見上げていた俺は突然、何かを感じ取った。そんな俺に先生は聞いてくる。
「大丈夫か?朱谷。どこかで休むか?」
「いいえ、何でもないです」
このとき、心の奥底で何か密かに切ない思いが込み上げてきた……。