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希望を抱きし者  作者: 夜海 来火
第1章 エイリアン侵攻
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3話 防衛隊

ーー開戦の1時間前ーー


日本、自衛隊東京地方本部では、空に現れた謎の円盤型の大艦隊に向け、2つの四人一人組の小隊を編成し、調査に出動させようとしていた。


そこで、いくつかの小型飛行機の近くに計8人の調査兵が集められ、出発の準備を行っていた。


「それではこれより、朱谷真人(あかたにまさと)防衛庁長官によるお言葉です。全員、意を決して聞きなさい」


すると、偉そうな人が2つの隊の前に立ち、高らかに告げた。

「これより、調査隊に命ずる。そちらにある小型飛行機に乗り、あの大艦隊の様子を詳しく調査すること。そして、次にA隊はそのまま飛行続行し、B隊はロープを使い、大艦隊内部を調査。ただ、中には人間がいるとは言いにくいが、生物がいるかもしれない。宇宙人のような生物がな。そのような生物が攻撃、奇襲してきた場合、即座に戦闘を開始せよ!」


「「「ハッ‼」」」


調査隊は一斉に力強く返事を返すと、「出動」の合図で、2隊ともに小型飛行機に乗り込んだ。


とある1機の飛行機に乗り込んだ若い調査兵に、防衛庁長官が話しかけてきた。


「初任務だな、谷口。お前を鍛えてきた俺も嬉しく思うぞ」

「朱谷先輩……。いや、朱谷防衛庁長官!お言葉、ありがとうございます!」

「なに、先輩で良いさ。今回の任務は得体の知れない物の調査だ。この調査がもしかしたらとても重要なことになるかもしれない。頼んだぞ」

「わかりました!全力を尽くします!」

「あぁ、この任務が終わったら、また牛丼でも食いに行こうな」


そんな会話を長官と若き兵はしたあと、若き兵が乗った飛行機は飛び立った。また、他の調査隊の飛行機も一斉に飛び立った。

その調査隊たちが乗った数々の飛行機は、真っ直ぐ空に浮かぶ大艦隊に向かって行った。



調査隊が乗った飛行機と無線で連絡しあっている自衛隊東京本部は、調査隊に大艦隊の状況説明を求めた。


しかし、返って来た返事はというと……。


《な、なんだ⁉あの“大砲”は⁉》

《銃口が此方に向けられています‼このままでは‼》

《退避します‼》


一機の飛行機が右下に下降して行った。すると、大艦隊の無数の大砲の一部から、強烈なレーザーが照射された。


そのレーザーは一機の飛行機を貫き、三機の飛行機の片翼を破損させた。

貫かれた飛行機はガス爆発を起こし、その飛行機とは連絡が途絶え、片翼を失った三機の飛行機はそれぞれ地上へと墜落してしまった。


墜落した衝撃で三機の飛行機は爆発し、残った調査隊は4人。二機の飛行機しか残っていなかった。


「なんてことだ……!」

「直ちに戦闘隊を出撃させろ‼一刻を争うことならば、この私も出る!」


朱谷長官はそう言うと、数分後、何百という数の戦闘機が出撃された。

標的は四機の飛行機を撃破した大艦隊だ。


その何百の中の一機には朱谷長官が操縦していた。

また、第二次世界大戦の知識を活かし、あまり犠牲を生まない小型原子爆弾を造ることに成功した地球人は、その爆弾をそれぞれの戦闘機に一つずつ積んでいた。


「目標確認!あの円盤大艦隊に向けて、原子爆弾を投下しま……、なに⁉」


無線で連絡を取り合っていた操縦士がそう言うと、大艦隊からいくつもの小艦隊が放出された。


そして、その小艦隊は原子爆弾を投下する直前だった戦闘機を、小艦隊から放たれるレーザーで撃破した。


その遠くから、爆発が見えた朱谷長官はハンドルを力強く握りしめ、無線で全戦闘機に告げた。


《目標変更‼大艦隊から放たれた小艦隊を全て駆逐せよ‼》


その命令で、標的は大艦隊からいくつもの小艦隊に変更し、各戦闘機はその小艦隊の撃破を試みた。

しかし、小艦隊の動きは戦闘機とさほど変わりは無く、原子爆弾を命中させるには、困難を極めた。もし、原子爆弾をそのまま地上に落とせば、あの悲劇の二の舞を演じることになる。


そう考えた朱谷は、本部にいる兵に無線で告げた。


《陸兵に告げる!これより、直ちに大艦隊付近の地上にいる人民の避難を求む!もう一度繰り返す!直ちに大艦隊付近の地上にいる人民の避難を求む!》


その命令で陸兵は動き出した。さらに朱谷長官は、各戦闘機にどう小型原子爆弾を小艦隊に命中させるか、作戦を告げ始めた。


《戦闘機に乗っている者よ!今から作戦を言う!成功確立は極めて少ないが、やってみる価値はある作戦だ!まず、三機の戦闘機があの大艦隊に向けて、小型原子爆弾を落とすフリをするんだ!そうすれば、小艦隊はその三機を撃ち落そうと、その三機に群がる!そこで、小艦隊が集まったところで皆が一気に小型原子爆弾を投下するのだ!あの小艦隊は我々が大艦隊に原子爆弾を落とそうとしたときに放出された物!(おとり)に掛かる確率はある!第4機と第8機は私と共に囮!その他は原子爆弾投下の準備をせよ!》


その命令を無線で聞いた操縦士たちは、心を一つにしたように一斉に応える。


「「「「了解‼」」」」



朱谷長官を含む三機の飛行機は、囮役として大艦隊の上空に向かって、一直線に飛んで行った。


すると、見事に全ての小艦隊がその三機を撃破しようと、その囮に向かって飛んで来た。


(掛かった‼)


朱谷長官は追尾してくる小艦隊を見て、そう心で叫ぶと、小艦隊が群がってきたところで、無線で合図した。


《今だ‼‼‼》


すると、さらに上空から何十という数の戦闘機が、群がっている小艦隊に向け、急降下してきた。


《見せてやれ!人類の命運は、まだ尽きてないことを‼》

《地球は我々が守る!》

《いくぞぉぉぉぉ‼‼》


それぞれがもう敬語なんて関係なく、無意識に無線で叫ぶと、群がっている小艦隊に向け、いくもの小型原子爆弾を投下した。


それと同時に三機は、宙返りのように空を飛行し、原子爆弾の被害を避けることに成功した。


そして、激しい爆発が、大艦隊の上空で全ての小艦隊を包み込んだ。








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