第9話 メイドを守るは主の役目!
カクフォイの襲撃後、俺達のパーティーはアッキー達教師陣に保護され学園へと護送された
襲撃の内容はアンデッド族の派閥争い、反王族派がカクフォイを刺客としてカミラの命を狙った事だと推測された
しかし各種族の仲を取り持つ大事な時期と言う事もあり、この事件は一部の上層と現地にいた当事者以外にはかん口令が敷かれた
カミラも俺様もアンデッドと悪魔なのだから多少の切り傷は再生能力で直ぐに完治した
さすがに落とされた俺様の右腕はそうはいかないだろう……と思っていたのだが!
「そんな物、くっつけて唾つけとけばすぐに治るわ!」
と言うアッキーの言葉通りやったら一日でくっついた! この身体、人族と言うよりゾンビだな!?
但し流れ出た血液はどうにもならず、自然に増えるまでは極度の倦怠感に悩まされました(それ位で済んで良しっちゃ良しなんだがな!)
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「アギト、失礼するわよ……」
「おいおいカミラ、毎度毎度気を使わなくて良いんだぜ!」
カミラは事件後、ロクに動けない俺様の介護を続けてくれている
カミラとコロを庇って右腕をおとされた俺に引け目を感じているのだろうが、悪魔同士で同じ事が起きたなら『腕を落とされた方がマヌケ!』と放っておかれるのが関の山だ
「気なんて使ってないわよ、図々しい男ね」
カミラ曰く『早く復帰してくれないと日傘担当に困るのよ! グズ!』だそうだ……
カミラはそう言いながら、学園に通う昼間以外は部屋まで食事を運んできては就寝時まで側に座って読書しているのだ……
有り難いのだが気楽に屁も出来なくて困るぜベイべー
「どうせ奉仕してくれるならメイド服とか着てくれたら嬉しいのになぁ……」
何となく口から出た言葉だが……
ヘルシティ時代の俺はメイド喫茶にちょくちょく通っていた
ナンパの敗戦で傷付いた俺の心を癒してくれるのは、いつもメイドのお嬢たちだったからだ……
「どうしてもと言うなら二人きりの時は着てあげてもよろしくってよ、、」
「マジで!?」
「あ、、、アナタには借りもあるし……」
しょうが無いからと視線を逸らしながらカミラはいうが
言ってみるもんだよなぁ!
「それよりアナタ、少し臭うわね……」
「えっ? そうか?」
俺様はクンクンと自分の身体を嗅いでみる
「身体を拭きましょう、そのボロ雑巾のような服を脱ぎなさい!」
「いや! そんな事までしてくれなくとも自分でするから良いって!」
確かに二人を庇った出来た傷だ……
だがその行為自体は悪魔としては自慢にもならない行為なのだ……
しかしカミラは俺の話に聞く耳を持たず、俺様の服を強引にはぎ取りタオルで身体を拭き始めた
「決して恩義を感じてやっている訳じゃない、、勘違いしないでちょうだい……」
はいはい、、、カミラさんはツンデレラですねぇ……
「でも感謝しているのも事実……アリガトウ……」
背中越しに発したその言葉は、余りに小さくて俺の耳には届いていなかった
「前の方は自分で出来るからタオルを、、、はっ!?」
背中を拭いてくれていたカミラからタオルを受け取ろうと振り向くとカミラの顔が直ぐ目の前にあり……
視線がぶつかり息を呑む
ZIGOKUにいた頃は爪弾き者の俺様だ
こんなにフェイス・トゥ・フェイスが近付くことなど考える事すら出来なかった、それに……
『契約とは言え一回キスしたからと何を意識しているのだ!!』
カミラは俺様から顔を背けて少し震えていたが……耳は真っ赤だった……
「、、、いいわよ」
振り向いたカミラは上目遣いに俺様を直視する
「お、、お前、それって!?」
「頭の悪い男は嫌いよ……」
おいおいマジかよ! 連敗続きだったZIGOKU時代とは打って変わって俺様の時代到来か!?
俺様はカミラの両肩に手を添え、カミラと正面から向き合う
カミラは視線を合わせたあとユックリと瞼を閉じた
小刻みに震えるカミラ……
雪のように白かった頬が仄かに紅く染まり……
小さくておちょぼな唇はうっすらと桜色……
俺様はユックリと顔をよせる
カミラの息づかいを感じる……
「ほぉ! 契約以外でキスするとは、アギトお前いい度胸してんな!」
「なにっ!?」
部屋の入り口に立っていたのはアッキーだった!
『ジジイ! 邪魔するな!』
オカマ爺にかまってる場合ではない!
俺様は邪魔をする女装家などには見向きもせずカミラの唇を奪いにいく!!
「お前、ヴァンパイアの口付けがどういう意味を持っているのか知ってるんだろうな?」
はい? 口付けの意味? 好き合う者同士のコミュニケーション以外に何がある!?
「お前しらないのか? ヴァンパイアの口付けは生涯を共にする約束、、、すなわち結婚を意味するのじゃが……」
『えっ? マジで?』
と言う顔で俺様がカミラを見つめると、カミラは小さく頷いた……
「私は構わないと思っているわよ……半分騙されたような形だったけど、既に一回しちゃたし……」
おいおいマジかよ! 俺様DTのまま嫁さん貰うところだったの?
巷ではそれはそれで清い交際なのだと賛美されるかも知れん
だが悪魔族の中では逆に『不甲斐ない奴』として扱われる……
「カミラは良いさ、本人なのだから! だがヴァンパイアの始祖の血を継ぐ者達はどう思うかねぇ、大事な末娘の相手が三下悪魔だと知ったら……ククク」
NOーーーっ! それ完全に闇夜に抹殺されるルートじゃん!!
「まぁ冗談はさておき、お前達に大事な相談があってきたんだよ」
冗談になってないアッキーの話しは続いた
今回の暗殺事件はアンデッド族内の派閥争いがキッカケとなっていることは疑う余地もない
今後もカミラが狙われる事は想像に難くないのだ……
だが今は、百年大戦が終わり平和への一歩を歩みだした余りにもデリケートな状況だ!
カミラを保護する事は必須だが、些細な事で有ろうとそれが続けば必ず大きな亀裂となり平和な世界を良く思わない者達に利用される事は明白だ……
「そこでアギト! 今後もお前はカミラの護衛として働いてもらうことにした!」
このジジイ! 《《もらうことにした》》って、相談じゃなく既に決定された話しじゃねぇか!!
「サタン様からも既に了解を得ている」
NOーーー! サタン様からの約定書まで持ってやがる!!
「と言うことで、弱々なアギトには明日から私が修行をつける事とした!」
えっ? 修行? そしてまた決定済み……
「悪魔の俺様が頑張ったり耐えながら修行なんてするわけなかろうが!」
「良いのかアギト? そんな貧弱な身体では素手の人族にでも殺られてしまうぞ、『弱い』それは貴様の死に繋がるのだが本当に良いのか?」
出たよ! 主人公が余儀なくされるヒーローパティーン!
そんな事は人族で正義感の強い奴が請け負う事じゃねぇか!
悪魔の俺様は正反対キャラなんだよ!
「それにお前カミラを《《カクフォイ》》からではなく、《《如何なる者》》からも守ると契約したんじゃろ?」
ありゃ? そうだったっけ?
俺様まるで行為の直前になると焦って突っ走り、なにも覚えていないDT野郎そのものじゃないか!?
「アギト、、私の為に頑張って! お願い……」
あーーー!? だからそう言うのは転生とか異世界から来たやつに言えって!
「アギトぉ……」
カミラお前、、こんな時に限ってなぜ《《デレ》》の方なんだ!!
クソォッ、だいたい俺様は巨乳セクシー派なんだぞ……
「私を守ってくれるなら二人の時はメイド服着てあげるわ! だ・ん・な・さ・ま♡」
「よ、、よーーーし! メイドを守るは主の役目! 俺様にドンと任せとけいっ!」
ZIGOKU時代から、メイド喫茶にお世話になっていた俺様は勢いで言ってしまった!!
この話し合いにより、悪魔族の俺様がアンデッド族のカミラを護衛し守る事が決定した
見えない位置でアッキーとカミラがサムズアップをしている事に俺様は気付いていない……
俺は悪魔族アギト、戦闘力ゼロ・甲斐性ゼロ・金なし家なし女なし
クソの付くほどメイド喫茶をこよなく愛する男だぜ……




