第6話 懲りない男
入学式も無事終わり通常の授業が始まってひと月がたった
語学・数学・魔術・薬学・体育が主な授業内容だが、この他にも課外授業などスポット的な授業や行事もある
その中でも俺様は体育が嫌いだ……
「あんたってホントにグズね! おっさきっーだピョン!」
妖精族のニンファが先頭を切って俺様を追い抜いていった……
飛ぶのは卑怯だろ……
違う違う! 人族の考える体育など悪魔族の俺にすれば準備運動程度だったはずなのだが!
「おいアギト! お前だけ周回遅れだぞ!」
うるさく俺様を煽るのはのはアッキー、奴は俺たちRACEの寮母兼、身元引受人兼、担任教師なのである……
ランニング等やってられるか! この貧弱な身体のせいで走る事もままならないのによぉ
「完走出来なかったら晩飯抜きだからな!」
ぐぬぬぬこの女装ジジイめ! 俺様が万全の状態なら『あーやって、こーやって、お尻ペンペン』してやるのに!
この身体ホント使いにくいぜ! 俺様に適応障害でも起こしてるんじゃないか!?
そんな事を考えながらも俺様は死に物狂いで完走だけはやり遂げた……
ーーーーー
「痛つつつつつ……もぉランニングなんてしねぇからな!」
だだっ広い校庭とは言え、たかだかグラウンド三周で体のあちこちがギシギシ言うとは情けない……
次の授業に遅れると《《また》》アッキーにどやされるので、俺様は着替えもそこそこに次の教室へと向かっていた……
グラウンドから教室まで最短ルートで向うために、俺様は実験室の前を通りかかった
悪魔の俺が言うのもなんだが、この部屋には悪趣味な標本や生贄用の爬虫類や昆虫がいて気持ち悪いんだよな……
『キランッ!』
そんな実験室前で前方に何やら光る物体を発見した……
俺様はそのキラキラと光る物体に興味を示し近づいて拾い上げる
「なんでこんな所に着せ替え人形用の着替え……って、、下着じゃん……」
高校生にもなって着せ替え人形で遊んでんじゃねぇよ……
あれ? 無駄に光る衣装、これってもしかして……
『ムフ♡』
俺様いい事、思いついたぁーー!
※※※※※
教室へ戻りドアを開けるとクラス全員の視線が俺様に集中した!
なんだ? ただならぬ雰囲気を感じるぜ……
ただならぬ何かを感じた俺様は一番前にあるニンファの席へと視線を向けた
「大丈夫よ! 私達が問い詰めてあげるから!」
「あの変態……」
数人の女子がニンファを取り囲み、その中心ではニンファが……泣いている
「あっ! 帰ってきた!」
「アギト! あんたなんでしょ白状なさい!」
なんの事だ?
「ニンファちゃんの下着盗んだのアナタね!」
ニンファを取り囲んでいた女子達が藪から棒に言い放つ!
下着って……まさかやっぱりアレは!?
いかん! ここは誤魔化さねば!
「あぁ!? なんで俺様が下着を盗む必要がある!?」
「アンタが下着コレクターだって事はクラスの皆がしってるのよ!」
お前ら完全に俺様を性犯罪者かなにかと勘違いしてるよな!!
「俺様がそんなツルペタ妖精(しかもミニチュア版)の下着に興奮する訳なかろうが!?」
「酷い……うわあぁぁぁぁぁん!(ニンファ号泣)」
「ひどいじゃない!! 最っ低!」
「ニンファちゃんに謝りなさいよ!」
うぅっ……年頃の女の子にツルペタは少し言い過ぎだったか……
「ニンファ、ツルペタは言い過ぎた悪かったよゴメン……でも盗んではいないんだ信じてくれよ」
「……本当だピョン?」
「あぁ本当だ、俺様はただエリマキ……あっ!」
「エリマキ……?」
「たいへんだー! 校庭に真っ赤なレースの下着姿で、羽を生やした妖精みたいなエリマキトカゲが闊歩しているぞ!」
「真っ赤なレース……妖精みたいな……?」
なんとも説明文のようなお知らせをありがとう……
ここはステルスモードを起動! 俺様は静かにフェードアウトする事にした……
「おいこら待てや変態悪魔!!」
「ニ、、ニンファさん、いつもの可愛らしいピョン付けを忘れてますよ……」
怒髪天を衝く妖精族のニンファさん! このままここに居たら殺される!
「兎に角、下着回収してこいや! 逃がしたらお前の腹わたえぐり出して三枚におろすからなーー!」
ひえーーーっ! 妖精族もこんなマル暴みたいなどやし方をされるのねぇーーー!
エリマキトカゲの奴はガニ股の二足歩行で校庭を駆け抜ける!
俺様は走った! 遮二無二はしった! 真っ赤なレースの上下をまとったガニ股二足歩行の妖精の様なエリマキトカゲを捕まえるために!!
ヤツはとんでも無くすばしっこかった!
ヤツは俺様を嘲笑うかのように蛇行しながら逃げる……
「俺様から逃げ切るとは……たいしたやつだぜ……」
校庭を何周分走ったのだろう……
倒れ込んだ俺様は茜色に染まる空を見上げながら意識を失った……
ーーーーー
「アホォーー アホォーー」
しばらくすると、肩にとまったカラスの鳴きごえで目を覚ました
あたりを確認すると、俺様は校庭にある大きな樹に吊り下げられているようだった……
「トカゲ一匹捕まえるのに、これほど四苦八苦するとは、、情けないヤツだ……」
そう言ってバルログが去っていった……
後で知ったが、エリマキトカゲは遠い親戚の竜族・バルログの『ふせっ!』の一言で動きを止めたらしい……
『ペシッ!』
吊るされて身動きの取れない俺様の顔に真っ赤な下着が叩きつけられた
「トカゲが着た下着なんて使えないし! 週末買い替えに行くから弁償しなさいよね!……あと、今度ツルペタ言ったら殺す!」
ニンファが光の粒子をばら撒きながら飛び去っていった……
光る下着の正体は妖精のばら撒く粒子だったのだ……
ニンファさんよぉ、、ツルペタだってなぁ、、需要がないわけじゃ、、ないんだ……ぜっ!(ガクッ)
俺様は再び気を失う……
俺は悪魔族アギト、戦闘力ゼロ・甲斐性ゼロ・金なし家なし女なし
クソの付くほどの懲りない男である……




