第3話 クソが付くほど女好き
翌朝だと思うのだが目を覚ました俺様は身体の具合を確認してみた
『こいつ……動くぞ!』
掌から手首、肘、肩、、、足首……
膝を曲げてみる、、、動いた!
時間をかけてユックリと体を起こしてベッドに腰掛ける状態にまで出来た
ちゃんと人型に憑依させてくれている……
四足歩行に憑依させられていたらどうしようと少し心配もしてました……
辺りを見渡すが衣服のような物が無いので、俺はシーツに身を包み部屋を出た
小部屋のドアを開けると上へと続く階段がある、上へと進むと一階なのだろう物置のようだった
壁には窓があり射し込む光が眩しすぎて目を開けていられない!
俺様は手探りでドアの見えた方へと足を運ぶ
『ガチャ』ドアノブを回すとそんな音が鳴り開いたドアの隙間から風が一気に流れ込んでくる
俺様は眩し過ぎる光と爽やかに流れる風を全身で受け止める
「気持ちいい」
ZIGOKUでは味わえない爽快感だ、吹き抜ける風がシーツをパタパタと煽る……
光の眩しさにも目が慣れてきて、周りにある木々や建物がハッキリと見えだしてきた
「ぎゃああああーーーっ!」
『バキッ!』
ビッグボア(猪系大型魔獣)にでも衝突されたのかと思う程の衝撃が俺様の全身を襲った……
「アンタ、なんて格好してんのよ変態!」
衝撃により吹っ飛んだ俺に何者かが叫んでいる
声色からして女か……(後に分かるが『人族代表・オーレリア』だ)
「痛ってー、何しやがる!」
吹き飛び転がった身体を起こしてみる、あれ位の衝撃で、、、なんと貧弱な身体だ……
「なになに? どうしたピョン、オーレリア?『妖精族・ニンファ』」
「あっ! まっ裸の変質者発見なの!『魔族・メーレーレ』」
「何事かしら大声出してみっともない……『アンデッド族・カミラ』」
「あらあら、アギトさんでしたっけ!『天使族・セイナ』」
「フム……初対面で何ともお粗末なものをみせる……『竜族・バルログ』」
「…………『妖怪族・フウガ』」
「へっ?……『悪魔族・アギト』」
各種族代表者が勢ぞろいした瞬間だった……
NOーーっ! おれフ○チンやん! 身を包んでいたシーツが風で只のマントになってフル○ンマントマンやんかーっ!
「この変態クズ悪魔が! たたっ斬ってやる!」
「ちょっと待て! お前それ聖剣だろ!?」
光の剣を振り回し俺を追ってくるのはオーレリア、こいつは人族代表で光の勇者候補らしい
「お前マジヤバイって! おれ悪魔だぞ、マジ死んじゃうって!」
「死ね! 変態! 今すぐ死ね!!」
なんなんだコイツ裸くらいで! てか裸見られた俺様の方が被害者でしょーが!
大木に隠れても一刀両断!
建物の影に隠れても壁ごと粉砕!
何とかかわしながら逃げるが息が切れる、この身体は貧弱すぎる!
とうとう俺様の身体が言うことを聞かず地べたにへたり込んでしまった
「観念しろ変態!」
オーレリアが聖剣を振り下ろした!
俺様は何のために此処にきたのーっ!?
『ガシッ!』
「そこまでだ……」
なんと! オーレリアの振り下ろした剣をバルログとか言う竜族が手で受け止めてくれていた!
「この集まりは絶対不殺ときく、これ以上はやり過ぎだ」
気の済まない様子のオーレリアはまだ引かない、、、いや! バルログに掴まれた剣を押すことも引くことも出来ないでいるのだ!
「離しなさいよ!」
「ダメだ」
竜族離すな!
「離せったら!」
「クドい」
竜族偉い! おまえ最高!
「チュウ」
「チュウ?」
チュウ?……
「ね、ね、、ネズミィィィィーーっ!」
オーレリアが暴れていた振動で物置や地下のネズミがビックリして出てきたのだろう!
それは良い! だがそのネズミを見たとたん、バルログの様子がおかしくなった!
「ぐぅおぉぉぉぉぉーーっ!!」
こ、、、こいつ、ドラゴンに変化した!!
「ネズミ!『ドォォン!』」
「殺す!『ズドォォン!』」
「みんな逃げろ!」
ひえぇぇぇ、今度はバルログが竜化して暴れ始めた!
全長20メートルは有るであろう真っ赤なドラゴンに変化したバルログは竜王の孫ときく
後で分かるのだが、幼い頃昼寝の最中に大事な頭のツノをネズミに半分かじられたのがトラウマとなったのだそうだ……
ネズミにかじれる硬さのツノってのもどうかと思うんだけどね……ドラ●もんかよ!
「ネズミ! ネズミ!」
バルログは我を忘れて暴れまわっていた!
ネズミはチョコマカとバルログの攻撃を避け地面にはバルログの拳の跡だけが残る……
「みんな避難したか……さっきの女は!?」
他の皆はこの場を離れ避難したようだ、しかし先程までの鬼ごっこでスタミナを削っていた俺様とオーレリアは逃げ遅れてしまっていた!
「おのれネズミ! こうなればこの森ごと焼き尽くしてくれるわ!」
「おまえ絶対不殺って言ってたよねぇ!」
俺様の叫びもむなしく業を煮やしたバルログは天を仰ぎ大きく息を吸う
「ヤバイ! ブレスだ!」
ブレスとは火・水・毒等を口より放射するドラゴンの攻撃方法である!
「逃げろ! 女!」
「私は良いから、アンタ逃げなさい!」
確かにバルログはオーレリアの方向に向かってブレスを放つ、俺様はバルログの背中方向! 後ろに逃げれば全身やけど程度で済むかもしれない……
「喰らえ! くそネズミどもがぁぁぁ『地獄の業火』!」
バルログは大きく口を開きブレスを放射する!
でも、、、ほっとけ無いだろう!
俺はオーレリアに駆け寄る!
「アンタ! なんで逃げないのよ!」
「女、背中の盾は飾り物か?」
「違うわっ!」
「なら構えろ! 後は俺様に任せろ!」
オーレリアは盾を構えて姿勢を低くする、爆風などから身を守るときの姿勢だ
竜化したバルログの大きな口の前に巨大な火の玉が現れた、その直径は2メートル、3メートル、4メートル、、、どんどん膨らんでいく!
そして5メートルまで膨らんだ火の玉が一気に俺達の方へと向かってきた!
「アンタ! せめて私の後しろに隠れなさいよ!」
「ハイ……」
「か、、かくれんのかーい!何かしら策があるのかと思ったじゃない!」
オーレリアは怒り半分、呆れ半分な顔で俺を見ている
火の玉は何かに接触した瞬間に大爆発を起こし辺り一面を焼き尽くす……それが地獄の業火だ
火の玉が盾の直ぐ手前まで迫ってきた!
「この身体で……発動してくれよThe・Void!」
俺は悪魔族アギト、戦闘力ゼロ・甲斐性ゼロ・金なし家なし女なし
生まれ持ったスキルはたった一つ!
【この世の全てを闇に吸い込む漆黒の闇盾・ダークシールド】
「俺様に吸えない物はない!」
オーレリアの構えた盾の前にジ・ヴォイドを展開する!
「どおぉぉぉん!!」
火の玉が闇盾に接触し爆裂を始める!
しかし、爆裂が周囲に広がるスピードよりも早く闇盾がその炎を吸い込んでいく!
コンマ数秒の世界だった……
「ぬぉぉぉぉぉぉ!」
ジ・ヴォイドはかなりの魔力を消費する、此処がZIGOKUではないと言う悪条件と、この慣れない人族の身体で使えるかは賭けだった
あちちち……吸い込み損ねた炎が俺の背中を焼いている
爆裂した炎はドンドン吸い込まれその範囲を小さくしていき!
そして消えてなくなった……
「……た、、、助かったの?」
「ちょっとアンタなに!?」
貧弱な身体だぜ、どうやら魔力切れらしい……
俺様は意識が遠退きオーレリアの背中に力なく崩れ落ちる……
女は無事のようだ、、、よかった……
「ちょっとアンタ! しっかりしなさいよっ! なんでこんなになるまで!?」
薄れゆく意識の中で答えてやったぜ
俺は悪魔族アギト、戦闘力ゼロ・甲斐性ゼロ・金なし家なし女なし
クソが付くほどの女好きなのである!




