表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Abyssers  作者: Higasayama
Abyssers Season.1
54/56

FILE:54 ―― 雫が岩を穿つまで

 斬撃を防ぐ術を持たないアビスを追い詰める左門。アビスは刃を躱したとしても、鷹邑のキックで体勢を崩される。

「良い連携だ! 」

「口より手を動かせ! 」

 左門の刀身は全身の腱を斬りつけ、鷹邑のローは膝に連続して入って骨を破壊する。いくら痛覚を持たないアビスであっても、筋肉が絶たれ、関節が破壊されればまともな反撃はできない。

 しかし、持久戦になれば、ゾンビとの物量差で敗北は必至。鷹邑と左門はそれも理解していた。

 ――ジーニアスを追う公孝と新沼。

「ロケランは対アビスの切り札になります。決して撃たせないようにしてください! 」

「分かってますって……! 」

 ロケットランチャーは、射撃態勢に入ってから照準を合わせ、発射するまで十秒ほど無防備になる。的確に銃撃を浴びせれば、その隙を作らせることはない。

「たたみ掛けます! 距離を詰めますよ! 」

「それも分かってますって! 」

 どちらの戦闘も拮抗状態。

 その天秤を傾けるのは。


『――ごめん、桃田さん』

「なんやコウジ君。はよ来てくれへん? じゃないと戦争終わらへんで」

『分かってる。けど……皆の所に戻るよ』

「本気で言っとる? 」

『親父が死んで、今の僕は伊形のボスだ。()()()()()()()()を無視できない』

「……そか。なら、終わったら来てな」

『分かった。ありがとう』

「うい」

 桃田は通話を切って天を仰ぐ。

「君の頼みの綱は来ないって?」埴が苦笑する。

「みたいやけど、お前のアビスもやで」

「あの個体は秘蔵っ子だからねぇ。上手いこと戦ってくれるといいんだけど」

「えらい余裕やな」

「まぁね。殺されたくないヤツより殺したいヤツが強い。戦局を見ても分かるけど、君たちが拮抗してると思ってるのは極々一部。現実は凄惨なものだよ」

 チーム通天閣の面々は、埴から目を背けて唇を噛む。ただ、そんなことは桃田にとって大きな問題ではない。

 ――桃田の作戦を無視することを選んだコウジは、フルスロットルでバイクを駆る。向かうは、共有された左門の位置情報。



残すところ2話。次回へ続く。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ