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Abyssers  作者: Higasayama
Abyssers Season.1
18/56

FILE:18 ―― しようよこれからの話

次なるクライマックスへ向けての情報整理回。

 命からがらに組事務所へたどり着いた一行。

 事務所オフィスにて。

 これから始まるのは、情報整理も兼ねた生存戦略会議である。

 ホワイトボードの前に、指示棒を持ったシャビが立つ。「えー、おほんおほん、うふんうふん」

 左門や五月雨は出払っているため、会議に参加するのは体育館のメンツと変わらない。面々は、椅子を勝手に使ったり、ホワイトボードの前の床に座ったりした。

「じゃ、始めるぞ。俺がファシリテーターだ」

「偉そうにしないで」霧雨が野次る。

「黙らっしゃい。とにかく、最初に日本の現状をまとめるぞ」

 小さな拍手。

「知ってのとおりこの国は、ゾンビの出現によって壊滅状態だ。そんな状態なのは、先進国でいえば日本だけ」

「なんで日本だけなんですか? 」飯島の質問。

「ゾンビが出てきたとき、ほとんどの国は武力や核を使った。さらにアメリカなんかは国民が銃を持ってるから、それで自衛ができたのさ。それに比べて、日本じゃ対応が後手後手になった。

 結果、数千万体のゾンビによって警察と自衛隊はてんやわんや。治安維持能力も失って今に至る」

 そこへ霧雨が補足する。

「そのおかげで、それこそ私たちみたいなヤクザが動きやすくなった。

 海上保安も機能してないから、密漁でも密猟でも密航でも、やりたい放題ってわけ」

「隣国の動向は? 」荷稲が訊く。

「チャイニーズマフィア、北朝鮮スパイ、ロシアの諜報部隊……もう日本人より密入国者を数えたほうが早いわね」

 シャビが指示棒でホワイトボードを叩いて言う。「ただ、うん千万のゾンビがいるってことは、よその奴らにとってもそんだけの敵がいるってことだ。この流れで、次にゾンビの種類について説明する」。ホワイトボードには、とくに何も書かれてはいない。

「普通のゾンビ以外にもいるんですか? 」

 金属バットを拭きながら柄木が首をかしげた。

「いる。数が多いってことは、突然変異体が生まれる確率も上がるってことだからな。

 ゾンビにはざっくり分けて四種類。

 ノーマル・アスレチック・ジーニアス・アビスだ」

 フロアの片隅で、アドニスを撫でる鷹邑。

「突然変異か知らんけども、べらぼうにデカい奴とは戦ったことがあるな」

「それは多分アスレチックだ。アスリートみたいなフィジカルギフテッドがゾンビ化したら、その身体能力を維持したままゾンビになるケースがある。

 ジーニアスはその頭バージョン。天才がゾンビになりゃ、天才のゾンビが生まれることがある。

 このジーニアスは特にタチが悪い。群れを作るし、放火するし、武器も使えば人に紛れることさえある。風の噂じゃ、言語を理解してコンピュータまで使うらしい」

「人間じゃねえか」鷹邑は目を覆う。

「元、な」シャビが肩をすくめてみせた。

「じゃあ、アビスってなんだ? 」

「よくぞ聞いてくれた。それはな――」




次回へ続く。

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